地を這う虫 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1046
レビュー : 92
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167616014

作品紹介・あらすじ

「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。

感想・レビュー・書評

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  • 矜持なのか意地なのか。その姿は素直にカッコいいと思う。胸に沁みる重い一冊でした。
    あらすじ(背表紙より)
    「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。

  • それぞれの事情を抱えて警察を辞した元刑事たちの4つの物語は、髙村さんの無駄を廃した文章が相変わらず心地いい。

    警備会社の事務、サラ金の取り立て屋、代議士のお抱え運転手、昼は倉庫会社、夜は守衛・・・地味で地を這うような日々をやり過ごす彼らの中には、未だに警察時代の名残がある。
    良きにつけ悪しきにつけ、そんな名残を引きずりながら、人生の矜持を失わずに生きていく男たちの物語は、人生を振り返る年齢になった今だからこそ、しみじみとした余韻を残すのかもしれないな~。

    「巡り逢う人びと」では、借金のかたに主人公に工場を潰された同級生が、それでも、「笑う門には福来ると言うだろう?俺は藁にもすがりたいほど福が欲しいだけだ」といって笑いかけるシーンに泣けました。
    「地を這う虫」の主人公は憎めない。刑事の習性?でも、実際にこんな人がいたら完全に不審者です(笑)

  • 36292

  • それぞれ、警察官を辞めた主人公の第二の人生の中で、警察官である誇りや、その習性を忘れられないという短編を集めたもの。それぞれの結末が、余韻を残すというか、読み手に考えさせる余地を残すというか、独特の感じになっている。"

  • 警察系ヒューマンドラマ。結構好き。

  • どうして高村薫さんはおじさんの描き方がこんなにうまいのか…。

  •  そのむかし「黄金を抱いて翔べ」なんか読んで、どうにもキャラクターの心情がつかめずほとほと参った経験があって、カオルちゃんの本はずっと避け続けてきた(>_<)
     でも、今回ひさびさに恐る恐る手に取ってみたら、ぜんぜん違和感なく読めた( ´ ▽ ` )ノ
     たしかにところどころくだくだしくてやたら読みづらい文章もあるけど、慣れればどってことない( ´ ▽ ` )ノ

     本書は「元デカたちの再就職事情」という、かなり変わった趣向の短編集( ´ ▽ ` )ノ
    「武士の商法」というか「三つ子の魂」というか、ちょっと視点を変えたらギャグ・落語にもなりかねない話ばかり( ´ ▽ ` )ノ
     というか、最後のやつなんかあきらかにウケを狙ってるよね( ´ ▽ ` )ノ
     警察という組織がこういう「異常人」を作っていくのか、変わった症候の人間が寄り集まってくるのが警察という組織なのか?( ´ ▽ ` )ノ
    「新宿鮫」同様、ナチュラル・ボーン・ポリスものの支流だね( ´ ▽ ` )ノ
     ただし、鮫島と違って、本書の主人公たちは自らの信条に従って「警官」であるのではなく、強迫観念的な「何か」に取り憑かれて「警官的」なものにさせられているような感じ( ´ ▽ ` )ノ
     そこらへん、面白かった( ´ ▽ ` )ノ

     にしても、本書に出てくる女性たち、誰も彼もテンプレで薄っぺらだね(>_<)
     まるで昔の大御所作家の書き散らした「女ども」みたい(>_<)
     どこか軽く見てるというか、小バカにしてるような感じで、「ほんとにこれ、女性が書いたの?」と首を傾げざるを得ない(>_<)
     一編くらい、女性の元デカが主人公のエピソードがあってもよかった(>_<)

     まあ、でも、男どもの心情は的確に捉えられてて、全編しっかり堪能できた一書でした( ´ ▽ ` )ノ

    2017/12/19

  • やっちゃいました。二度買い、二度読みです。しかも二度目だと言うことに気付かないまま読了(かすかに違和感は有ったのですけどね)。恐らく6-7年ぶりだとは思うのですが。
    高村薫さんは「黄金を抱いて飛べ」で驚かされて以来、続けざまに数冊読みました。重厚で緻密、ひたすら重くしかも長い作品を書く人、そういうイメージが有ります。しかしこのような短編になると、その良さが出てきませんね。決して悪い作品では無いのですが、高村さんでなくても良い、そんな感じがします。警察組織の腐敗を描く作品が多いのですが、それも既に見慣れたテーマですしね。
    そういえば高村さんは最近方向が変わったようですね。そちらのほうを読んでみようかな。

  • 2016/11/24

    ◎愁訴の花

  • それぞれの理由で警察を辞めた男たちの、それぞれの物語四編。
    それぞれ小さな事件をきっかけに、過去に縛られた自分を見て、ひとつ何かを乗り越えていく話。

    『愁訴の花』の須永が泣かせます。こういうひとが地を這う虫だと思う。

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著者プロフィール

高村 薫(たかむら かおる)
1953年大阪市東住吉区生まれ、現在大阪府吹田市在住。国際基督教大学教養学部人文学科(フランス文学専攻)卒業。外資系商社の勤務を経て、作家活動に入る。
1990年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、1993年『マークスの山』で直木三十五賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年刊行の『土の記』では大佛次郎賞、野間文芸賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞し、新たな代表作となった。
『レディ・ジョーカー』を境として、重厚な社会派ミステリーから純文学に転向。織田作之助賞選考委員を務める。

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