地を這う虫 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.38
  • (44)
  • (133)
  • (295)
  • (22)
  • (5)
本棚登録 : 1053
レビュー : 92
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167616014

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「刑事」という職業を様々な理由で辞めた
    五人の男達についての五篇の物語


    高村さん唯一の短篇集です

    緻密な硬筆 と 骨太な題材
    による鈍器のようなボリュームが常な方なので
    短篇ってどうなるの?と想像がつかないまま開きましたが
    割といつもの長編そのままな読み心地でした

    とりあえず各話で事件は起こるのですが
    謎解きや犯人探しに熱が上げられる訳でもなく
    思考と行動が伴わない人間の矛盾した様だったり
    組織や社会の闇にとっぷり浸かった神経質なオッサン達の内面の揺らぎ方だったり
    あくまでも焦点はそういったものをスケッチすることに置かれているために
    ミステリとも呼び難くジャンル分けには悩む一冊

    これだけオヤジまみれなのに
    本を閉じたあと全員の顔がきっちり残る
    この登場人物の濃さに毎度惹かれます

  • 面白い視点。元刑事が今をどう生きるのか?

  • いぶし銀。

  •  ワケあって警察を辞め、全く違う生活を始めながらも、矜持を保ち続ける男たちの物語。大作志向の髙村薫には珍しい短編集。
     話の一つひとつは短いんだけど、密度が濃くて引き込まれる。こういう生き方もカッコいいなと思う。でも、僕にはちょっと早過ぎたかなあ。

  • 「愁訴の花」「巡り逢う人びと」「父が来た道」「地を這う虫」の短編4作が収められた短編集で、いずれも<元>刑事物。

    やはりというべきか、高村薫の実力は重厚な長編で遺憾なく発揮されるものであり、短編ではただ主人公のアクションばかりが綴られているような感覚になる。

    そうはいっても、高村作品の登場人物に共通する人生の「くたびれ感」はよく出ている。

  • 高村薫の小説は確かに面白い。マークス読んでコレが2冊目。しかし読みづらい。文章が硬いというか、文学なみに綺麗に表現しようとしてるのか?もうちょっと平易に書いて欲しいな

  • 「太陽を曳く馬」以外は読破したと思っていたのだが、
    短編集があったことに気づいて拝借。

    いろんな事情で退職した<元刑事>たちが、
    再就職先で刑事時代の自分と今の自分のことを考えながら生きている4つのお話。

    長編ほど面倒臭くなかった分、
    長編ほどガツンとくるものが無かった、
    というのが正直な感想です。

    刑事物でありがちな、
    世間を騒がす事件を解決していくような、
    一種の華やかさは一切無く、

    地道に刑事という仕事をやってきて、
    その仕事に対する諦念やプライド、
    その仕事を辞めざるを得なかった挫折感、
    そして辞めても踏ん張って生きていかないといけない日常、

    なんかの描き方が、静かな分しっかり重みがあって、
    ああ…生きるのってしんどいよなあと思わされました。

    20代そこそこの女子には、
    共感できる部分なんてほぼ皆無です。
    まあ、小説は必ずしも共感できないとおもしろくないという訳では無いと思いますが、
    特に何かが響いたというよりか、
    人生の侘しさみたいなものに触れた気がして寂しくなる読後感でした。

  • 渋い。そして手堅い。なんとなく藤沢周平の時代小説を思い出してしまった。短編集なので、これまで読んだ高村作品とは、ちょっと趣きが違う感じ。長編よりも、より引き締まり、渋みを強め、しかし飲み込みやすくしたウイスキーのような、というか。


    そうしてみると、この人の長編小説は、あれで派手なんだな……。

  • 超大作が多い著者の作品の中で、珍しい短篇集。
    個人的に短篇集よりも、男は黙ってガッツり長編派なのですが、さすがは高村氏、一作一作が濃厚です。
    でも文字量が少ないので、入り込み始めると終わってしまう。
    著者の作品はやっぱ長編達が個人的には好きですな。

  • 短編集。
     最近、高村薫にはまってます。
     この方は警察というモチーフが好きなのか嫌いなのか、判断に迷いますね。警察官は好きでも警察という組織は嫌いそう。
     元警官が主人公な話ばかり。
     それぞれ、警察官をやめて警備員になっていたり、サラ金の社員になっていたり、汚職政治家のお抱え運転手になっていたり。
     何が心に残ったかは……正直なところ微妙です。面白くないわけじゃないんですけど、この人のは長編の方が面白いんです、たぶん。

     後味が悪いのは『巡り合う人々』ですね。ままならないというか、なんというか。
     主役のほとんどが受身なかんじで生きているので、歯がゆさはあるけれど、きっと人生ってこんなもの(笑)
     それでも彼らは譲れない一線を追いかけていきます。
    追いかけている感じがないのは最初の『愁訴の花』の主役ぐらいですかね。

全92件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

高村 薫(たかむら かおる)
1953年大阪市東住吉区生まれ、現在大阪府吹田市在住。国際基督教大学教養学部人文学科(フランス文学専攻)卒業。外資系商社の勤務を経て、作家活動に入る。
1990年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、1993年『マークスの山』で直木三十五賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年刊行の『土の記』では大佛次郎賞、野間文芸賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞し、新たな代表作となった。
『レディ・ジョーカー』を境として、重厚な社会派ミステリーから純文学に転向。織田作之助賞選考委員を務める。

高村薫の作品

ツイートする