地を這う虫 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.38
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本棚登録 : 1055
レビュー : 92
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167616014

作品紹介・あらすじ

「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。

感想・レビュー・書評

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  • 矜持なのか意地なのか。その姿は素直にカッコいいと思う。胸に沁みる重い一冊でした。
    あらすじ(背表紙より)
    「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。

  • それぞれの事情を抱えて警察を辞した元刑事たちの4つの物語は、髙村さんの無駄を廃した文章が相変わらず心地いい。

    警備会社の事務、サラ金の取り立て屋、代議士のお抱え運転手、昼は倉庫会社、夜は守衛・・・地味で地を這うような日々をやり過ごす彼らの中には、未だに警察時代の名残がある。
    良きにつけ悪しきにつけ、そんな名残を引きずりながら、人生の矜持を失わずに生きていく男たちの物語は、人生を振り返る年齢になった今だからこそ、しみじみとした余韻を残すのかもしれないな~。

    「巡り逢う人びと」では、借金のかたに主人公に工場を潰された同級生が、それでも、「笑う門には福来ると言うだろう?俺は藁にもすがりたいほど福が欲しいだけだ」といって笑いかけるシーンに泣けました。
    「地を這う虫」の主人公は憎めない。刑事の習性?でも、実際にこんな人がいたら完全に不審者です(笑)

  • 36292

  • それぞれ、警察官を辞めた主人公の第二の人生の中で、警察官である誇りや、その習性を忘れられないという短編を集めたもの。それぞれの結末が、余韻を残すというか、読み手に考えさせる余地を残すというか、独特の感じになっている。"

  • 警察系ヒューマンドラマ。結構好き。

  • どうして高村薫さんはおじさんの描き方がこんなにうまいのか…。

  •  そのむかし「黄金を抱いて翔べ」なんか読んで、どうにもキャラクターの心情がつかめずほとほと参った経験があって、カオルちゃんの本はずっと避け続けてきた(>_<)
     でも、今回ひさびさに恐る恐る手に取ってみたら、ぜんぜん違和感なく読めた( ´ ▽ ` )ノ
     たしかにところどころくだくだしくてやたら読みづらい文章もあるけど、慣れればどってことない( ´ ▽ ` )ノ

     本書は「元デカたちの再就職事情」という、かなり変わった趣向の短編集( ´ ▽ ` )ノ
    「武士の商法」というか「三つ子の魂」というか、ちょっと視点を変えたらギャグ・落語にもなりかねない話ばかり( ´ ▽ ` )ノ
     というか、最後のやつなんかあきらかにウケを狙ってるよね( ´ ▽ ` )ノ
     警察という組織がこういう「異常人」を作っていくのか、変わった症候の人間が寄り集まってくるのが警察という組織なのか?( ´ ▽ ` )ノ
    「新宿鮫」同様、ナチュラル・ボーン・ポリスものの支流だね( ´ ▽ ` )ノ
     ただし、鮫島と違って、本書の主人公たちは自らの信条に従って「警官」であるのではなく、強迫観念的な「何か」に取り憑かれて「警官的」なものにさせられているような感じ( ´ ▽ ` )ノ
     そこらへん、面白かった( ´ ▽ ` )ノ

     にしても、本書に出てくる女性たち、誰も彼もテンプレで薄っぺらだね(>_<)
     まるで昔の大御所作家の書き散らした「女ども」みたい(>_<)
     どこか軽く見てるというか、小バカにしてるような感じで、「ほんとにこれ、女性が書いたの?」と首を傾げざるを得ない(>_<)
     一編くらい、女性の元デカが主人公のエピソードがあってもよかった(>_<)

     まあ、でも、男どもの心情は的確に捉えられてて、全編しっかり堪能できた一書でした( ´ ▽ ` )ノ

    2017/12/19

  • やっちゃいました。二度買い、二度読みです。しかも二度目だと言うことに気付かないまま読了(かすかに違和感は有ったのですけどね)。恐らく6-7年ぶりだとは思うのですが。
    高村薫さんは「黄金を抱いて飛べ」で驚かされて以来、続けざまに数冊読みました。重厚で緻密、ひたすら重くしかも長い作品を書く人、そういうイメージが有ります。しかしこのような短編になると、その良さが出てきませんね。決して悪い作品では無いのですが、高村さんでなくても良い、そんな感じがします。警察組織の腐敗を描く作品が多いのですが、それも既に見慣れたテーマですしね。
    そういえば高村さんは最近方向が変わったようですね。そちらのほうを読んでみようかな。

  • 2016/11/24

    ◎愁訴の花

  • それぞれの理由で警察を辞めた男たちの、それぞれの物語四編。
    それぞれ小さな事件をきっかけに、過去に縛られた自分を見て、ひとつ何かを乗り越えていく話。

    『愁訴の花』の須永が泣かせます。こういうひとが地を這う虫だと思う。

  • 福井晴敏を読んだ後には、何故か(?)高村薫も読みたくなる・・・。
    なんとなく文体が似ていると感じるのは、自分だけだろうか?

    さて、本書……。
    特筆するほどのことは無いが、十分楽しめたかな。ただ、短編だからか、文体の高村薫らしさは、やや薄めだった。

    ★3つ、7ポイント。
    2014.07.??

  • 「地を這う虫」髙村薫◆訳あって刑事を辞め、それぞれの思いを胸に生きる4人の短編集。刑事の道を外れた哀愁が漂う。表題作がミステリとして面白いのですが、何より主人公があまりに凝り性なのが可笑しくて、髙村キャラらしからぬ可愛らしさ(?)。ただ、髙村さんの重厚感は長編の方が堪能できそう。

  • 警備保証会社の事務員、金融会社の取り立て屋、代議士のお抱え運転手。そして民間企業の守衛。
    一度は警察官となりながら、しかし生涯警察官として生きてゆくことなどできず、しかし司直の舞台から去ったとてほかの何者かの生き方もなかなかにできるものではない。
    犯罪現場から遠く離れて、世間の生々しさ、複雑さに翻弄されながらも、やがてそこに居どころを得ていく4人の元警察官たちの"その後"の物語。

    表題作の主人公のこだわりに激しく同意する。曰く「この世界で、無秩序こそは浪費と混乱と過ちと悪の始まりなのだ」!! 沢田さん、ぜひ一緒に在庫管理しましょう!

  • 独特の固執感にはまる。

  • 目次

    「愁訴の花」
    「巡り逢う人びと」
    「父が来た道」
    「地を這う虫」

  • 高村流刑事のためのセカンドキャリア集。
    短い話の中に込められた、やるせなさやら諦観やら一握の希望のようなものの情感の濃度が、流石高村さんです。

  • 20年も前の短編5編、古くない。元(最後は定年を迎えた)刑事達の出会う人生の苦さ哀しさ。表題のとおりどれも暗めだけど、哀感に透ける優しさや微かな希望がマル。

  • 尊敬すべき先輩にいただきました。短編集。
    読んでいて情景が浮かぶあたりは吉村昭さんと同じ。

    『巡り逢う人びと』の「――微笑みかける者にこそ福は来るべきだ。―――」の一文は本当に素晴らしい。

  • 刑事をしてた人の匂いは取れないんだ、人や物を見る目は性癖なのか。元刑事4人の短編集。どこか浮世離れしてる暗く重く淡々と生活する元刑事の目で見る世界。地味だけど雰囲気あって楽しめました。

  • 4話とも元刑事の話。ドキドキする様な展開もなく淡々と踏み締めるような物語だが、悲哀の中に僅かな光明が差している結末にホッとさせられる。作者の技量を感じさせる作品でした。

  • ・元刑事を主人公にした四篇。それぞれ刑事時代を捨て切れないまま市井にまみれた男たちを描いてるけど、ねえ元刑事ってそんなにいいもんかい?とも思った。

  • 短編集

  • 高村薫『地を這う虫』。書いた順に収録したのかな、後ろに行くにつれ上手になってる。最初2編は粗筋に留まっている感あり、「父が来た道」で少しふくらみ、表題作は充実して面白い。●●ひとつ、という表現が好きですね彼女。単語を積み重ねる、悪文すれすれ癖のある話法に、私けっこう影響受けた。

  • 渋い。そしてほろ苦とかいうレベルではなく苦い。大人の哀愁。メインは起こる事件やその解決ではなく、その渋くて苦い「道程」(表題作なんてまさに文字通り笑)。
    主人公の心理的動向を見守り、たまに感情移入し、読んですっきりさっぱりはしないけどなんとなしに「よし、がんばるか。。」と思える一冊だと思いました。

  • 高村薫さんは複雑なストーリーと登場人物の多さなど覚悟して読む(そこが良い)のだけど これは短編集なのにギュッと詰まってる けどサクサク読める

  • 不思議な緊張感に包まれた作品だと思う

  • 元刑事が主人公の短編。
    刑事という職業からなのかどの主人公も男臭くてでもどこか切なくて
    そして前職で得たまわりの人間が良いやつばかり。
    面白かった。

  • いろいろあって刑事をやめた男たちの今の話。どれもちょっとどんよりした感じで、寂寥感が広がってる。謎解きではなく、その登場人物の内面や心情が中心となっているからかも。個人的には「巡り逢う人びと」がいい。

  • 高村薫の短編集。

    短編なので仕方ないけど何となく深みが足りないような気がした。
    どの話もちょっと話が単調過ぎたかなぁ。
    「巡り合う人々」が面白かった。

  • 既読だとばかり思っていたが読んでみたらまったく記憶になかった。
    最初の作品、確か合田シリーズに登場した刑事と思われるあたりは硬質な高村薫そのもという感じだったが、後半2作は人間的な心情が読みとれたり高村薫にしてはちょっと甘さがある(気がする)。

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著者プロフィール

高村 薫(たかむら かおる)
1953年大阪市東住吉区生まれ、現在大阪府吹田市在住。国際基督教大学教養学部人文学科(フランス文学専攻)卒業。外資系商社の勤務を経て、作家活動に入る。
1990年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、1993年『マークスの山』で直木三十五賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年刊行の『土の記』では大佛次郎賞、野間文芸賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞し、新たな代表作となった。
『レディ・ジョーカー』を境として、重厚な社会派ミステリーから純文学に転向。織田作之助賞選考委員を務める。

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