自殺 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1999年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167621025

みんなの感想まとめ

自殺というテーマを深く掘り下げた本は、特に若者に向けてその実態をわかりやすく伝えています。著者は自身の経験や過去の遺書を交えながら、自殺に対する社会の偏見や無関心を問いかけ、読者に内面的な対話を促しま...

感想・レビュー・書評

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  • 女性作家が高校生向けに、自殺を総括した抗議をまとめたものです
    在日2世だったためか、日本育ち生まれでありながら「日本人は」と巨大な主語で意見を述べています
    わかりやすさ重視のためか、極端な事例を引用した主張が多いです

    昔の遺書を引き出し、自殺とはどういうものかを学生に向けて噛み砕いて説明しています
    事例も自殺した小学生、中学生の遺書を挙げており、学生にとって身近な存在を感じさせるのが上手でした

    著者自身が東京生まれということもあり、育ちは貧しくとも環境自体は日本有数のため、恵まれてもいる立場からの意見と感じるものもありました
    著者の中高生時代のエピソードも思い出すように語られるので、その中でもインパクトがあるものが並びます

    自殺未遂者の立場で、意見を述べていました
    自殺マニュアルが売れた年に、対に挙げていたのが野菜スープのレシピ本らしいです
    若者と年寄で読者が別れているらしく、生命力の違いがあると述べていました

    全体的に、彼女にとって自殺とは、信仰的なものなのかなと思いました

  • 自殺をしたいと思うことって別に異常じゃなくてむしろ普通ですよって言われたらちょっと嬉しいんですよね。
    人間って自殺したら「なんで自殺したの?」「自殺の原因は?」「誰が悪いの?」って思いますよね、でもじゃあこれがもし「なんで生きるの?」とかだったらどう思いどう答えますか?
    実は人間って死ぬことに関しては原因や理由を求められるのに生きることについては意外と無関心だと思います。そんな方に読んでほしいし、考えてほしいと思います。

  • 余裕がないひとにしかわからない
     結構柳さんて敏感なんだ。
     ひとはなぜ喜んでまでジェットコースターに乗りたがるのかわからなかったが、死への接近を体験できるといふので納得した。

     長く感じられる本だが、死についての感覚は、やはり人一倍するどくて、私の奥底とどこかつながってゐる。

  • キネマ旬報社によって編まれた原一男監督を特集した雑誌、「タブーこそを撃て!」に掲載されていた監督と柳美里氏の対談記事を通して。

    あとがきに含まれる監督の文章というのが気になったのだが、仮に書店で出会ったとしてもあまりにもどストレートなタイトルに手に取ることを躊躇するに違いない本書ゆえエイッとKindle版を購入してみて読み通した。その結果…

    あとがき含まれてなーい!(悲哀)

    どうやら文庫版を求める旅が始まりそう。

    ただこれを気に柳美里作品に囚われてみたい気になったのも確か。さて、どれから始めたものか。

  • まだ小説を出していない、劇作家だったころの著者24歳のころの本。自殺の話なら自殺未遂したことのある柳美里さん、というオファーもすごいなと思うが。眼目は、"私がみんなにいいたいのは、自殺を自分の人生の中にプログラムすべきだということです。"といったところでしょうか。ただ今日と同じ明日を繰り返すのではなく、なにかこれ!と人生でやることを決めたらそれを機に…楔を打ち込むような思いで、ということかな。自殺が特権化して美しく語られるケースへの疑義、死は彼岸にではなくこの世の内側に在る、”自殺は必ずしもネガティブな行為ではなく積極的に自己を表現するための行為だともいえる”という逆説、”日常というのはある種の人間にとっては凶器のように自分を脅迫するもの”、といったあたりが印象に。

  • 生きることを考えたいなら、死ぬことを考えてみようと思い読んだ。
    わたしは自殺をしたいと思ったことはないが、死にたいと思ったことは何度もある。
    死について考えたとき、消沈していくのではなく、むしろエネルギーが上がっていくのは、生きたいからだろう。
    タイトルにヒヤッとなるが、冷たくなく、むしろ温かい本だった。

  • 選択肢

  • いい印象のなかった柳美里が自殺について語ったり対話している本。なぜいい印象がなかったかは読んでいてわかった。この本を読む限りではある意味では、人として普通の感覚を持っている気もする。自殺について、その魅惑性やある種の必然を肯定した上で、冷静に書くというのは、やはりイカてれいるというか狂っているような気もするが狂人にこの言葉は紡げないし、思索もできないだろう。ひとりの人としてのメッセージとしては考えさせられることの多い内容だったように思う。

  • 原一男さんの解説まで是非読んで下さい。

  • 死について考えることは悪いことなのか。なぜ生きるか、なぜ死ぬか。それを語り合うことが出来ない時代に生まれたことが辛い。

    死に時を逃してしまったから死ねないし、生き直すほどの気力もない。幸せの絶頂で死にたいけれど、もう平凡な人生しか歩めない。

    尊厳を守っていられるあいだに死にたかった。


    以下引用

    彼の死を知って、「人生の最も美しい贈り物は、好きなときにそこから抜け出させてくれる自由だ」といったそうです。(p22)

    ひとが自殺をする理由は人が生きる理由ほどあるんです。けれどひとが死を選ぶ本質的な理由は、自己の尊厳を守るという強い動機に支えられている、といえます。自殺は尊厳死であるといってもいいと思います。ひとは、自己を脅かしつづける屈辱を葬り、自己の尊厳を守る権利があるということをおぼえておくべきだと思います。(p25)

    つまり、自殺は必ずしもネガティヴな行為ではなく、積極的に自己を表現するための行為だともいえるということを考えていただきたいのです。(p26)

    夭折を美しいものとするセンチメンタリズムはよそう。死ぬことは何としてもぶざまだ。首をくくってのびきった身体、そしてその一部一部分、あるいは吐しゃ物。これが美しいと言えるか。問題は生きることがぼくにとってそれ以上ぶざまだということだ。(p43)

    日常というものは、ある種の人間にとっては凶器のように自分を脅迫するものなんですね。狂うことができれば、その日常からはるかかなたに逃れることができ、日常そのものとの関係を断ち切ることが可能なのだけれども、狂えない者はどうすればいいのかなと、私は思います。どうやってその攻撃に耐えればいいのでしょうか?(p54)

    自己規定とは他者の視線、つまり自分は他者からどう見られているのか、どのように期待されているのかという自意識から生まれます。この自己規定の閉塞状況から自由になれないことが異常な数の自殺者を出している原因とも言えます。(p180)

    死の解釈は気分としての死の美学に流されるよりも、はるかに重要な精神的支柱と成り得るものです。それさえ持つことができれば、自殺を批判的に捉えられもするし、死の誘惑に負けそうになったとしても、その原因と動機が自分の死の解釈に合致するものかどうかを検証してみるという冷静さを保てるかもしれません。死とは何かを考えることが、じつは死の抑止にもなるのです。(p185)

  • また読み返したい。死ぬことについて考え直したい。

  • 3年か4年ぶりに再読。当時ほどの衝動は残念ながらもうないけど共感できる点もまだ残っていてほっとした。それにしてもこんな風に死を語っていた人が今では子供を生んで家庭を築いているのが何だか不思議。20代のうちに死にたいという願望は私にもある。多分無理だけど。「生きていたことがなかった人に死ぬことはできないと思う」と彼女は言う。なら死んだように生きてきた私には思いを遂げるのはやはり難しいのかもしれない。「あそこのラーメン屋にはまだ行ったことがないだろ」という言葉に救われる気持ちは痛いほどよくわかるよ。

  • #kindle

  • 共感するところもあるが、到底受け入れられない部分も多い

  • 前半ちらほら見受けられた自殺を神聖化する感じには違和感を受けたものの、最後まで読み進めてみると「なるほど」と思うこともしばしば。「生きたいというのと死にたいというのはまったくイコール」という一節には目からウロコでした。

  • 前半は何か宗教っぽいっていうか、視野狭窄というわけでないけど、ひとつの価値観を盲信しているような気持ち悪さがあった。でも後半(おそらく文庫版の大幅加筆部分)は、一般論かと思えばそうではない。しっかりとした社会的背景を取り入れた作者の信条の変化が感じられた。

  • 人生観がかわった。
    何度も読みたい本。
    全てを飲み込むわけではないけれど、
    こういう選択肢もおかしくはないかもしれない。

  • 高校時代の落ち込んだ時期に読んだ。あのときは柳美里に会いたかった。

  •  ひとはなぜ自殺をするのか。

     自殺は人間だけが行います。ライオンもコンドルも自殺しません。だから私は、自殺は最も人間的な行為だと思うし、人間だけに与えられた特権だということができると思います。

     ひとが自殺をする理由はひとが生きる理由ほどあるんです。けれどひとが死を選ぶ本質的な理由は、自己の尊厳を守るという強い動機に支えられている、といえます。自殺は尊厳死であるといってもいいと思います。ひとは、自己を脅かしつづける屈辱を葬り、自己の尊厳を守る権利があるということをおぼえておくべきだと思います。

     だから裏返しなんですよ。生きたいと死にたいというのは全くイコールなんです。

     何の根拠もなく言いますが、私は日本人の四人に一人は自殺する可能性を内に秘めているのではないかと考えています。彼らは「あなたは人生において最も大切だと思うものを失えば、生きていく意味がないと考えるタイプですか?」という質問にイエスと答える人たちです。言うまでもなくあらゆる価値は幻想に過ぎませんが、その幻想が壊れると生の根拠そのものが失われると思いこむのです。また価値は欲望によって支えられていますから、ただ生きているだけでは堪えられないほどの強い欲望を持っている人だとも言えるでしょう。自殺は幻想の破たんがもたらす欲望の清算なのではないでしょうか。

     毒物は自殺を回避するための御守りの役割を果たすのだと言われても、理解できないひとが多いかもしれません。(中略)私は自分の部屋の引き出しに毒物を隠し持っている、死にたいと思えばあっという間に死ねる、だけど、いつでも死ねるのだから、今すぐ死ぬ必要はない。

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    人をなぜ殺してはいけないのか。

    悲しむ人がいるから?
     ――悲しむ人がいない人は殺してもよいのか。
    やってはいけないことだから?
     ――ならば今現在もある戦争はどうなるのか。
    もし自分や自分の親しい人が殺されるのは嫌だから?
     ――自分や自分の親しい人が自らしにたい、と思っていたら?

    17の私が抱いた疑問に、とある友人はこう答えた。

    「人が自殺する権利を奪うからだ」と。

    あれからもう6年は経つのに、今でも思い出せるくらいに印象的だった。
    あのとき感じた“違和感”が、なんとなく、飲み込めるようになった。

    思春期から今まで、抱いたまま失われることのない自殺願望。
    生きたい、だからこそ、自殺したい。
    その心情を、ここまでわかりやすく言葉で表現した本は初めてだと思う。

    自殺などと、ついぞ考えたことがないし、理解できない。

    そんな人にこそ、読んでもらいたいなぁ、と思えた一冊。

  • 自殺者を少数の敗北者としてはいけない。
    でも自殺する必要はないと思う。生きていればいいことなんてたっくさんあるんだから。生きてるだけで丸儲けだよ。

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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