八州廻り桑山十兵衛 (文春文庫 さ 28-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167627010

感想・レビュー・書評

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  • 関八州をめぐるお役目の、桑山十兵衛。
    気概も気骨も、剣の腕も覚えがあるが、なくなってしまった元妻が残した一人娘には、疑問が残る。
    出て行ったら、なかなか江戸へは帰れぬ役目。
    数えても月足らずながら、生まれたる娘はふっくらととても月足らずには思えない。
    そんな娘を残し、今日も長く旅へ。

    お役目とはいえど、目を瞑らざるところもあり、なんでも首を突っ込んでは余計な仕事を増やすだけ、、、と。

    見過ごせない時もある。
    そんな輩には、たとえ罰が軽すぎておかしいと思えど、八洲には権限はなし。

    そんななんとも、消化不良なお話ではあるが、桑山十兵衛にも、男気は全くないわけではない。

    裏技を考えて作戦を練り、どうにか地域の世話役らと江戸には内緒の謀。

    実際はスカッとするような事件はごくわずかで、このようなものなのだろう。ジリジリと上から下からの圧力に、片目を瞑るように仕事をする桑山。

  • 愛すべき主人公の時代小説シリーズ。中古本を探して読む。

  • 捕り物帳です。それ以上でも以下でもない、そんな感じです。
    こうした捕り物帳はたくさんあります。その中での良し悪しをつけるとすれば、ひとえに主人公の造形に有るように感じます。そして、この作品では、そこがあと一歩足りてない、そんな感じがします。
    配役そのものは中々良いのです。主人公を中心に、そこそこの脇役が出ています。ただ、どのキャラももう少し立ち切ってないと言うか、弱い感じがします。

  • 時代物をよく読まれるお気に入りさんが何度も読んでいるというので。北大路欣也でドラマになったらしいですが、大岡裁きみたいに胸のすく物語でもなければ、大仰に泣かせる人情ものでもない。モヤッと感すら残る地味さなのに、主人公の人間臭さなど、実際の武士はこんな風だったろうな、としみじみ感じ入らせるリアリティです。八州廻りという役目は初耳だったのと、割と馴染みのある地名が頻繁に出てきたので大変興味深く読みました。時代物で今まで読んだ事のない作風でした。

  • まあ最初はエンジンかかってないんかなとだらだら読んでいたが、最後の畳み掛けるような転がるシナリオは嫌いじゃない。
    続編を読もう読もうと思ってはや数ヵ月

  • 上司に勧められて。
    面白いけれど時代小説は苦手だー。

  • 八州廻りと聞くと、どうしても八州狩りを思い浮かべてしまうのはおそらく私だけではないだろう。
    ただし、今回はその八州廻りが主人公という時代小説としては変わり種ではないだろうか?TVシリーズでも西郷輝彦主演の作品程度が思いつくくらいだしね
    今回の主人公はなんというか今ひとつぱっとしない。確かに、一人関八州を廻り悪党者をとらえて江戸に送ると言う稼業だけにそれなりの腕はあるようだが、本編を通して立ち会いは終盤の一つだけ?もっとあったかも知れないが印象には残っていない。確かに佐伯作品のように超絶ヒーロばかりというのもあれだが、ちょっと頼りない感じは否めない。
    同じ作者の別シリーズ物書き同心において主人公を張っている紋造もそれなりの腕らしいが、これと言った立ち回りは出てこない。どうやら、この作者は純粋な推理小説としての捕物帖を目指していると言うことのようですね。
    本作品では、娘の八重を巡る謎を全体の縦軸に、細かな事件を積み重ねていく形式をとっており、どうやらこれがこの八州廻りシリーズの基本パターンになるようです。
    地味と言えば地味な作品ですがこのシリーズにしばらくつきあってみようと思います。

  • 幕末にできた八州廻りという仕組みが作品に
    面白く反映しています
    主人公にもそのときのめぐり合わせで、上手く
    行かないことがあったり自然ですね
    居眠り紋蔵もそうだった・・・
    最初は一冊で終わらせる予定だったのかな
    「あの」どんでん返しが作品のメインでしょう

    天保水滸伝の飯岡助五郎の作品の中にも主人公が
    出てましたね♪

  • 八州廻りという聞いたことのない役職にまず興味をひく。ドラマから入ったのだが、関八州を駆け回って悪人達と闘う渋い子持ちやもめのオジサンが格好良く見える(笑)ときにしんみり、ときに厳しく人情味溢れる捕物帖である。今も続いているシリーズなので、この先も楽しみ♪

  • 99年4刷本

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著者プロフィール

佐藤 雅美(さとう・まさよし)
1941年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。デビュー作『大君の通貨』で第四回新田次郎文学賞を受賞。1994年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞する。著作に『御奉行の頭の火照り 物書同心居眠り紋蔵』『頼みある仲の酒宴かな 縮尻鏡三郎』『関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛』『知の巨人 荻生徂徠伝』などがある。2019年7月逝去。

「2021年 『恵比寿屋喜兵衛手控え 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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