槍持ち佐五平の首 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2004年4月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167627089

みんなの感想まとめ

江戸時代を舞台にした短編集では、下級武士のやるせないエピソードが描かれています。特に「槍持ち佐五平の首」は、二重予約に翻弄される相馬藩と会津藩のやり取りを通じて、当時の武士の厳しい現実を浮き彫りにして...

感想・レビュー・書評

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  • 「喜連川の風 参勤交代」を読んで、随分前に読んだこの「槍持ち佐五平の首」を思い出した。「喜連川の風」では丸く収まるが、こちらは本陣の二重予約に翻弄された下級武士の、なんともやるせない話。

    江戸時代に著された「半日閑話」太田南畝著と、「文化秘筆」三田村鳶魚編に載っている。ただし場所は「文化秘筆」では奥州道中の"大田原宿とか宇都宮宿とか申す宿"で、相馬藩と会津藩となっている。また、映画「この首一万石」では東海道の三島宿となっているが富士山があり三島女郎と華やかな舞台を選んだのか。

    小説は「文化秘筆」を基にしているようで、小藩の相馬藩へ大藩の会津藩が首を持て、と無理を言う設定だ。

    「文化秘筆」では、
    相馬藩が本陣に泊まっていたら、会津藩が先触れの予約も無く「定宿」だからとやってきて、相馬藩を追い出した。相馬藩は別な宿に移ったが、移る時に槍持ちが槍を本陣に忘れてしまった。槍持ちは槍を返してくれと会津藩の所に行ったが、会津藩は槍は侍の大切な道具だと取り合ってくれない。そこで相馬藩は請取書を持たせて再度返してもらうよう行ったが、今度は槍持ちの首を持ってくれば返すと言われ帰ってくる。そこで相馬藩はその槍持ちの首を斬り会津藩の所に持って行った。

    「半日閑話」では、宿場名は記名が無く、相馬藩が脇本陣から追い出された際に、そこに会津藩が置き忘れた槍があり、返してくれと言う会津藩に首を持ってこいと、相馬藩が言ったとあり、「文化秘筆」と設定が逆になっている。さらに会津藩が首を持っていくと、相馬藩が色を替騒ぎ立ったのを見て、首を持って行った使者は抜打に両三人を斬り、首を持って帰った。さらにこの事は奉行所にも届けがあり、いまだ落着が付かづ、とある。

  • つまらない本だった。
    名前、役職、肩書きばかり書き連ねて、時代小説の面白さが全く無い。
    どうしてこんな本が読まれているのだろうか。
    表題の五平の首だけは、凄く面白かった。
    他の短編は、何が書きたくて、何を伝えたいのだろうか。

  • 目次
    ・小南市郎兵衛の不覚
    ・槍持ち佐五平の首
    ・ヨフトホヘル
    ・重怨思の祐定(かさなるうらみおもいのすけさだ)
    ・身から出た錆
    ・見栄は一日 恥は百日
    ・色でしくじりゃ井上様よ
    ・何故一言諫メクレザルヤ

    本音と建て前と欲としがらみにがんじがらめになっている武士の生活が浮かび上がってくるような作品が8編。
    自分が悪くなくても、家や職や命を失わねばならないことがある。
    理不尽だなあ。
    不条理小説だなあ。

    宿に槍を忘れてきたばっかりに、首を、つまり命を失わざるを得なくなった佐五平なんて、とばっちりもいいところだ。
    自業自得はしょうがないにしても、利権まみれの藩のまつりごとを健全なものにしようと張り切った若き藩主が、家老たちに謀られて座敷牢に押し込められるなんて、大名といえども楽じゃなかったんだね。

    これは小説というよりも、著者が古文書を読み解いているときに見つけた面白いエピソードを、講釈しているような作品集。
    出典は明示されているので、多分史実が核になっていて、そこに著者が肉づけをしたのだと思うが、どこが核でどこからが肉なのかはわからない。

    いやなやつだとの評判はかねがね聞いていたけれど、こんなに嫌な奴だったのか近藤重蔵、と思った「ヨフトホヘル」
    自分の才能を世間が正しく評価してくれない恨みから、人間性が歪んだらしいけど、彼が択捉島に「大日本恵土呂府」と碑を建ててくれたので、それが日本固有の領土であると主張する根拠になっているんだと思ってる。
    ありがとう、近藤重蔵。
    「ヨフトホヘル」とは、酔うと(不平不満を)吠える近藤重蔵のことなんだそうだ。
    なんだか「クウトヘーデル」(さつま芋)「オストアンデル」(アンパン)みたいだね。

    古文書の読み下し文は、現在の仕事に直接のヒントを与えてくれて、大変役に立ちました。
    ああ、勉強になった。

  • 私にとって、佐藤雅美さんの魅力は、日陰者の主人公が見せる硬骨ぶりを描く時代物に有リます。例えば桑山十兵衛シリーズなのです。
    読み始めてアレと思ったのは、この作品群が歴史的事実をベースにしていることです。主人公としては取り上げられませんが、大塩平八郎などの歴史上の人物がそこかしこに現れます。そういう意味では歴史小説のようです。しかし一方、佐藤さんらしい市井物雰囲気も残っており、歴史物と時代物の中間といえそうです。
    やや説明が冗長なところが見受けられたり、何篇かはストーリーにまとまりがない感じもしますが、それなりに楽しめました。

  • 佐藤雅美さんの作品を初めて読んだのだけれど、時代背景に関する内容が長々と書かれているので、時代ファンでないと少し厳しいかも。

    内容は、8編からなる短編集。

    1・小南市郎兵衛の不覚
    2・槍持ち佐五平の首
    3・ヨフトホヘル
    4・重怨思の祐定(かさなるうらみおもいのすけさだ)
    5・身からでた錆的であった。
    6・見栄は一日 恥は百日。
    7・色でしくじりゃ井上様よ
    8・何故一言諫メクレザルヤ

  • 初版本

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著者プロフィール

佐藤 雅美(さとう・まさよし)
1941年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。デビュー作『大君の通貨』で第四回新田次郎文学賞を受賞。1994年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞する。著作に『御奉行の頭の火照り 物書同心居眠り紋蔵』『頼みある仲の酒宴かな 縮尻鏡三郎』『関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛』『知の巨人 荻生徂徠伝』などがある。2019年7月逝去。

「2021年 『恵比寿屋喜兵衛手控え 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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