霊鬼頼朝 (文春文庫 た 43-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167629052

感想・レビュー・書評

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  • 頼朝の話と思っていたらその周りの人の話だったのと、短編はいいがいつの頃か分からないので何度も読み返して頼朝の子どもか、孫かを確認しながら読む。
    思っていた話とずいぶん違ったが内容が濃いのと、わかりやすい話に引き込まれ面白く読める。

    全体的に流れるような書き方をしているので読んでいて詰まるところはない。

  • 短篇集とは思えないくらい密度が濃かった。

    どの話も頼朝本人が登場するわけではないが、背後にはいつも頼朝の存在があるところが恐ろしい。
    私はこれまで実朝にはあまりいい印象を持っていなかったが、その印象を壊して新しい実朝像を見せてくれた。

  • 久々に再読。
    最後のエピソードが一等タイプ。

  • 貞暁(源頼朝庶子)
    平時忠(と源義経)
    藤原泰衡
    源実朝

    以上の4名をそれぞれ主役に据えた短編4本を収録しています。
    タイトルに冠された頼朝は以外にも出番は少ないですが、周辺人物の視点を通したそれぞれの源頼朝像が浮かび上がってくるような構成が面白いです。

    鬱展開ばかりで全体に暗い雰囲気が漂ってますが、源頼朝とその周辺人物に興味のある方は是非。

  • 鎌倉幕府を開いた頼朝の弟、子供たちを取り上げ、間接的に頼朝像を浮き彫りにした短編集。面白く読みやすい。複数の作品に登場する人物もいて、一冊としてのまとまりもいい。旬なところでは平時忠も重要人物として登場している。

  • 後輩君に借りてまた拝読。
    御使雑色、恐るべし!

  • 坂東の武士を率いて鎌倉に幕府をひらいた源頼朝。彼の敵、身内、家人などから恐れられ、または慕われていた、様々な頼朝像で構成される短編集。霊鬼といっても頼朝が化けて出てくる話ではありません。

    その様々な頼朝像を提供してくれる主人公は四人。頼朝と大進局の子、貞暁。清盛の甥、平時忠。頼朝の異母弟、源義経。頼朝の次男で三代将軍、源実朝。

    弟の範頼や義経を容赦なく抹殺し、権力を盤石にしたのもつかの間、頼朝以降の源氏の血統が次々と絶えていく様子はとにかくどろどろに暗い。平家の滅亡から奥州藤原と義経の最期。頼朝亡きあと二代将軍頼家の暗殺。三代将軍実朝の暗殺に続いて後継のゴタゴタ。硬い文体で骨肉の争いを描いています。

    第一話で実朝暗殺の一報が、嫡流の貞暁と禅暁 (頼家の子) に届きます。第四話は実朝が公暁に暗殺されて終わり、そこで第一話に繋がります。時系列で追うと、第二話→第三話→第四話→第一話、となっています。ちょっとごちゃごちゃですが、政子によって早々と出家させられ、密やかに生活していた2人に将軍職相続の白羽の矢がたつシーンがなんとも寒々しく印象的だったので、冒頭に持ってきたのは効果的だったと思います。

    鎌倉の知っている地名が出てきたのは、貞暁が母親に連れられ極楽寺坂を越えていく寂しい件。頼朝つきの御使雑色が静御前の出産した男児を由比ケ浜に投げ込む件。和田義盛の乱で燃える大蔵御所。どれもこれも救いがないなかで、実朝が幼いころ頼朝に連れられて小坪の浜で父子水入らずで遊ぶシーンだけが妙にほのぼのと心に残りました。

  • 20080130

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著者プロフィール

(たかはし・なおき)1960~。東京都生まれ。1992年「尼子秘話」で第72回オール讀物新人賞を受賞。1994年、「悲刃」で第1回松本清張賞候補。1995年、上記作品収録の『闇の松明』が山本周五郎賞候補となる。1996年、「異形の寵児」が直木賞候補になり、1997年、同作及び「非命に斃る」収録の『鎌倉擾乱』で第5回中山義秀文学賞を受賞するなど、本格的な歴史作家として活躍している。著書に、『日輪を狙う者』、『山中鹿之助』、『大友二階崩れ』、『虚空伝説』、『異形武夫』、『湖賊の風』、『裏返しお旦那博徒』、『平将門 射止めよ、武者の天下』、『霊鬼頼朝』、『天皇の刺客』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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