溺レる (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3083
感想 : 313
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167631024

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  • 暗くてさびしい。でも後味悪くないのが不思議。
    どうしようもない人たちが登場する。男も女も。
    此処はいったい何処なのだろう?
    同じような場所に、同じような男女が生息しているような。
    百年とか、五百年後とか、お伽話みたいでおもしろい。

    「亀が鳴く」が印象的だった。

  • とても官能的。
    男女間の張りつめた緊張感、距離感に読んでいてゾクゾクする短編集。
    大人の男女の、時にしっとりと、時にねっとりとした色気に私まで溺レそうだ。
    特に『さやさや』『溺レる』『百年』が良く、読了後も余韻がずっと残る。

    男と女が静かに淡々と情を交わす。
    アイシテルのに、二人でいるのに、何故だかさびしい。
    思いきってアイヨクにオボレてみると、いいのかもしれない。
    こういう川上さんも好き。

  • ちょうどいい、は難しい。ちょうどいい具合に、ちょうどいい加減で、ちょうどいい頃合に。でも、いつも、少し多かったり、少し少なかったり、気を抜いていると、多過ぎたり少な過ぎたりして、行き着くところまで行ってしまう。あるいは、いつまでもたどり着けなくなってしまう。
    愛しているからおよんでみたけれど、およべばもっと繋がれるはずだったけれど、むしろもっと寂しくなる。およべばおよぶほど、一人になる気がする。それなのに、ちょうどいい、は難しい。
    そんな物語が螺旋のように繰り返されていた。

  • これは官能小説。
    性描写もいやらしくなくて、どこか芸術的なモノに感じる。

    川上氏は、擬態語大好きだね。
    擬態語を芸術的に表現していると思う。

    でもこの官能小説・・・
    卑猥ととるか、芸術的とるかは、
    読者次第かな。
    私は「作品」として、とっても完成度高いと思いますが。

  • 「この小説の空気に、たゆたう」という経験は、唯一無二のもの。
    主人公たちは、いわゆる、「社会のなかで生きてく!」って感じじゃなくて、
    よくわかんないとこに、あっけらかんと、住んでいる。暗いとこに住む湿った動物みたいに。
    そこは、ユーモラスで、エロティックで、童話みたいに怖くて、キラキラしてて、ダサくて、哀しくて、いろんなものが未分化で、生とか死とかも、境界もなくて、暗くて明るくて、ドライでウェットで、ぐちゃぐちゃで、混沌としてて、真実なんだとおもう。
    そして、静かなので、すき。からだの深いところが、ぞっとしたり、よろこんだりするのを体験できる、いい小説だと思います。

  • 男女が愛欲に溺レる短編集。でも、好きだからとか、快楽のためとか、そういう感じではなく、「何だか分からないけどそうしなきゃいけなくなっちゃったから」みたいな。あとは、やたらと食べ物がおいしそうだった。性や食事を貪っているのに、なぜか不快感な感じはしなかった。個人的には、全員コナンの犯人のような影で想像した。よく分からなかったけど、たしかに溺レる感じはあった。

  • つまらない女と、つまらない男による、短編8つ。「つまらない日常」なのに、どこに連れていかれるのかわからない怖さがありました。

  • う~ん、退廃と現実逃避の世界だなぁ~。
    でも面白い...。この世界観はなかなか味わえないので、定期的に触れてみたくなるだろうな...。好き嫌いが分かれる作品だと思う。私はOKにしたい。

  • 女流文学賞、伊藤整賞W受賞。短編集。どれも男と女の話。『さやさや』『溺レる』がお気に入り。この人はもの喰ってる描写がいいなぁ。実に旨そうで実に巧妙に取り入れてある。

  • 「センセイの鞄」は好きだったのですが、こちらは苦手でした。登場人物がみんなダメな女性で、共感ができず…。この独特な雰囲気自体は好きです。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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