溺レる (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.30
  • (133)
  • (243)
  • (765)
  • (94)
  • (22)
本棚登録 : 2798
レビュー : 304
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167631024

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • この作品で川上弘美の世界に溺れる。

  • カタカナの使い方がうまいよなあ
    男女の仲って、世の中にある「恋愛を表現することば」で表現できてしまうものではなくて、もっと簡単で、抽象的で、柔軟な言葉で表すものなのですね。
    その時の雰囲気も時間も気持ちも行動も何もかも一語で表しちゃうなんてもったいない、そんな心情が伝わってきました。

    短編集だったけど、ぜんぶ同じような空気が流れていました。
    女性があまり変わり映えのしない感じだったんだけど、最後の「受けてたつ私もなかなか」なのは気に入った。やっぱり同族嫌悪かしら。

  • さやさや:恋愛は高次元なものと思いたいけど、どうしようもなく、排泄と同じ肉体欲求だ、からだは心に(頭に)先行してしまうことを知ってしまっているのは「さみしい」。

    可哀想:遊園地のさみしさ、「頭が大きくて笛吹くのが上手なじいさん」というニ点だけで読み甲斐あるというもの。共感の端っこ捕まれたというか。

    連作ではないけれど、読み進めていくうちに彼女たちの気持ちがつながってゆくように感じる。
    ていうか作品つらぬく「解説」を聞きたいだけなら文庫の解説(穂村季弘)読めばいいんで、作品じたいをわれわれ読者は楽しもうよね。理解・読解が(こういう)読書の本旨じゃないよ。
    →しかし読みたい本と手元におきたい本の差はここか。とはいえ「手元に」と思わす魅力である「読み解き」は「読み説き」じゃない・つまり末尾の「解説」に求められる部分じゃなく、読者わたしの運動/反応的なところを指す。

    また読書論になっちゃうのだけど、物語主体の本ならともかく、「小説」というあいまい言葉には、その読者のあれこれ(=「読書」)も含むかな、と。こういう思ったこと言うのとかさ。

  • 何と言うか、すごい短篇集である。何がすごいのか。どの作品も、女がいて男がいて、とりとめのない会話をして、食べたり歩いたりして、コトに及ぶ。彼らは逃亡中だったり、情死しようとしたり、不死になって何百年も生きていたりと、切羽詰っているはずなのに、どこかのん気だ。「アイヨクにオボレる」なんて、のん気じゃないと言えないセリフだ。しかしそののん気さは、切実さとか底なしの不安とかを押し殺した上ののん気さのような気がする。それを淡々とした口調で語られるものだから、読んでいて切ないことこの上ない。
    ところで川上氏の性交描写はかなり際どいのに無臭なのはどういったわけだろう。
    ☆女流文学賞・伊藤整文学賞

  • 「溺レる」
    「リフジンなものってなんだったんだろう。」読み終わった瞬間はフと夢から覚めたみたいな感じ。多分、時間も場所もよくわからないし、会話はポツポツ。登場人物の顔の特徴もわからないし、年齢もわからない。全くこっちの想像。
    「逃げましょう」「アイヨクにオボレましょう」「死にましょう」
    でも一体、何から逃げてたんだろう・・・・

  • カバーをかけたまま、途中まで読んで放置されていた。

    いつもは好きなのだけれど、今回のは今の気分じゃなかったみたい。

    逃げたり、逃避したり、向き合わなかったり。
    粘るという表現がちょっといやだったり。

    また違うときに再読すると、また違って読めるだろうと思う。

  • 溺レるってタイトルがぴったりの短編集。
    ダメ男とバカ女ばっかだなって思ったけど、抜けられないんだろうなぁ。
    みんな、アイヨクに溺れてる。

  • 全部で8つの短篇集

    ぱっ と見渡したときに
    字面が とても やわらか。
    ひらがなを使って
    水彩画みたいに性を描く方だな
    、という印象。

    肉体が控えめ、というか。
    身体の、中身。
    人、てゆう入れ物の、中身。
    アイヨク も セックス も
    それを混ぜるための、方法。
    淡々とした そんな温度や 空気感。
    全て女性目線の話なのだけれど
    ベタベタしていなくて
    古風な言葉使いや
    独特のリズムも心地よかったです。

    言葉の並べ方に
    すごく はっ とさせられて
    久しぶりに 本の耳を幾つか折りながら
    読んだ1冊でした。

  • 男と女の物語。
    ヌメった感じ、湿度の高い感じ、それでいて生暖かい。高めの温度の寒天の上でジワリジワリと成長する菌のようなイメージ。
    名前がカタカナで表現されている。核となる個人がここには居ない。曖昧なナマエのまま、たゆたうココロの独り言。
    どの作品もエロちっくだけれど、どうもピントがエロに来ていないので燃え上がらない。いや燃え上がっているのだけれど、ココロが邪魔で集中できない。文学だし。
    彼女たちはうつらうつらと考える。そして聴覚が異常に鋭い。男たちには聞こえない波長を彼女たちは捉えてしまう。
    決定的に自分とは異なる「感覚女史」を久しぶりに見たという思い。
    99年の作品。論理的な考え方が流行るこの世紀に彼女たちが生き残る隙間は残されているのかしら。
    いえいえ、彼女たちは流されているようでいて、実は自分が彼女たちに流されていくのだ。そういう意味ではラフレシアのように悪女と言えるのかも知れないし、負の女の系譜なのかも知れない。
    だから「溺レる」のは男たち。
    で、この作品もヌラヌラと読み進み、次を欲してしまっているのは、その湿った世界に溺れる、ひょっとすると犯されてしまったのかも知れない。

  • 短編だったが、たくさんの話が入っているのでちょっと読みにくかった。本当に溺レていて苦しかった。おじいさんとおばあさんの話が一番好きだった。

全304件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

川上 弘美(かわかみ・ひろみ)
1958年生まれ。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』でドゥマゴ文学賞と紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨、15年『水声』で読売文学賞を受賞。ほかの作品に『風花』『どこから行っても遠い町』『神様2011』『七夜物語』『なめらかで熱くて甘苦しくて』『水声』などがある。2016年本作で第44回泉鏡花文学賞を受賞した。


「2019年 『大きな鳥にさらわれないよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

溺レる (文春文庫)のその他の作品

溺レる 単行本 溺レる 川上弘美

川上弘美の作品

ツイートする