龍宮 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1239
レビュー : 145
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167631048

感想・レビュー・書評

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  • エロティックで幻想的な大人のための神話。お伽噺。

    川上弘美の魅力が全開。

    不思議な話なのに、違和感がない。
    現実と非現実の境目が曖昧になる。

    哀しみと暖かさ、愛しさと厭わしさ、
    相反する感情を内包した小説。

    年齢を重ねるごとに読まなくなる作家さんも多い中で
    川上弘美の作品は、どんどん好きになる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「相反する感情を内包した小説。」
      川上弘美って、ドロっとしていたり、夢の中みたいだったり、ほんのり温かだったりして、掴みどころが無いように思...
      「相反する感情を内包した小説。」
      川上弘美って、ドロっとしていたり、夢の中みたいだったり、ほんのり温かだったりして、掴みどころが無いように思えるのが好きと言うか魅力的です。。。
      つまり何か良く判らないけど惹かれるんです、、、スミマセン莫迦で。。。
      2013/03/19
  • 人と、人にあらざる聖なる異類。
    読む前は梨木香歩の「家守綺譚」を思い浮かべたのだけど、読んでいるとちょっと違う。
    「家守綺譚」は人と人にあらざるものは、互いにあまり違いを感じていないように思う。
    ちょっとした個性程度の差。

    この短編集に収録されている作品の中で、人と人にあらざる者は融け合い混ざり合っても、決して同化はしない。
    けれども、人が確固とした人であるのかというと、それもまた違う。
    本人が人と言っているだけで、それは私たちが通常知っている人とは明らかに違う。
    限りなく狐に近い人。生きる気力を取り戻すためにモグラのコートのポケットに入り込む人。壁の漆喰を食べる人。
    それでも、人と人にあらざるものは違うものとして書かれる。

    海から上がり、人の男とまじわり何人も子どもを産んだ海馬は最後海へ帰り、蛸は人間になって二百年経っても、やっぱりぐにゃぐにゃと揺らぐのだ。

    人間の会社に勤め、仕事帰りにアレを拾って帰るうごろもち(モグラのこと)。

    “アレも、生きる精というもののなくなってしまった人間たちなのかもしれなかった。アレは、ほうっておくと、虚になってしまうのだ。アレ自身も、アレのいる場所も、そのうちにはアレのいる場所の周辺をも、虚にしてしまう。実でないものにしてしまう。”

    そのアレを家に持ち帰り、人間の社会に戻っていけるまで家で放っておくモグラ。
    声を掛け合わず、視線を合わさず、触れあわない人間を、寒いと思う。暖かいのが好きなモグラは、それでもアレを拾って人間に返す。
    そんな「うごろもち」が好きだな。

    読んでいて内田百閒を感じたのだけど、作者は百閒先生を敬愛しているらしいので、あながち間違った読み方をしていない、と安心。
    全ては勘違いだ!となると、やっぱりへこむものね。

  • 人間と人ではないものとの交流を描いた、幻想的な8編を収めた短編集。

    川上弘美の作品を読むたびに、異世界にずるりと引きずり込まれる感覚が心地よい。しっとりとしているのに陰湿ではなく、艶めいているのに淡々としていて、深い海の底をゆったりと漂っているような気分になる。
    まだまだ未読のものがあるので、少しずつ読んでいこう。

  • 奇異なファンタジーというか、異種との交流が何とも違和感はあったが、いつの間にかひきこまれるように。

    題名のつけ方も素敵。

  • 「うごろもち」と、「島崎」が好きでした。
    特に、うごろもちの最後が。

  • 人ではないものの短編集。物の怪?忌憚とでもいうのか。
    動物以上人間未満という表現が相応しいかはわからないが、それらを通すことでふんわりしんみりと、人間の不思議さや不便さとやらを感じることができる。
    現実世界に溶け込む感じの話なので、却って完全なファンタジーよりも世界観が緩い。私個人はこの世界観に入り込むことができなかったので★2つとしたが、ワクワクドキドキな起伏は無いけれど不思議をしんみり読みたい人にはいいのかもしれない。

  •  読んでいて感情が高ぶったり、あるいは落ち込んだりしない。
     どこまで読み進めても感情はずっと平坦なまま。
     そんな感じ。
     そしてそんな平坦さが意外と心地よい。
     何食わぬ顔付きでそれとなく読み手を自分の世界に誘う。
     ただ、最後の「海馬」は非常に切なく、心が強く揺さぶられた。

  • この不思議な世界にどっぷりと浸かりました。 ほとんど訳がわからないのですが、訳がわからないところが好きです。 人間ではないものがたくさん出てきますが、夢のような、でもどこか現実のような気もします。このような世界が現実のどこかにあるような。
    昼も夜も尽きるところ、を目指します。

  • 怪しくて、妖しくて、不気味。
    湿り気を帯びていそうな舞台であったり、一見ヒエッと残酷に思えたり。
    けれどどこかどこかあっけらかんとしていてドライなのがおもしろい。

    「ヒト」と「ヒトでないもの」が混じり合った世界。
    この「残酷」、なんていうのも「ヒト」としての感覚、価値観なだけかと納得してみると、なんとなく落ち着かないようなものがあった話にも、親しみが湧いてくる。

    最初の1,2編で苦手に思われた方、『島崎』はいかがでしょう。
    くすんだちょっとダークな色合いの大人の童話という印象。

  • 川上弘美さんのパスタマシーンの幽霊を探しにいって この本を見つけました
    不思議な人間でわないものの話
    島崎が好きです。

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著者プロフィール

川上 弘美(かわかみ・ひろみ)
1958年生まれ。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』でドゥマゴ文学賞と紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨、15年『水声』で読売文学賞を受賞。ほかの作品に『風花』『どこから行っても遠い町』『神様2011』『七夜物語』『なめらかで熱くて甘苦しくて』『水声』などがある。2016年本作で第44回泉鏡花文学賞を受賞した。


「2019年 『大きな鳥にさらわれないよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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