紫紺のつばめ (文春文庫 う 11-2 髪結い伊三次捕物余話)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167640026

感想・レビュー・書評

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  • Lampの岩さんにお勧めされて以来、宇江佐真理さんの作品にはずるずるズルズルと引きずり込まれっぱなしです。うちにはまだ平積みにされた、読まれるのを待っている本が山になっているというのに!

    …なのに、徒然舎の書棚で見つけて手に取ってしまいました。もちろん買っちゃいました。その時読んでいたのがカミュの「ペスト」で、翻訳物が苦手な癖して時節柄読んでみようと思ったのだけど、時間がかかるかかる、早く紫紺のつばめを開きたい!と思っていたので、ペストを読み終わったら即!読み始めました。
    紫紺のつばめはシリーズ2作目の文庫本なのだそうで、もう一冊一緒に手に入れた作品を読むべきか、シリーズ第一作を探し求めて読むべきか、ちょっと悩ましいけれど、きっと執筆された順に読みたくなるんだろうな、と思うので、一旦、宇江佐真理作品から離れて(相当の我慢をして!)シリーズ作品を全部揃えてから読むことにしようと思います。

    宇江佐真理の描く江戸の風景を想像していると、江戸時代に暮らしてみたかったなぁ、と思わずにはいられません。今とは尺度が全く違うのはもちろんでしょうが、それでも、この物語の中に生きることができたなら、それはそれで幸せなんじゃないかな、と思うのでした。

  • シリーズ二冊目にして濃密な巻でした。
    表題作『紫紺のつぱめ』では早くもお文との別れ?と思ったし、『ひで』は惚れた女のために板前から大工になり体調を崩して…という哀れと思える話でした。『菜の花の戦ぐ岸辺』では伊三次がご隠居殺しの下手人としてひっぱられるという衝撃的な展開でハラハラしました。その事件で自分を信じてくれなかった同心不破のだんなと決別し、彼の手先もやめた伊三次でしたが、不破の妻女いなみの仇討事件に巻き込まれてしまう『鳥瞰図』。そしてお文の女中おみつのかどわかし事件『摩利支天横丁の月』。
    次から次へと事が起こり、読者を引っ張っていく力はすごいです。伊三次は結局不破の元に戻ることになるのだろうなぁと思いますが、伊三次の意地も分かるし、不破には不破の言い分があるだろうし、どういう風に落ち着くのでしょう。もしかして『摩利支天~』の件でなんとなく戻っていることになっている、ということはあるのでしょうか(苦笑)。
     それにしても宇江佐さんは人間の喜怒哀楽、特に“哀”の部分を上手に表現する作家さんだと思いました。

  • 一本気で正直な回り髪結いの男、伊三次。でも、またまた哀しい出来事が。
    生きて行くことは辛い出来事との遭遇の繰り返しだよね、それでも人は生きて行く、それを上辺でなく、書ける著者の作品が哀しいながらも好きです。
    不破のダンナの不器用さも、人の弱さのひとつですが、弱いから悪いわけではない、そう言いきってくれるような気がするのは著者が人を信じているんだろうな~という気がします。

  • 第二弾も面白いです。

    材木商伊勢屋の主人・忠兵衛からの「世話をしたい」という度重なる申し出に、心揺れる深川芸者のお文。一方、恋人の伊三次は、本業の髪結いの傍ら同心の小者として、頻発する幼女殺しに忙殺される日々。2人の心の隙間は広がってゆく(表題作)。そんな時、小間物問屋の大旦那・惣兵衛殺しの嫌疑が伊三次にかかり……(「菜の花の戦ぐ岸辺」)。他、お文の女中・おみつが行方不明になる「摩利支天横丁の月」など波瀾にとむ全5篇。人の痛みを描く人気捕物帖シリーズ第2弾!

  • 時代劇や時代小説を好んで嗜むことがなかった私に、新しい扉を開かせてくれたのが前作。続き物で嬉しい。何でこんなに読むのが楽しいんだろう。登場人物の様子が目に浮かんでくるし、結末をわくわくして待っている自分がいる。単なる勧善懲悪の話ではないところが好きな理由のひとつではある。

  • 人の心の機微が細やかで好き。
    伊三次とお文はこれからどうなるのかな?
    得体の知れない気持ちの伊勢忠がちょっと気になる。
    弥八

  • 2022年3月7日
    まだ一緒になっていない、若い頃の髪結いの話。
    あとがきと解説がまた良い。

  • 昨年夏に、16冊(うち1冊はシリーズとは別の10年を描いた文庫書下ろしの長編とのこと)あるシリーズものと知りながら、手を出してしまった。シリーズものなので、一気に揃えて一気に読むのも1つなのだが、読みたい本が山積みで、シリーズ2冊目、ようやく読んでみた。前作から半年くらいたってしまったな、、、先は長そうだ(苦笑)

    今回は、始まって早々に、伊三次とお文が別れてしまうのか、とひやひやしたり、伊三次の子供の頃からの知り合いが亡くなったり、おみつが事件に巻き込まれたり。てんこ盛りと言うのか、せわしないと言うのか。
    でも、結婚ってなんなのだろう、お金ってどれくらいあれば人は安心できるのだろう、仕事とか生きがいってなんなのだろう、とか色々と思いながら、あっと言う間に読み終わった。

    今回手に取った、シリーズ2冊目の文庫本には、ご本人の”文庫のためのあとがき”が収録されている。そこには、このシリーズへのご本人の思いが記されている。『髪結い伊三次のシリーズは編集者がもう要らぬと言わない限り、書かせていただくつもりである。私は伊三次とともに現れた小説家なので、伊三次とともに自分の幕引きもしたいと考えている』この文庫あとがきが書かれた時点では、単行本が3冊出ていたようだ。それから、シリーズは16冊となる。長く愛される作品になったのだなあと思うとともに、残念ながら作者は亡くなっているので、この時の覚悟の通りに、書き続けたのだなあと感慨深く思う。

    シリーズものだから一気に読んだ方がいいかなあ、と少し思ったりもしていたのだが、作者のあとがきを読んで、やっぱり少しずつゆっくり楽しむのもいいかな、と思ったりしている。

  • 請求記号 913.6-UEZ(上野文庫)
    https://opac.iuhw.ac.jp/Otawara/opac/Holding_list?rgtn=1M027040
    女流作家による傑作・シリーズ物が目白押しのジャンルですが、本編は訳ありの主人公とヒロインの岸辺でのやりとりが絶妙。脇役のスリもいいです。ハンカチのご用意を。

  • 髪結い伊三次捕物余話第2巻。
    2巻だっていうのに、わりと話の展開がジェットコースターで、伊三次踏んだり蹴ったりでかわいそくないか?と。


    収録作品:紫紺のつばめ ひで 菜の花の戦ぐ岸辺 鳥瞰図 摩利支天横丁の月

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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