ゲルマニウムの夜―王国記〈1〉

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 593
レビュー : 79
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167642037

作品紹介・あらすじ

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。それこそ現代では「神」に最も近く在る道なのか。世紀末の虚無の中、神の子は暴走する。目指すは、僕の王国!第119回芥川賞を受賞した戦慄の問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 花村萬月で芥川賞ときたら、鬱々としたバイオレンスというイメージだけど、そのとおり。本作は「ハードボイルド純文学」という感じ。

    のっけから、暴力とリビドー、その下地が、それらを相容れないような宗教的に外界から切り離された世界。宗教の純潔さと現実の醜さ、性衝動と死体と汚物にまみれた、もう芥川賞選考員が大好きなテーマでしょ?

    文章の方は知識や薀蓄、絶妙な固有名詞を独特のリズム感で綴っていく。しかし乱暴なわけではなく、言葉選びもかなり丁寧にされていると感じた。決して奇をてらった文章ではない。

    圧倒的な言葉の前に、読むしか無いという状況になるのは、昨今の芥川賞受賞作よりも優れているのではないかと思う。口に石を噛ませてから殴る蹴る、溶けていく豚の死体、痰を入れたレーションをすすらせるなど、最初から最後まで、もう目を背けたくなるような文章ばかりだが、それを踏まえても、続きを読ませてしまう文章力は素晴らしい。

    背徳版の「車輪の下」であろう。

    なお、文庫版にあたって、フランシス・ベーコンの表紙を変えてしまったのはなぜだろう?ベーコンの絵のイメージと合致した内容と言えたのに。

    とはいえ、続けてこのシリーズを読む体力はございません。あと、まったく子供向けじゃないのであしからず。

  • 最近はやり?の暴力、精神世界、SM・・・
    才能?
    流行?
    どうでしょう・・・
    捨てたくなるほど嫌ではありませんでしたが・・・

  • 芥川賞をとったのは理解できるのですが、私にはイマイチだったなぁ。

  • 面白い。

    “神の実態は、たぶん言葉の万能ぶりなんだよ” p230

  • ピカレスクロマンとジャンル分けはできるのかもしれないけれど、ジャンル分けって不毛だなと思うだけの中身があるような気がする。読まれるべき毒のある小説だと思う。

  • 冷酷で暴力的で傲慢な男なのに、どうしたって主人公の朧に惹きつけられるし、読み進めるうちに親しみさえ覚えてしまう。まるでリヤカーを後押しする幼い収容生たちのように。最高のピカレスク小説。

  • 最初は退屈というよりつらいくらい、中盤くらいからは進みだしたけど。

  • 私にはよくわからない芥川賞作品が多い中、これは面白かった!エロくてグロい描写が多いですが、哲学的なことも投げかけられます。宗教とはなんなのか?そう言えば、中世?には免罪符なるものがあったな、と思い出しながら読みました。

  • 最高に美しい文章

  • 暴力とかセックスとか。
    その様なテーマの本にあまり興味もないけど。
    表現がエグいなぁと思ったが、読んでいて、特に快も不快もなかった。
    あと、宗教みたいなものとか。


    『宗教みたいなもの』
    というのは、特に私自身がその信者じゃなくても、なんとなく理解できる内容であったこと。
    例えば、海外の小説などでは、宗教的価値観の違いというか、その考え方を理解できない時がある。そういう意味では、本当に、厳密な意味での宗教をテーマにした、とも言い難いのか、と。



    一番の読みどころは、『王国の犬』の、朧と、モスカ神父の問答。
    『舞踏会の夜』の、朧と教子の、神についての会話も面白かった。



    漢字が若干難しかった。

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著者プロフィール

花村萬月(はなむら まんげつ)
1955年、東京生まれ。1989年、『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。1998年、『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、同年『ゲルマニウムの夜』で第119回芥川賞、2017年、『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞している。

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