月のしずく (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1504
レビュー : 191
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167646011

感想・レビュー・書評

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  • この短編集の最後の作品「ピエタ」を読んでもう号泣しまくりました。桐野先生の『OUT』の様に暗唱できるまで100回以上は読み返しています。暗唱しながら泣いてましたねぇ。

  • 表題作「月のしずく」は、荷役作業30年の男と美女との出会い、その後の行きがかり上の協同生活を通して、互いの心が変わっていく模様を描いている。
    主人公 佐藤辰夫の心には、神が宿ってする気がします。
    リエという女は、不倫相手の社長とケンカして、辰夫のおんぼろ屋に転がり込むことになった。
    この生活の中で、リエは、辰夫のことを利用しようとする。
    その為なら、”抱かれてもいい”という。でも辰夫は、”抱かない”。「こんなことは、よくない」といって。こんな奇特な男がいるなんてと思ってしまうのは、あまりにも自分が俗っぽい考えしか持たないからかな。
    辰夫は、リエという女性に魅かれていく。彼女が妊娠していることも含めて引き受けようとする。その心情は、神が授けたものではないだろうか?30年荷役作業を続けたことで、修練された心のせいなのか? 彼はリエの美しさだけに魅かれたわけてではないと思いたい。彼女の中にある”哀しさ”を感じたせいだと思う。
    この世には、時々、神が遣わしたと思える心を持った人間が、ひっそりと暮らしているのだと思う。彼ら自身は、そのことに気付かないまま。それに気が付けるのは、その傍を通りかかった、傷ついた人だということだろう。

    「聖夜の肖像」は、切なさと共に、心の中に人の愛を感じることの喜び
    夫と二人の子供を持ち20年という歳月を過ごしながら、
    夫に対し「愛してないのよ。こんな贅沢させてもらって、かわいい子供を二人も生ませてもらって、おかあさんの面倒までみてもらって、それでもあなたのこと、愛してないのよ。今でもあの人のこと、大好きなのよ」という妻。妻は夫と出会う前の恋人への気持ちを終わらすことができないまま、暮らしてきた。


    「聖夜の肖像」「花や今宵」は、自分の生き方に納得しきれないまま来た女性の気持ちが変わっていくシーンが、心を少々揺さぶる。

  • 7篇からなる恋愛をベースにした掌篇小説。
    最初の1篇が月のしずくで30年近く千葉のコンビナートで荷役として働いて男のところに、銀座の美人ホステスが転がり込む。最初はどう扱っていいか分からない状態であったが2,3日するうちに彼女の今の状態を聞き情が写っていく。純朴な男に癒される。
    重松清のとんびで出てくるやっさんに似ている。

  • 7編を収めた短編集。1996年から1997年にかけて書かれたもの。「鉄道員(ぽっぽや)」の直木賞受賞が1997年上半期ということなので、直木賞受賞前後に、要するに、浅田次郎が売り出す前後に書かれたものだ。

    何となく、今の浅田次郎の作品に比べて若々しさを感じる。今の浅田次郎の作品が嫌いと言っているわけではなく、あくまでも印象だけれども、今の作品よりも技巧的な感じを受けない気がするのだ。どちらも好きであるのだが。

  • 月のしずく 聖夜の肖像 琉瑠想 花や今宵

  • 「ピエタ」が好き。

  • 大人のための短編集。お涙頂戴ではないけど、少し物悲しくなった。
    やはり、短編集としてさらりと読めるのが、本に追われる感じがなくて良いかも。

  • かなりよかった。浅田次郎の短編はやはり良い。

  • 結構あっさり読めたな、というのが率直な感想です。
    勿論泣かされどころはありますが、出てくる人たちが比較的若い(といっても妙齢ではありますが)ので、年齢故に重ねた重みのようなものは比較的軽い気がします。
    (そう考えると浅田氏の書き分けは本当に素晴らしいです)
    とはいえ男女の嘘は可愛いと思いましたし、母を求める娘の想いはなんだか心が痛くなったり。
    楽しんで読めました。

  • 気付いたことがあった。何て不器用な人なんだろう。ほころびをうまく繕えずに、つぎはぎの人生になってしまった。
    でもね、おかあさん。
    おかあさんのつぎはぎは、大きなパッチワークみたいで、きれいだよ。まるでブーゲンビリアの花の下に、何だかよくわからないけどとってもきれいなタペストリーが、拡げてあるような気がします。
    (ピエタ)

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著者プロフィール

浅田 次郎(あさだ じろう)
1951年、東京都出身。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木三十五賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞それぞれ受賞。2015年には紫綬褒章も授与されている。
2018年現在、日本ペンクラブ会長、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞の選考委員を務める。2018年12月15日、『輪違屋糸里』が藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈らの出演で映画化。

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