月のしずく (文春文庫 あ 39-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1995
感想 : 211
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167646011

感想・レビュー・書評

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  • 浅田次郎さんの小説を読むのは三冊目くらいだけど、女の人より男の人の支持者が多いような気がしている。少なくとも私の周りで浅田次郎さんが好きだと言っているのは全員男の人。
    というのも、この短編集を読んで少し解った気がする。
    あらゆる意味での“男のロマン”が詰まっているように思えたから。

    表題作はまさに“男のロマン”。
    コンビナートの荷役を30年近くしている冴えない40代の独身男の元に、ある十五夜の晩、ひょんなことから美しい20代の女が転がり込んでくる。
    というプロローグからロマンが溢れているように思えるし、主人公の男はこれでもかというほど純朴で、美しい女は気が強い、というところもまさに。

    その他も、不倫の関係を精算したあと相手の女に少しの執着心を見せる中年男が主人公の「琉璃想」は、切なくて物語自体は好きなのだけど、主人公の行動は女としては理解しきれない部分もあったりする。
    任侠の世界やバイオレンス的な世界に対する憧れが見え隠れする物語もある。
    女性が主人公の物語であっても、どこか思考が男性的であるような気がした。言ってしまえば「女はたぶん、もっとずる賢く立ち振る舞うよ」と思ってしまう感じ。笑
    それだけ美しい結末のお話が多かった。

    映画化に向きそうな物語ばかり、と思っていたら、実際の「銀色の雨」は映画化されているみたい。
    ヤクザに匿われている殺し屋と情婦とその情婦を愛する少年のお話。

    女よりもきっと男のほうが理解して感動もするだろう。と感じた作品群でした。

  • 愛した人が例え自分には決して振り向かず、
    他の人を想い続けているとしても、 愛してきた自分がいるからいい
    という台詞があって、泣きそうになった。
    自分はそこまで好きになれる人に出会えるだろうか。

  • 最近、血生臭い系の小説が続いたので目先を変えて浅田次郎の短編集。
    私的には浅田次郎の最高傑作は「壬生義士伝」。
    浅田作品は登場する凛とした人物が好きで何冊も読んでいます。

    この短編集は7つのお話しが納められていますが私にはイマイチハマらなかった。少し甘めの星3つ。
    唯一少しグッときたのは最後の一編の「ピエタ」かな。

  • ずっと積読にしていた本と思ったが、読んだことあった。

    浅田先生の「鉄道員(ぽっぽや)」の頃の短編集。
    「月のしずく」千葉の姉ケ崎だったら、多少土地勘もあるのに、既読に気が付かなかった。「聖夜の肖像」で、稍々記憶があるなあ。4作目の「瑠璃想」は、覚えていた。他の作品もしっかり覚えていたものも、全然記憶のないものも。
    記憶のない作品も浅田節に慣れてしまっているのと、目の衰えで、一文字一文字文字を追わず、大体の文意を追うような読書になった。

  • 『月のしずく』他、短編全7話。
    浅田次郎作品という事で手に来てみたものの、いささかストーリーが出来すぎてる感が否めず。内容もクサいやり取りが多く、結末も意外性が乏しい気がする。次の作品に期待したい。

  • 短編集。
    三十路よ誕生日に不倫相手にさえ会えない女と、上司の女に振られた男の話など切ないものばかり。

  • おお外れせず、文庫本で、短編が読みたい。
    そして、タイトルに惹かれた。

    6本ぐらいからなる短編集。
    タイトルにもなっている「月のしずく」が一番心に残った。全体的に読み易く、心がちょっとしんみりする作品が多かった。

  • 主人公の、それぞれの過去との対峙を描いた短編集。思い浮かぶ情景に、思いを馳せる。それぞれ完結しているので読みやすい。それにしても、浅田さんの作品を読むと何となく「べらんめえ口調」がうつりそうになるの、私だけ?

  • 駄目男&女の話。

    月のしずく、最後の章の前の章、男の胸中を語っておきながらの最後の章の書きっぷりはある意味痛快。うーむ、すごい書き方。

    似たような話が多い。後半はお腹一杯に。

  • 気付いたことがあった。何て不器用な人なんだろう。ほころびをうまく繕えずに、つぎはぎの人生になってしまった。
    でもね、おかあさん。
    おかあさんのつぎはぎは、大きなパッチワークみたいで、きれいだよ。まるでブーゲンビリアの花の下に、何だかよくわからないけどとってもきれいなタペストリーが、拡げてあるような気がします。
    (ピエタ)

  • 歴史小説ではない、短編集。
    よくある過去の環境と現在の恋愛の話。
    読みやすいので、寝る前に布団の中で読むにはいいかも。
    仕事中のお昼休みには向かないかな。

  • 読んでいて気恥ずかしくなってしまう作品とこれぞ浅田次郎節(任侠道編)と思う任侠作品が混在した短編集。各作品の評価はつぎの通り。
    「月のしずく」★★★
    「聖夜の肖像」★★★
    「銀色の雨」★★★★
    「流璃想」★★★
    「花や今宵」★★★
    「ふくちゃんのジャックナイフ」★★★★
    「ピエタ」★★★

  •  有名な「ラブレター」でも涙を搾った浅田次郎。女性の心情すらおてのもの、なはずが、微妙にズレているように思う。特に表題作『月のしずく』はどうなの?ファンタジーと言われればそれまでなんだけれど。

  • 似たりよったり

  • 恋愛短編集。どんでん返しはなく、素直で美しい恋愛短編集。

  • 少し話が大げさな感じ

  • 昭和ロマンかな。

  • 7編からなる短編集。
    最後の「ピエタ」はずるい。

  • 浅田次郎らしい短編集。聖夜の肖像は電車の中で泣いてしまった。チャコはこれから全力で真ちゃんを愛して欲しいと思います。

  • 短編集、作品事の好みが分かれるかな。

著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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