月のしずく (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.45
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本棚登録 : 1504
レビュー : 191
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167646011

感想・レビュー・書評

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  • 多分ああいう感じなんだろうなと、わかってないようでわかったような雰囲気のある浅田次郎。そういうわけでしばらく避けてきたんだけど、短編集だから良いかなと思ったのが間違い。

    工場のパッキンの仕分けと品出しをしている、男やもめの40過ぎ。夜にフラフラとしていたら、やくざ者と見られる男が、銀座あたりのホステスを車から蹴り飛ばし、喧嘩の上さるところを見かける。行き先のないホステスを一晩泊めることになったが…。

    全体に、純文学になりきらないし、人間ドラマというほどでもないフワフワとした感覚の小説が続く。全体に漂う厭世観や投げやりな雰囲気が書きたいというところはわかるのだが、なんというか、のめり込んだりするほどのものでもない。

    最後の過去に捨てられた、実の母親に、好きでもない男と結婚すると言いにローマまで旅立つという話は、女性作家かな?と錯覚させるものがあり、それはそれで秀でたテクニックなのだろうが、それで何か?と思ってしまうのだ。

    ヤクザの鉄砲玉に男として惚れてしまう話が、まあまあ読める程度。

    なお、微細な部分だが、背中側から抱きしめて寝るというシチュエーションがやたら出てくるのだけど、そういう性癖なのかしらん。

    ま、長編を一本くらい読んでから判断。

  • 浅田次郎の本がとにかく好きだ。
    これも、なぜ見落していたのかと思った一作。
    人間の儚さと強さが静かなトーンで書き綴られている。
    そして、いつものように歴史モノや海外モノは「どこでこの人はこんなに知識を拡げたのか」と唸らせられる。
    面白かったです。


  • 男女の愛情であったり、親子の愛情であったり、色んな“情”に溢れた、なんかいい話ばかりの短編集。
    熟練の大将が、素材も調理方法も全て異なる料理を次々と出してくれるのを、美味い美味いと言いながら食べているかのように読み進めていきました。
    中でもグッときたのは
    『聖夜の肖像』
    『銀色の雨』
    『流璃想」
    『ピエタ』
    でした。って全7篇のうち4篇も選んでちゃ世話ないですね。
    どれも面白かったです。

  • 恋愛短編集。どんでん返しはなく、素直で美しい恋愛短編集。

  • 幸せな結末ではないけど、読んでホッとするようないい感じの短編集。
    さすがに文章がうまいので、サラサラ読める。

  • 短編集。『銀色の雨』『月のしずく』がよかったです。久しぶりに大人の男と女の物語を読んだような気がします。どれも終わり方に余韻が残って、この後二人はどうなったのか?たぶん幸せになったのだろうと思う。そんな風に思わせる読後感の良い全7編でした。

  • 久しぶりに浅田次郎さんの作品を読んだけれど、時々涙が出そうになり、さすがに上手だな、と。
    特に独白部分がよかったし、ラストが読者がこうなってほしいと思うような展開になり、読後感もよかった。

  • あまりこういった恋愛小説の類は読まないのですが。。。
    浅田次郎さんという作家はとてもエモーショナルで、私の中では「泣かせの次郎」。これでもかと泣かせを迫るのですが、どういうものかそれが余りいやらしくない。そのあたりの上手さがこの作家の特徴のように思います。
    一方、冷静になって考えると、しばしば「何でそうなるの?」と思われるストーリーの必然性の無さが気になるところも有ります。特に長編ではそのあたりが気になってました。
    短編は今回が初めてです。やはり「何故」は感じるところが無いとはいえません。しかし短い場面を切り取るという短編の特性ゆえでしょうか、長編よりもその傷が浅くて済むようです。長編よりも寄り爽やかで、一気に読み上げました。

  • 一筋縄でいかない恋愛短編集。
    月のしずく:不器用な仕事人の主人公が報われる話は、読んでてうれしいし、この作者に書かせると上手い。
    聖夜の肖像:チャコさんはしあわせな女だと思うし、周りの人が素晴らしい。
    銀色の雨:恋した女性を追ったばかりに、別の世界に踏み込みかけたカタギの少年の話。
    瑠璃想:中国に故郷を持ち、過去に家族をそこに置いてきた社長の話。
    花や今宵:出てくる男女が意地っ張り。最後数行のスピード感が笑える。
    ふくちゃんのジャックナイフ:最後の映画のワンシーンのような描写のために、書かれたような話。
    ピエタ:大人の女とその母の話。「聖夜の肖像」「瑠璃想」とこの話は過去と折り合いをつける話。

  • 酒好きの中年おっさん向け良質短篇集。
    どの話を気に入るか、人によって好みが分かれそうですね。
    個人的には「瑠璃想」がお気に入り。

    ★4
    月のしずく、聖夜の肖像、銀色の雨、瑠璃想

    ★3
    花や今宵、ふくちゃんのジャック・ナイフ、ピエタ

  • 心が洗われる作品ばかりの短編集。1996~1997年の作品で、この頃の浅田さんの作品が私は一番好き。神様のように善良で惚れた女の為なら何でもする男。その人間性に惹かれていく女。こんな感じの設定が多いですが著者の引き出しの多さで、どれも新鮮で哀愁があり余韻が残る。コンビナートの荷役をしているさえない男と美しい女との話の「月のしずく」やパリで別れた恋人を忘れられないままの妻とそんな妻を一途に愛する「聖夜の肖像」。若い愛人との別れと不幸な自分の生い立ちに思いを馳せながら故郷中国を歩く「琉璃想」が良かった

  • P352

  • 2016_08_18-0085

  •  妻子持ちだった恋人とひどい別れ方をしたリエはたまたま居合わせた辰夫の家に厄介になることに。
    「お腹の元恋人の子供がいるの、お願いちょっと|中絶《おろ》すの手伝ってよ」
     しかし純粋な打算で近づいた男は何を勘違いしたのかその子を二人で育てようなどと言ってくる。はあ、とんでもないお馬鹿な奴もいたもんだ。こんないまだに汲み取り便所を採用しているようなアパートに住む男がこの私と釣り合うとでも思っているのかしら。学もなさそうだし、たぶん身の程知らずという言葉も知らないんじゃないかしら。でもいいわ、私は優しい女だからあなたが安物の時計をプレゼントしてくれたって窓に叩きつけて壊すぐらいで許してげる。
     まったく男ってのは女の人格なんてどうだっていいんだわ。下半身で物事を考えるっていうのは、あながち間違っていないのかもしれないわね。馬鹿みたい。行きずりの男に堕胎の手伝いを申し出るような女のどこが良いて言うの? 仕方ないから一発やらせてあげる、それでおしまいにしましょう。そしたらこの子を堕ろすのを手伝ってね。
     次回『社会の底辺が安物の腕時計をプレゼントする前の「ただいま」が死ぬほど気に障った』――これがブスなら話にもならない

  • 少し話が大げさな感じ

  • 昭和ロマンかな。

  • 「月のしずく」、「聖夜の肖像」、「銀色の雨」、「琉璃想」、「花や今宵」、「ふくちゃんのジャックナイフ」、「ピエタ」の七篇。いずれもロマンチックな作品。

  • 『月のしずく』他、短編全7話。
    浅田次郎作品という事で手に来てみたものの、いささかストーリーが出来すぎてる感が否めず。内容もクサいやり取りが多く、結末も意外性が乏しい気がする。次の作品に期待したい。

  • 【Entertainment】月のしずく/ 浅田次郎/20161009/(128/554) <363/57522>
    ◆きっかけ
    ・【Entertainment】青葉繁れる/井上ひさし/20160129(14/440)<248/31554>


    ◆感想
    ・短編の善し悪しは、読後に物語が終わって残念と感じるか否かという観点でいうと、いずれの作品も素晴らしい話ばかり。こんなふうに描けたらなと思う。
    ・浅田作品は、いずれの登場人物も純朴、それが故に次々に繰り出される悲喜こもごも、そしてロマンチック。

    ◆引用
    ・長いなじみの女将が、正体不明の煮込みを出したw
    BOOK一刀斉夢録

  • 2015.10再読
    読んで処分しようと思ったものの、読んだら処分できなくなった短編集

    月のしずく ☆☆☆☆☆
    聖夜の肖像 ☆☆☆☆
    銀色の雨  ☆☆☆
    琉璃想   ☆☆
    花や今宵  ☆
    ふくちゃんのジャック・ナイフ ☆☆
    ピエタ   ☆☆☆

  • 浅田次郎さんの小説を読むのは三冊目くらいだけど、女の人より男の人の支持者が多いような気がしている。少なくとも私の周りで浅田次郎さんが好きだと言っているのは全員男の人。
    というのも、この短編集を読んで少し解った気がする。
    あらゆる意味での“男のロマン”が詰まっているように思えたから。

    表題作はまさに“男のロマン”。
    コンビナートの荷役を30年近くしている冴えない40代の独身男の元に、ある十五夜の晩、ひょんなことから美しい20代の女が転がり込んでくる。
    というプロローグからロマンが溢れているように思えるし、主人公の男はこれでもかというほど純朴で、美しい女は気が強い、というところもまさに。

    その他も、不倫の関係を精算したあと相手の女に少しの執着心を見せる中年男が主人公の「琉璃想」は、切なくて物語自体は好きなのだけど、主人公の行動は女としては理解しきれない部分もあったりする。
    任侠の世界やバイオレンス的な世界に対する憧れが見え隠れする物語もある。
    女性が主人公の物語であっても、どこか思考が男性的であるような気がした。言ってしまえば「女はたぶん、もっとずる賢く立ち振る舞うよ」と思ってしまう感じ。笑
    それだけ美しい結末のお話が多かった。

    映画化に向きそうな物語ばかり、と思っていたら、実際の「銀色の雨」は映画化されているみたい。
    ヤクザに匿われている殺し屋と情婦とその情婦を愛する少年のお話。

    女よりもきっと男のほうが理解して感動もするだろう。と感じた作品群でした。

  • 【月のしずくのひかる場所】

    父が浅田次郎を読んでいたと聞いて僕も読んでみようと思った。子どもの頃、流行本ばかり追いかけていた僕に父はこういった事があった。

    読んでそれなりに感動して、それで終わりみたいな本は読むな。十年考えられるような本を読め。

    今、思うとなかなかいいことを言っているように思う。宇宙学から哲学、詩と歌、子どもの頃の僕が言うに面白くない本ばかり読んでいた父が浅田次郎を読んでいるイメージはなかった。つまり僕の中での浅田次郎のイメージは、それなりに感動してそれで終わりみたいな本を書いている作家だったので、父が嫌いな分野だろうと思っていたのだ。まぁ、こうやって書けば大体読了後の感想は絞られると思うが。結果は打ち破られる事になる。

    月が好きな理由はなにかと聞かれたら、未完成のところ、自分だけじゃ光れないところ、そして一日中会えるところ。私達にとても近い、そんなふうに感じるからだ。月のしずくがひかる場所。それは、わざわざ台座があるような王族お誂え向きな場所じゃない。もっと汚くて普通で平凡でそして人の目の中の端でしか光らないような場所だってそう思う。

    美しさって完成してたり、整っていたり、綺麗だったりすることだけじゃないと思う。夕暮れあの一瞬だけ光った砂浜のガラスだって、立派な宝物だから。この本の物語は人の情と愛、そして業を兼ね合わせた、人間浪漫。

    父が浅田次郎作品になにを思ったのかもう分からないけれど、でもなんとなく父の心の奥のやわらかいところが乾かずにいたのは月のしずくで濡れていたからかもしれないって思った。

  • 短編小説。どの話も、男女のいろんな愛のカタチが切なく、そしてとても優しく描かれていた。

    読み終わった後、じわーっと胸に暖かさが残る。それはどことなく月明かりのようなぼんやりとした暖かさにも似ていて、「月のしずく」っていうタイトルがとてもよく似合う本だと思った。

    通勤中に電車で読んでいたのだけれど、どうしても涙をこらえられなくて、目に涙をいっぱいためながら本を読んでる変なひとになっちゃった。

    失敗したっていい、どんな間違いをしたっていい、ちゃんと自分に見合う素晴らしいひとが身近にきっといて、その素晴らしさを拾い上げられるひとにならねば、と思わせられました。

    全部好きだったけど、特に好きだったのはパリで出逢った画家の恋人が忘れられない女性のはなし。
    「オルヴォワール」
    美しい響き。フランス語の美しさを知っているからこそ、最後に交わすフランス語の別れの挨拶がとても切なく、潔く、美しく心に響きました。

  • 2008年1月27日読了。

    全七篇の短編集。相変わらずの味わいがとても心地良いです。
    そしてなにげに、こんな人でコミック化してくれたらなぁと読み進めておりました。
    単なる私の希望だけど、もし出来たら描いてもらいたい作家さんを()内に挙げておきます。ていうか脳内でこの人たちの絵で話が動いてましたが(*^_^*)


    「月のしずく」(本宮ひろ志)
    コンビナートの荷役をして三十年余り、四十過ぎの独身男の元にある日降って湧いたような美しい女。不器用な男と、身勝手な男に疲れたやはり不器用な女の話。

    「聖夜の肖像」(柴門ふみ)
    愛し合った男と別れた後、ふと知り合った男性と結婚。その夫との長い暮らしは平凡だけど決して不幸ではないけれど。妻の過去への思いと、ある聖夜の奇跡。

    「銀色の雨」(六田登)
    新聞奨学生の真面目だった生活から逃れた先に、慰めてくれた知り合いの女。その間にある事情で入りこんできた、ヤクザの匿う殺し屋との奇妙な三角関係。

    「琉璃想(リウリイシアン)」(弘兼憲史)
    社内報のグラビアに「帰郷」という企画を出し、カメラマンだけを同行し中国に帰郷した経営者。幼い頃に住んでいた土地へ。出発前、彼の秘書である愛人とカメラマンとの関係を知るが。

    「花や今宵」(安野モヨコ)
    愛人は今年もやはり誕生日を祝ってくれなかった。友人たちと飲んで帰る道すがら、電車に乗り過ごし、気が付くと知らない男と見知らぬ無人駅に。何かを抱えてそうな(最近婚約者から結婚の解消をされた)彼と一夜を共にすることに。

    「ふくちゃんのジャック・ナイフ」(土田世紀)
    うちの店に長く勤めていた「ふくちゃん」は、店の次男坊の僕とよく遊んでくれた。子どもだった僕には、ひとつひとつが新しかった。裕次郎に憧れていたふくちゃんは、ある日僕と出かけて、ジャックナイフを買った。それはとてもふくちゃんに似合っている気がした。

    「ピエタ」(吉野朔実)
    幼い頃別れた母を探し、ローマに婚約者と旅した。母も波乱万丈だったかもしれない。だけど母のいなかった私の今までの暮らしは。謝って欲しいわけじゃない。優柔不断な婚約者とも右往左往しながら、母や自分の想いを知る。


    私の知識はちょっと偏ってるかもしれないけど、これだけ広いイメージの話が書ける浅田さんはやっぱりすごいよなぁ。
    「コミック化するとしたら?」またこのお題でやってみようっと。

  • 時代背景は今より少し前、私たちの両親や祖父母の頃だろうか。それでも感情面でとても共感出来る。工場でパッキンを積むのが仕事のタツの想いを描く表題作「月のしずく」、故郷の中国を訪れるワンマン社長の想いを描く「琉璃想」が私のお気に入りです。

    辛い時代を忘れる事で自分を保つ生き方、惨めな気持ちも淡々と受け入れる生き方、どの話も登場人物は地に足をつき一生懸命に生きています。彼らを抱きしめたくなる。

    この本、読み終えたら図書館に寄付しようと思っていたけれど、しばらく手元に置いておく事にしました。自分が年齢を重ねたからこそ味わいを感じられる本だと思う。

  • 短編集。
    三十路よ誕生日に不倫相手にさえ会えない女と、上司の女に振られた男の話など切ないものばかり。

  • 古き昭和と異国の匂いがする一冊。
    不倫が多く出てくる短編集でした。
    何人かの登場人物の告白文はどれも同じような口調で、少し興ざめしてしまいます。
    古くさい感じは20年近く前に書かれたものみたいだから仕方無いですね。

  • 男の人の視点から書かれた、性的なこと。そして女の人をどこかよくわからない存在として書かれている点が面白かった。普段女性の作者の本ばかり読むから。2015年3月に読んだ。

  • なんと。秀逸。浅田節もたまには聞こえてくるけど。しかし。作家って恐ろしい。同性じゃないのに。なんと。

  • 泣けた。心をつかまれた。

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著者プロフィール

浅田 次郎(あさだ じろう)
1951年、東京都出身。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木三十五賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞それぞれ受賞。2015年には紫綬褒章も授与されている。
2018年現在、日本ペンクラブ会長、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞の選考委員を務める。2018年12月15日、『輪違屋糸里』が藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈らの出演で映画化。

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