月のしずく (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.45
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本棚登録 : 1505
レビュー : 191
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167646011

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。『銀色の雨』『月のしずく』がよかったです。久しぶりに大人の男と女の物語を読んだような気がします。どれも終わり方に余韻が残って、この後二人はどうなったのか?たぶん幸せになったのだろうと思う。そんな風に思わせる読後感の良い全7編でした。

  • 久しぶりに浅田次郎さんの作品を読んだけれど、時々涙が出そうになり、さすがに上手だな、と。
    特に独白部分がよかったし、ラストが読者がこうなってほしいと思うような展開になり、読後感もよかった。

  • あまりこういった恋愛小説の類は読まないのですが。。。
    浅田次郎さんという作家はとてもエモーショナルで、私の中では「泣かせの次郎」。これでもかと泣かせを迫るのですが、どういうものかそれが余りいやらしくない。そのあたりの上手さがこの作家の特徴のように思います。
    一方、冷静になって考えると、しばしば「何でそうなるの?」と思われるストーリーの必然性の無さが気になるところも有ります。特に長編ではそのあたりが気になってました。
    短編は今回が初めてです。やはり「何故」は感じるところが無いとはいえません。しかし短い場面を切り取るという短編の特性ゆえでしょうか、長編よりもその傷が浅くて済むようです。長編よりも寄り爽やかで、一気に読み上げました。

  • 酒好きの中年おっさん向け良質短篇集。
    どの話を気に入るか、人によって好みが分かれそうですね。
    個人的には「瑠璃想」がお気に入り。

    ★4
    月のしずく、聖夜の肖像、銀色の雨、瑠璃想

    ★3
    花や今宵、ふくちゃんのジャック・ナイフ、ピエタ

  • 【月のしずくのひかる場所】

    父が浅田次郎を読んでいたと聞いて僕も読んでみようと思った。子どもの頃、流行本ばかり追いかけていた僕に父はこういった事があった。

    読んでそれなりに感動して、それで終わりみたいな本は読むな。十年考えられるような本を読め。

    今、思うとなかなかいいことを言っているように思う。宇宙学から哲学、詩と歌、子どもの頃の僕が言うに面白くない本ばかり読んでいた父が浅田次郎を読んでいるイメージはなかった。つまり僕の中での浅田次郎のイメージは、それなりに感動してそれで終わりみたいな本を書いている作家だったので、父が嫌いな分野だろうと思っていたのだ。まぁ、こうやって書けば大体読了後の感想は絞られると思うが。結果は打ち破られる事になる。

    月が好きな理由はなにかと聞かれたら、未完成のところ、自分だけじゃ光れないところ、そして一日中会えるところ。私達にとても近い、そんなふうに感じるからだ。月のしずくがひかる場所。それは、わざわざ台座があるような王族お誂え向きな場所じゃない。もっと汚くて普通で平凡でそして人の目の中の端でしか光らないような場所だってそう思う。

    美しさって完成してたり、整っていたり、綺麗だったりすることだけじゃないと思う。夕暮れあの一瞬だけ光った砂浜のガラスだって、立派な宝物だから。この本の物語は人の情と愛、そして業を兼ね合わせた、人間浪漫。

    父が浅田次郎作品になにを思ったのかもう分からないけれど、でもなんとなく父の心の奥のやわらかいところが乾かずにいたのは月のしずくで濡れていたからかもしれないって思った。

  • どの話も、主人公が作品の中で本当の自分の気持ちに向き合っている。
    自分の心に向き合うというのは難しいものだ。
    人は、知らず知らずのうちに、いろんな気持ちをなかったことにしてしまっている気がする。
    けれども、それは本当になくなったわけでなく、心の奥底の一番柔らかいところに残っていて、時々ちくりと針を刺す。
    自分の心にしっかり向き合うことなしに自分の道を歩き続けることは難しい気がする。
    だからなおさら、自分の心に向き合える機会に恵まれるのは幸せなことだと思う。


  • 男女の愛情であったり、親子の愛情であったり、色んな“情”に溢れた、なんかいい話ばかりの短編集。
    熟練の大将が、素材も調理方法も全て異なる料理を次々と出してくれるのを、美味い美味いと言いながら食べているかのように読み進めていきました。
    中でもグッときたのは
    『聖夜の肖像』
    『銀色の雨』
    『流璃想」
    『ピエタ』
    でした。って全7篇のうち4篇も選んでちゃ世話ないですね。
    どれも面白かったです。

  • 幸せな結末ではないけど、読んでホッとするようないい感じの短編集。
    さすがに文章がうまいので、サラサラ読める。

  • 一筋縄でいかない恋愛短編集。
    月のしずく:不器用な仕事人の主人公が報われる話は、読んでてうれしいし、この作者に書かせると上手い。
    聖夜の肖像:チャコさんはしあわせな女だと思うし、周りの人が素晴らしい。
    銀色の雨:恋した女性を追ったばかりに、別の世界に踏み込みかけたカタギの少年の話。
    瑠璃想:中国に故郷を持ち、過去に家族をそこに置いてきた社長の話。
    花や今宵:出てくる男女が意地っ張り。最後数行のスピード感が笑える。
    ふくちゃんのジャックナイフ:最後の映画のワンシーンのような描写のために、書かれたような話。
    ピエタ:大人の女とその母の話。「聖夜の肖像」「瑠璃想」とこの話は過去と折り合いをつける話。

  •  妻子持ちだった恋人とひどい別れ方をしたリエはたまたま居合わせた辰夫の家に厄介になることに。
    「お腹の元恋人の子供がいるの、お願いちょっと|中絶《おろ》すの手伝ってよ」
     しかし純粋な打算で近づいた男は何を勘違いしたのかその子を二人で育てようなどと言ってくる。はあ、とんでもないお馬鹿な奴もいたもんだ。こんないまだに汲み取り便所を採用しているようなアパートに住む男がこの私と釣り合うとでも思っているのかしら。学もなさそうだし、たぶん身の程知らずという言葉も知らないんじゃないかしら。でもいいわ、私は優しい女だからあなたが安物の時計をプレゼントしてくれたって窓に叩きつけて壊すぐらいで許してげる。
     まったく男ってのは女の人格なんてどうだっていいんだわ。下半身で物事を考えるっていうのは、あながち間違っていないのかもしれないわね。馬鹿みたい。行きずりの男に堕胎の手伝いを申し出るような女のどこが良いて言うの? 仕方ないから一発やらせてあげる、それでおしまいにしましょう。そしたらこの子を堕ろすのを手伝ってね。
     次回『社会の底辺が安物の腕時計をプレゼントする前の「ただいま」が死ぬほど気に障った』――これがブスなら話にもならない

  • 「月のしずく」、「聖夜の肖像」、「銀色の雨」、「琉璃想」、「花や今宵」、「ふくちゃんのジャックナイフ」、「ピエタ」の七篇。いずれもロマンチックな作品。

  • 2015.10再読
    読んで処分しようと思ったものの、読んだら処分できなくなった短編集

    月のしずく ☆☆☆☆☆
    聖夜の肖像 ☆☆☆☆
    銀色の雨  ☆☆☆
    琉璃想   ☆☆
    花や今宵  ☆
    ふくちゃんのジャック・ナイフ ☆☆
    ピエタ   ☆☆☆

  • 短編集。
    記憶の魔術師。記憶が実は一番ミステリアスで、それでいて美しいんだよ。

  • 2014.3.3読了。
    短編集。人を思う気持ちが沢山詰まった一冊。難しい文書もあったけどほとんど面白かった。『ふくちゃんのジャックナイフ』がお気に入り。

  • 世界各国の描写がすごい。

  • 浅田さんの文章はなんだか温かいし、読みやすい。

  • 初めての浅田次郎、とても良かった。
    複雑な人間関係がテーマなのかな、男と女、妻と夫、親と子。
    読み終えた後に、どこか寂しさを感じる

  • 浅田次郎さんって、こんな物語を書く人だったんだっけ?
    と、言うと失礼なんだろうな。女性が書いたのかな?と思ってしまうような物語もあったりします。人恋しくなってくる本です。

  • 七編どれもが、心にしみいる話でした。
    決してどんな人生も誰の人生も楽でいいことばかりじゃない、
    でも、というあたりで、希望があって救われます。

  • 短編7つです。

    どれもよかったけど、好きだったのが「銀色の雨」と最後の「ピエタ」の二つです。
    ピエタは、しくしくと泣かされました。
    ミケランジェロのガイドのとこで。

    最近、泣く本を読んでなかったなと気付きました。
    たまにはこういう、がっと掴まれてクッと泣くの、要るなぁ。

  • 心があたたまる短編集

  • ふとした偶然から聴いたj-waveでの朗読劇が表題作の『月のしずく』でした。

    その番組の内容に引きこまれ、すぐ本を手に入れて読みました。

    どの作品も現代のお伽話のような、現実に有りそうで、やっぱり無さそうな物語。

    読後感もとても良い作品です。

  • キャスティングを考えた。主人公のタツは20年前の西田敏行。リエは深田恭子。リエの愛人、松岡は西田の二役。逞しく優しいブルーカラーを演じる俳優がいない。浅田次郎のストーリーは頭に描きやすい。

  • 7編を収めた短編集。1996年から1997年にかけて書かれたもの。「鉄道員(ぽっぽや)」の直木賞受賞が1997年上半期ということなので、直木賞受賞前後に、要するに、浅田次郎が売り出す前後に書かれたものだ。

    何となく、今の浅田次郎の作品に比べて若々しさを感じる。今の浅田次郎の作品が嫌いと言っているわけではなく、あくまでも印象だけれども、今の作品よりも技巧的な感じを受けない気がするのだ。どちらも好きであるのだが。

  • 大人のための短編集。お涙頂戴ではないけど、少し物悲しくなった。
    やはり、短編集としてさらりと読めるのが、本に追われる感じがなくて良いかも。

  • 結構あっさり読めたな、というのが率直な感想です。
    勿論泣かされどころはありますが、出てくる人たちが比較的若い(といっても妙齢ではありますが)ので、年齢故に重ねた重みのようなものは比較的軽い気がします。
    (そう考えると浅田氏の書き分けは本当に素晴らしいです)
    とはいえ男女の嘘は可愛いと思いましたし、母を求める娘の想いはなんだか心が痛くなったり。
    楽しんで読めました。

  • あやうく電車の中で泣いてしまうとこだった。

    全編通してでてくる男の人がめちゃくちゃ優しい。

    一番好きなのはピエタかな。ふくちゃんも好き。

  • 短編集。
    苦労した人が方言で滔々と語る場面を、浅田次郎より泣かせる書き方できる人はいないと思う。
    「琉璃想」が美しくて悲しくて、郷愁を誘う話で良かったなぁ。
    あと「聖夜の肖像」については妻に都合よすぎじゃ…と思うけれども、割と好きです、そういうの。
    理想の夫ね。

  • 男らしい純粋さを持つ登場人物達に何時の間にか魅了されます。特に月のしずくのリエ、ピエタの友子に対する男の純粋さと無償の愛には感動します。聖夜の肖像では夫のあまりにも大きな心が読み終えた時に清々しさをもたらします。何回読んでも新たな感動を覚え飽きません。

  • あまり統一感はないように見えるけど、どれも少しさびしい人たちが、少しだけ救われるような優しい話をまとめた短編集。

著者プロフィール

浅田 次郎(あさだ じろう)
1951年、東京都出身。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木三十五賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞それぞれ受賞。2015年には紫綬褒章も授与されている。
2018年現在、日本ペンクラブ会長、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞の選考委員を務める。2018年12月15日、『輪違屋糸里』が藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈らの出演で映画化。

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