壬生義士伝 上 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2002年9月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784167646028

作品紹介・あらすじ

小雪舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、
満身創痍(そうい)の侍がたどり着いた――。

貧しさから南部藩を脱藩し、壬生浪(みぶろ)と呼ばれた
新選組に入隊した吉村貫一郎であった。

“人斬り貫一”と恐れられ、妻子への仕送りのため守銭奴と蔑まれても、
飢えた者には握り飯を施す、庶民の心と優しさを失わなかった男。

元新選組隊士や教え子が語る、非業の隊士の生涯。

全日本人の心を揺さぶる浅田文学の金字塔。
第十三回柴田錬三郎賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • ※作品全体を通しての感想は、下巻に纏めて書きます。

    【読もうと思った理由】
    直近で読んだ「破戒」の感想欄(雑感)にも書いたが、本書を読もうと思った理由は、会社の同僚に勧められたからというのが、一つのの理由である。実はもう一つ心を動かされたエピソードがある。それは、何度か感想にも書いたが、いま時代小説を書いている現役作家の中で、もっとも勢いのある作家の一人といえば、今村翔吾氏であろう。ご多分に洩れず、僕も好きな作家だ。

    僕が作家を好きになるときは、小説から好きになる作家も勿論いるが、最近はその作者が書いたエッセイや対談集、はたまたYouTubeなどを観て興味関心を持つことも、多くなってきた。今村翔吾氏は、ご自身でYouTubeチャンネルも持ってはるし、他のチャンネルにゲスト出演していることも、実は結構ある。おそらくではあるが、メディアに露出することが、嫌いではないタイプなんだろう。その今村翔吾氏が、“ブックマちゃん“というYouTubeチャンネルの「作家今村翔吾が好きな本ベスト3 」という動画で話していた。

    そこで取り上げていた本のタイトルは、一冊目が、池波正太郎氏の「真田太平記」、二冊目が、北方謙三氏の「破軍の星」、三冊目が、浅田次郎氏の「壬生義士伝」であった。デビューしてたった5年で直木賞を受賞した今村翔吾氏をして「壬生義士伝」は、小説を書く際の「教科書」だと、動画ではっきり言い切っていた。読者を作品に没入させる能力を、僕が今もっとも感じられる現役作家が、今村翔吾氏だ。その今村翔吾氏をして、小説を書く時の教科書にしているという作品は、読むべき作品だと思った。

    【浅田次郎氏って、どんな人?】
    1951年12月13日、東京生まれ。13歳の時に「小説ジュニア」(集英社)への初投稿以降、様々な職に就きながら執筆活動を続け、1991年『とられてたまるか!』で小説家デビュー。1995年『地下鉄(メトロ)に乗って』(徳間書店)で吉川英治文学新人賞受賞。1997年『鉄道員(ぽっぽや)』(集英社)で直木賞を受賞し、1999年には高倉健主演により映画化、第23回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞など数々の賞を受賞した。2011年から2017年まで、日本ペンクラブの会長を務める。 

初の時代小説である『壬生義士伝』は1998年9月から2000年3月まで、週刊文春にて掲載され、2000年に文藝春秋より単行本化、同年、第13回柴田錬三郎賞を受賞した。その後、2006年には『お腹召しませ』(中央公論)で第1回中央公論文芸賞と第10回司馬遼太郎賞、2008年には『中原の虹』(講談社)で第42回吉川英治文学賞、2015年には学術芸術上の事績著名な作品の創作者に授与される紫綬褒章など、数々の賞を受賞している。 商社マンとしての定年を迎えた日に脳梗塞で倒れた男の奇妙な体験を綴る、毎日新聞朝刊の連載小説『おもかげ」は、2017年に書籍化され、「浅田文学の傑作」と称賛された。

    時代小説や短編・長編小説の他、エッセイも数多く手がける。JAL機内誌「スカイワード」に連載されていた『アイム・ファイン!』(小学館文庫)は2011年に、旅と食と感動のエッセー集『パリわずらい 江戸わずらい』(小学館文庫)は2016年に書籍化された。

    【雑感】
    現状、積読本が結構溜まっているので、このタイミングで、なるたけなら積読本を消化していこうと思っています。多分もっとも積読本で手付かずの本は、5年以上放置している本もあると思います。よって、現在の僕の興味関心のある本と、ズレている本も当然あるかと思いますが、そこはご容赦いただきたく存じます。当たり前のことだが、本は購入した時がもっとも興味関心があるのだから、そのタイミングで読まないといけないなぁと、心底思った。

  • 〜あの人、誰よりも強かったもの。それに、誰よりもやさしかったですよ。強くてやさしいのって男の値打ちじゃあないですか。ほかに何があるってんです。
    あの人はね、まちがいだらけの世の中に向かって、いつもきっかり正眼に構えていたんです。その構えだけが、正しい姿勢だと信じてね。〜

    新撰組隊士 吉村貫一郎 その生涯を彼にゆかりのある人たちのひとり語りによって形づくっていく
    多くの読者に馴染みのあるであろう人物、あの斎藤一が登場し語り始めたところで上巻は幕を閉じる
    んんんん、うまい!この引っ張りかた

    そして最大の謎は聞き手が誰なのかというところだと思う
    小出しにされてるようでもあるが、見当もつかない
    これが明らかになったときにぐわわわわ〜んってのが来るんだと思われる
    ぜんぜん見当違いのこと言ってたら恥ずかしいけどぐわわわわ〜んに備えておこう!
    気を抜いたらやられる!
    (いや、そもそもぐわわわわ〜んって何よ!)

    いざ、尋常に下巻へ!

    • みんみんさん
      下巻のレビューは盛岡弁でお願いします(〃ω〃)
      下巻のレビューは盛岡弁でお願いします(〃ω〃)
      2022/09/12
    • ひまわりめろんさん
      盛岡弁でね南部訛でござんす
      盛岡弁でね南部訛でござんす
      2022/09/12
  • 久しぶりに時代物。新選組・吉村貫一郎を主人公とした壬生浪の話し。その生活の貧しさ故に脱藩。初っ端から吉村の切腹場面から始まる。鳥羽伏見の戦いで敗走する新選組。瀕死の傷を負った吉村は脱藩した大坂の南部藩屋敷へと向かい、吉村の旧友の大野次郎右衛門は彼から切腹を命じられる。この話しは吉村の人生・義を新選組の生き残りの語り部が熱く語る。池田七三郎、斎藤一の目線での吉村は優しく、剣にも優れ、家族想い。お金に厳しいのは家族への仕送りのためだった。新選組のへの新発見と目立たずも活躍をした吉村の人生を下巻でも追いたい。

  • 本人の回想と複数の人物からみた吉村貫一郎という構成で読み進めるほど吉村貫一郎に愛着が湧いてきて、斎藤一に褒められると嬉しくなる。久しぶりに読んだのと司馬遼太郎から続けて読んだこともあり沖田総司が思ってたより意地悪なキャラ設定。

  • 南部藩を脱藩し壬生狼=新選組に入隊した吉村貫一郎を中心に語られる、激動の時代における隊士の非業の生涯を描く時代小説です。
    満身創痍の吉村貫一郎が大阪の南部藩屋敷に現れるところから物語は始まります。
    血と泥で真黒となった新選組の浅葱羽織を着た吉村を迎えたのは蔵屋敷差配役の大野次郎右衛門、そこで次郎右衛門は吉村に切腹を命じます。
    この脱藩浪士である吉村は如何なる人物なのか、元新選組隊士など関係者への聞き込みというインタビュー形式で読み解く構成になっています。
    聞き込みが進むに連れて人物像が明らかになっていきますが、語り部が話すものは本筋だけでなく脱線も多々あります。
    しかしこの脱線したお話には恐ろしいほどの深みがあり、生々しいほどに現実味を強めるのです。
    斎藤一へのインタビューが大変印象に残るもので、特に感慨深いものを引用し下巻に期待したいと思います。

    “わしはおそらく、日本一の人殺しではなかろうか、とな。いや、日本一の剣客とは言わぬよ。人殺しじゃ。”

  • 感想
    吉村貫一郎と南部藩の話の調査?などはよくできているが、読んでいっても吉村には特別感情移入ができないので、ふーんという感じになってしまった。

    斎藤一の語りの段は面白かった。ほぼ最後だけど。

    あらすじ
    鳥羽伏見の戦いで敗れ落ち、脱藩した南部屋敷に吉村貫一郎が命乞いするところから始まる。

    吉村は新撰組に加わった頃から腕は立ち、学もあったことから役付きとなる。しかし、隊内でも金にうるさく、それを全て妻に仕送りしていたことが明かされる。

    吉村が南部藩にいた頃は藩校の指南役を務めていたが、階級社会であり、役料はもらえない苦しい境遇の上、脱藩したことが明かされる。

    新撰組については、伊東粛清から二条城、鳥羽伏見の戦いまで。

    斎藤の語りは試衛館の入門から壬生まで。

  • 吉村貫一郎が描写の通りの人なら、その人柄の良さに好きにならざるを得ない。全てのエピソードが涙なしでは読めない、素晴らしい一冊に出会えた。
    新選組っていう乱暴で変質的な集団の中に、こんな人がいてほしいと思う。

    いざ下巻へ。

  • 盛岡藩を脱藩し、家族の為に命をなげうった男のそしてその周りの人たちをも呑み込んでゆく歴史の波。
    新選組のこと、明治維新のこと、知っていたようで今まで何も知らなかったということがわかった。
    涙なくしては読めない小説。

  • 吉村貫一郎の物語。
    最初は守銭奴侍のイメージだったけど、色んな人の回顧録を聞いてどんどん印象が変わってきた!
    その中でも斎藤一が登場したのが印象的。私の中の斎藤一とイメージがピッタリだった!
    稗田利八、知らなかったけど実在の人物なのね。
    写真見たけど綺麗なお顔だった。

  • 壬生義士伝 前編
    歴史に弱いため読み始めは新撰組の登場人物も役割も理解できなかったが、読んでいくうちにその場面が時代を超えて侍の心に触れられた気持ちになっていく。浅田文学に引き込まれた感じがした。吉村貫一郎の揺るがない気持ちも感動させられる。後編も楽しみ。

  • やっと読みました、壬生義士伝。
    まずは上巻。
    今では大人気組織の新撰組、そして歴史上の転換期の幕末、このワードだけ聞いても興奮ものですが本作の描写が秀逸ですね、アタシは京都大好きで年数回毎年いきますし壬生寺へもいきました、また近くの伏見の湯は定番の湯浴みスポットなので場景想像しながら読ませて頂きましたー次は下巻です。

  • 宝塚の壬生義士伝を見てとても良かったので、原作を買いました。
    何の知識もなく読み始めると、幕末の時代背景をあまり理解していなかった為、尊王攘夷?佐幕?薩長同盟って何だったっけ…?状態。よし勉強だ!ってことで、Youtubeの歴史チャンネルや高校の頃の歴史便覧でざっとおさらい。時代背景がわかると俄然面白くなり、ページをめくる手がとまらなくなった。
    大正時代、何者かが元新選組の吉村寛一郎を知る人々を訪ね歩き、話を聞いていくという物語展開で、聞き手が誰なのかは上巻では明かされていない。
    語られる吉村寛一郎という男は、守銭奴や出稼ぎ浪人とさげすまれながらも、故郷に残した妻子の為に仕送りを続け、生き抜くために人を斬る。優しくて強くて真っ直ぐで、その人柄に惹かれずにはいられない。でも、そんな吉村が死ぬほど嫌いだという斎藤一の気持ちも良く分かる。
    身分の低いならず者集団だった新選組だけど、だからこそ誰よりも侍であろうとした、その姿は素直にかっこいいと思った。
    下巻に続く。

  •  毛嫌いしていた新撰組。なんのなんの、これには引き込まれました。
     南部藩を脱藩して新撰組に加わった吉村貫一郎の人生を、吉村の息子、新撰組の隊士などが語っていく・・・そこには、ただひたすらに義を通した侍の様々な顔が。
     初めはそれぞれのパーツがバラバラな感じがしてすんなり入ってこなかったけれど、それが一本の線につながってくる頃には、うなってました(笑)

     本筋の感想は下巻を読んでから・・ということで、まず、この時代の背景。
     江戸城大奥では篤姫が徳川のお家を守ろうとしているその頃、こんな時代だったんだ・・というのが大きな驚きでした。
     飢饉が続き、このままでは冬を越せないという現実を前に、身重の妻は口減らしのために自ら命を絶とうとします。助けられてもなお「この体をば、食ろうてくらんせ」。
     それを見ていた数えで九つの息子は「わしは兄者ゆえ、腹などへりはせん。飯なぞ食わねでも良がんす」と・・・・。
     もちろん小説です。ですが、こんなドラマとともに日本の歴史を学べたら
    もっともっと、社会の授業は面白く、濃いものになるのにな~と。

     出自で人生が決められていた時代。それでも、その定めをただ真っ直ぐに歩いていく、その生き様が素敵・・なんて思っていたけれど、それはそれは凄まじいことなのだ・・と、これまでの軽い考えを打ち消しました。

     これからどんな展開になるのか・・下巻、期待大です。

  • 歴史・時代ものは本当に不得意とするところで、避ける傾向にあるのだが、少しだけ覗き見程度にというつもりで読んだら、さすが,浅田氏。上手い! 打たれてしまいました。 歴史的背景や新撰組などの知識をもって読めばその打たれ具合は増すに違いないでしょう。
     
     南部藩を脱藩し、新撰組に入隊した吉村貫一郎の物語である。上巻はその新撰組時代。前線にて戦う男、吉村貫一郎を格好良く描いたものではなく、武士の義という一本の筋の流れの中に、仲間への思いやりと計らい、郷里に残した妻子のために何としても死んではならない、生きねばならぬ...と、武士の勇ましさとは程遠い無様な姿をさらけ出す吉村貫一郎がそこには描かれている。

     「おもさげながんす(申し訳ない)」と繰り返す吉村。しかし、この勇ましからぬ言葉の裏に、守るべきものを何としても守るという、途轍もない強さ、男気を感じるのは私ばかりではないと思う。下巻が楽しみだ。

  • 新選組隊士、吉村貫一郎の話なのだがそこに描かれる思いに、それに関わる色々な思いが凄いです。

    生きることこそが武士、生きて忠孝の限りを尽くし、畳の上に死するが武士の誉…義を通すため生きなければならない為に切る貫一郎、それができるのは強いからなのではあるが。
    そして強さと優しさがあるからこその「おもさげなござんす、お許しえって下んせ。」

    義を通して守ろうとした息子嘉一郎は自らも父と同じく義を通して…、何ともせつない。
    義とは何だろうか、不変のものではあるはずだが時が違えばもう少し…と。

    上巻だけで入りこみクタクタになる。
    下巻へ続くであんす。

  • 最近になって、人生は一般的に良し悪しを決められるものじゃなく、自身が設定した判断基準で決めるものである、ということが遅まきながら分かってきた。そしてその判断基準は、自分の人生を何に捧げるかをきちんと決めることが出来た人のみが持っている。
    判断基準があった人はそれに向かってひた走ることで、何らかの結果が出る。対して判断基準がなかった人は、晩年になって「私の人生これでよかったのかなぁ?」と思うのではないだろうか。

    本書の吉村貫一郎は、妻子の幸せこそ自身の幸せと思い定めており、全ての行動の裏にはそれがある。
    また、子の吉村貫一郎も、難しい環境にも適応し豊富な実りをつける稲を開発することで故郷の人を幸せにすることが自身の幸せだとしている。
    この2人の境遇は天と地ほどの差があるが、最期に人生を総括する時には、私は幸福だったと思うのだろう。

    そういう風に私もありたい。

  • 「死にたくないから、人を斬ります。」

    痩身の浪人が、貧困、武士の身分制度、時代の渦巻く流れに翻弄され、人を斬らなければならなかった。
    きっといつも「オモサゲナガンス」と心に泪して斬っていたのであろう。

    吉村貫一郎の妻子への愛情に心打たれ、笑顔と優しさに隠された剣の強さに惹かれるも、時代の不条理に胸を締め付けられる。

    切腹を言い渡された吉村貫一郎には、なんとしても生き延びてほしい。

  • 壬生義士伝上巻。かつて新選組に所属していた吉村貫一郎の生涯を追っていく物語。新選組といえば近藤、土方、沖田などのその名を轟かせた人物目線で語られることが多い中、吉村貫一郎という世間的にはあまり知れ渡っていない人物を通して描かれる新選組に関心を持ちました。

  •  優しすぎる侍、吉村貫一郎。妻子を養う為、落藩して人を斬る道を選んだ男である。ゆかりのある人々が彼の事を語っていく展開が面白い。様々な角度から見る人物像とは?本当の優しさとは?先が必ず読みたくなるストーリー。

    総合感想は下巻へ

  • 歴史小説なのに語り手が変わりながら話が展開していくのが斬新。
    初めの語りが1番グッときた。下にも期待。
    牙突!

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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