姫椿 (文春文庫 あ 39-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167646042

感想・レビュー・書評

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  • ハートウォーミングな短編集です。
    主人公は孤児として育てられ「淋しくない事が幸せ」と考えている女性だったり、生面保険を目一杯掛け自殺寸前の不動産社長だったり、陸軍幼年学校の生き残りでオカマの道を歩き続けた人だったりとバライエティに富みます。
    そうした主人公が最期には何らかの形で救われるという話がほとんどなのですが、いかにも物語という感じで、いわば「おとぎ話」のようです。そういう意味では荒唐無稽の話なのですが、そこに違和感を感じさせないのが朝田さんの美味さのように思えます。
    何かに疲れたとき、ちょっとふさいでいる時、ほっとしたい時に読むのに良い本です。

  • 内容紹介

    忘れないで、誰かがあなたを見守っている ペットに死なれた独身OL、不況で死に場所を探す経営者、妻に先立たれた大学教師……。凍てついた心を優しく包む八つの物語──

    内容(「BOOK」データベースより)

    飼い猫が死んでしまったOL、経営に行き詰まり、死に場所を探す社長、三十年前に別れた恋人への絶ち難い思いを心に秘めた男、妻に先立たれ、思い出の競馬場に通う大学助教授…。凍てついた心を抱えながら日々を暮す人々に、冬の日溜りにも似た微かなぬくもりが、舞い降りる。魂を揺さぶる全八篇の短篇集。

    内容(「MARC」データベースより)

    ペットに死なれた独身OL、不況で自殺を考える経営者、妻に先立たれた大学教師…。凍てついた心を抱える人々に、救いの手はさしのべられるのか。魂をゆさぶる8編。 --このテキストは、単行本版に関連付けられています。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    浅田次郎
    1951(昭和26)年、東京生まれ。著書に「地下鉄(メトロ)に乗って」(第16回吉川英治文学新人賞)「鉄道員(ぽっぽや)」(第117回直木賞)「壬生義士伝」(第13回柴田錬三郎賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    目次
    〓シエ(xi`e)
    姫椿
    再会
    マダムの咽仏
    トラブル・メーカー
    オリンポスの聖女
    零下の災厄
    永遠の緑

  • 浅田次郎の短編集。個人的感想だがこの人の作品は時間のプレイバックが印象的。過去と現在で自分の置かれている状況が変わっても、人はどこかで過去を忘れられない。例えば昔の友人や恋人の話など。ふとしたことで自分の昔がよみがえる。
    肯定的にいえば、過去は否定されるものではなく現在につながる時間の連続。「色々あるけれど、まぁ今を頑張りましょうよ」そんなことを伝える小説(のような気がする)。

  • 幻想的だったり、ブラックだったり、ひんやりしたり、胸にじんわりきたり・・・テイストの違う短編が8つ。
    中でも、「ーーマダムは完璧な女だった。」で始まる「マダムの喉仏」は秀逸。

  • 雰囲気はいいのだけど、終わり方がいまひとつ

  •  借金を返さない人間に銀行は容赦しない。
     かつては上場企業の社長であった高木は現在では自己破産を待つだけの日本のお荷物へと成り下がっていた。銀行は彼に莫大な金を貸しており、それを返済するよう正当な権利の主張を行ったが、立場もわからぬ愚か者はあろうことにもさらなる融資の提供を命じてきた。
     馬鹿野郎が、お前のような屑は腐るほど見てきた。甘い見通しで借金をして自らの首を絞める無能に、会社という大きな『村』を率いる資格はない! さっさと首をくくって生命保険を充てにしろ! お前にできる唯一の手段は腹を切って金を生み出すことだけだ!
     次回『生きねば』――本当にかわいそうなのは切られた社員です

  • 幸せとは寂しくないこと、そうだろうなぁ。
    お父さんとお母さんに会いたいなぁ。

  • 2016.6

  • ちょっと不思議な
    ほんのりあたたかい作品も混ざりつつ
    次のお話はどんなかなーって
    ひとつひとつ楽しめた短編集でした。

    シエ:ほろほろろろ…
    姫椿:ほわっ
    再開:なんと…
    マダムの喉仏:マダムかっこいい
    トラブルメーカー:その後がしんぱい
    オリンポスの聖女:あんまりひっかからなかった
    零下の災厄:何者だったんだ…!
    永遠の緑:いい子だなあ

  • 【Entertainment】姫椿/浅田次郎/20170109/(6/602) <339/67639>
    ◆きっかけ
    ・同著者の別の著書(【Entertainment】青葉繁れる/井上ひさし/20160129(14/440)<248/31554>)より

    ◆感想
    ・うーん、皆が絶賛するほど良かったとは思えない。ヘタするとライベ。リアリティが感じられず、良くできた作りもののお話、という感想で終わってしまう。同著者の他の本含めて全体的にこんな感じなのか。これなら、人間交差点/弘兼憲史と変わらないような。。。
    ・そう思えるのは、当方の精神状態が良好だから?疲れている人なら、結構ぐっとくるものなのか?

    ◆引用
    なし

  • 浅田次郎のノンテーマ短編集。現代が舞台のものばかりなのも珍しいか。
    派手ではないものが多いが、読みやすさがありながら読み応えもあるのはさすが。
    ただ、他の作品集と比べるとやや「軽い」感触があり、ライトユーザー向けな気もする。
    表題作と、「獬(xie)」がよかった。
    4-

  • 読めば読むほど、浅田次郎の短編は黄昏流星群と印象が被ってくる。
    若輩者のワタクシが、内容をしっかり読み解くにはまだ10年早いような気がして来た。

  • シエ:伝説の麒麟の顔を持ち、立派な鹿の角を生やし、虎の尾と牛の足を持った神の獣。こんな動物が今の世の中にいるわけはない 再開:女の恋は流れ去るけれど、男の恋は積み重なるものさ。水と雪の違いだね マダムの咽仏:時は移ろうのではなく積みあがって行くものなのだと、周囲の人々はみな思い知らされた トラブルマーカー:幸福の形はだいたい決まっているけれど、不幸の形というのは無限にあります

  • 「なんなら、毎日あったかいメシ、食わしてやってもいいぜ。俺、あいつみたいにカッコよくないし、学校も出てないし、取柄といったらガキのメシ作るだけなんだけど、でも、子供らはみんな俺の作ったメシを残さず食うから。うまいうまいって。それで、みんなスクスクでかくなるんだ」
    2015/07/16-07/24

  • 「マダムの咽仏」と「永遠の緑」が特に良かった 前者は"銀花のマダム"というキャラクターの深い魅力に心掴まれた 後者では最高のタイミングで最高の台詞が出てくるのだから視界が滲まないわけない

  • タイトルの姫椿がよいです。死に場所を探すほど追い詰められている夫に対しての、穏やかな他愛もない言葉をかけられる妻が素敵です。

  • 短編集。「鉄道員」には及ばないが、この本もなかなか面白かったです。個人的に好きなのは、「シエ」、「マダムの咽仏」、「永遠の緑」。「永遠の緑」は思わず涙してしまう場面がありました。

  • やっぱり泣かせるのです。
    シエが好きかなあ。
    ヒロインの不幸を食べて、死んでいく謎の動物シエ。

  • 大人のおとぎ話が7編。文庫のタイトルにもなっている「姫椿」が一番好きかな。

  • 浅田次郎現代ハートウォーミングもの、と思って読んでしまう先入観が悪いんだろうか、'こんなになるまで'のそれぞれの主人公が無神経過ぎて不快。
    周りの人のあたたかさや支えに気づかない、または見た目に騙されて悪意に気づかない、また他の誰かが心にいる人と毎日暮らさなければならない伴侶を忖度しない。とにかく最後の話以外はずっとそんな調子で、嫌になった。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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