- Amazon.co.jp ・本 (597ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167651336
感想・レビュー・書評
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第二次世界大戦の本として「夜と霧」を読んだけど、それよりももっと有名な「アンネの日記」を読んでいなかったので、遅くなりましたが初読。
外国ではありますが、戦時中の市民の生々しい生活状況を学べました。今私が当時の状況を知りたければ、80-90代の方と話さないと知ることはできないので、とても貴重な体験をできたと思います。
特にアンネはユダヤ人というだけで、迫害を受けていた。ナチスに見つかり、強制収容所に送られないように、13歳から15歳の2年間、オランダの隠れ家で、一歩も家の外には出ることができない生活を送ることに。
多感な思春期を特殊な近況で暮らすことになったアンネですが、終戦後に人々にこの状況を知ってもらうために書き始めたのが、「アンネの日記」。存在は知っていましたが、どういう経緯で書かれたものなのか全く知りませんでした。
いつナチスにバレてしまうかもしれない緊張と閉鎖的な環境で生活する中、時には家族とぶつかり、時には家族と笑い合い、時には恋愛をして、時には戦後どのような職業につくのか、そして、どのような母親になるのかを夢みているアンネの全てが詰め込まれていました。
時代が変わりましたが、人間がしていることは変わりません。今も争いはあちらこちらで起きています。
アンネと同じ様な境遇で辛い思いをしている方がウクライナやイスラエルにいると思うと辛いです。
一日でも早く平和が訪れますように。一人でも多くの命が助かりますように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ナチス軍の迫害から逃れるため、アンネ一家は隠れ家生活を送る。その過酷な環境下におかれたアンネが、13才から15才の間に、自分に宛てた日記を本にしたものである。はじめて読んだが、アンネに対する印象はおおきく変わった。これほど快活で自己主張の強い子だとは思わなかった。ただ、こうした性格だったからこそ、一瞬の油断もできない状況の中でも、明るさを振りまきながら、希望を失わずに生きることができたのだろう。この本を読んでいると、アンネと共に暮らしたような感覚になるので、彼女の最期を知ると非常に悲しくなる。
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これほどまでに読んでよかったと思える本は、なかなか無い。日記初期の内容は、年頃の少女らしくて微笑ましいが、後半になるにつれ、アンネの精神が成熟していく様子が興味深い。隠れ家生活の中で、人生や内面について熟考する時間があったからなのだろうか。「物事はいつの場合も表裏両面を見なくちゃなりません」など、自分が14歳の頃には考えもつかなかった。この一文からでも、ご両親が立派に彼女を教育されたことが分かる。読者として、数百ページに渡ってアンネの心を覗き、アンネとともに数ヶ月後の自由を夢見ていた。だが日記は突然終わる。その後に続く「あとがき」の衝撃があまりにも強く、悲しい。彼女が生きた時代をより深く理解するために、他にも関連書籍を読もうと思った。
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聡明な少女の文章、学びを得たり時に微笑まされたりしながら読み進めたのだけれど、唐突に終わる日記とそのあとの後書きで言葉を失う。
アンネの言葉が胸に残る。
なぜならいまでも信じている~人間の本性はやっぱり善なのだということを。
平和な現代の日本に生まれ、出かけたいところに出かけ、手にしたい本を手にできる幸せ。 -
小学生の頃にたぶん子供向けの簡単にしたのを読んだのだけれど、具体的なエピソードなどは覚えていなくて、ただただ、ユダヤ人というだけで隠れて暮らさなくてはならず、そのまま亡くなってしまった可哀想な女の子の話、という表面的な部分だけを記憶して、もう可哀想だから読みたくない、と思いこんだまま大人になりました。
小川洋子さんがアンネについて色々書かれているのは以前から知っていましたが、最近になって『洋子さんの本棚』で改めてこの本について色々語り合われているのを読んで、ようやく、ちゃんと読み直そう、と決心。年末帰省時に持ち帰り。
なんというか、改めて打ちひしがれるような気持ちです。単純に、戦争や人種差別、そのせいで2年間も一切外へ出ることもできず隠れて生活しなければいけない人々がいたという事実、しかしその状況だけでも過酷なはずのに、そんななかでものびのびと、14歳の少女が日記や物語を綴り、勉強をし、恋をし、一人の女性として成長していったこと、根っこの部分で何者も彼女を歪められなかったにも関わらず、その人生はあっけなく中断させられた、その残酷さに打ちひしがれました。
それにしてもアンネの、なんと賢く、なんと真っ直ぐで、なんと魅力的な女の子であることか!日記の中には、一緒に生活するアンネ自身の家族(父母と姉)、さらに同居するファン・ダーン一家(夫妻と息子ペーター)歯医者のデュッセルさんらとの人間関係、生活の様子などだけでなく、なぜ人間は戦争するのか、女性の地位はなぜ男性より低いのか等の考察もなされており、これがなかなか鋭い。アンネは作家かジャーナリストになりたいと願っていたようですが、自分の内面についての分析もしっかり客観的にしているし、一緒に暮らす人々に対しての人間観察眼もたいへん的確な彼女なら、きっとどちらにでもなれただろう。
「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!」と日記の中に書かれていた彼女の願いは、死後にこの日記の出版という形で皮肉にも叶うわけですが、もっともっと長く生き続けた彼女の作品をぜひとも読んでみたかった。
救いは、窮屈な生活の中でも彼女が「恋」を体験できたこと。はたして外の世界で普通に暮らしていたらペーターのような男の子をアンネが好きになったかどうかはわからないけれど、この生活の中では彼らはお互いに必要な存在だったのでしょう。恋し始めのドキドキ感、ときめきの描写は、読んでいてこちらも胸が躍りました。
反面、アンネはお父さん子でお母さんに対する評価が大変厳しく、また天敵のようなデュッセルさんやファン・ダーンのおばさん等、人間のイヤな面をさらけだしてくる人々もいる。お母さんとは、いつか大人になれば和解できたかもしれないのにと思うと切ない。逆に、危険を顧みず彼らをかくまってくれた会社のひとたちの親切には心洗われます。とくにアンネの日記をゲシュタポに見つかる前に保管してくれたミープにはただの読者である私からも感謝しかない。
戦争のせいで短い命を終えた少女の物語として、ベタだけれど今の自分は恵まれているのだからもっと前向きに生きようと思うような読み方も可能だけれど、それ以上に、一人の少女のいきいきとした成長過程として興味深かった。私が今もアンネと同じくらいの年の少女だったら、きっとかけがえのない友達のように感じたと思う。 -
ユダヤ人迫害というイメージから「夜と霧」のようなものを想像していたので、予想以上に「思春期の日記」で驚いた。
屋根裏で生活しているとは言え、ご飯を食べたり、笑ったり、恋をしたり、良い意味で“普通”。
同級生の悪口書いたり、母親への不満、ペーターへの思慕など、等身大の少女がそこにいる。
そして、文章は14歳と思えない思慮深さ。14歳の自分ェ・・・
でも、この普通さがあるからこそ、結末がより悲しく感じる。
戦争の悲惨さを伝えるには、こういう方法もあるのかと思った。 -
13歳の少女が書いたとは思えないほど、しっかりした文章で書かれていて、驚いた。
日々起こる出来事に、すごく素直に一喜一憂している、無邪気な少女から、だんだん読み進んでいくうちに、2年後には、まるで自立した1人の女性のように、心が成長していきます。
アンネの言葉で、こちらも勇気づけられました。
日記が突然終わっていることが、悲しく、悲惨でなりません。 -
違う時代、違う国、違う環境…なにもかも自分から遠い存在のはずなのに、アンネ・フランクの存在を確かに感じられました。
環境さえ違ったら、もし彼女が生き延びていたら、もしあの日記の続きが読めるなら…と様々な「もし」にわずかでも縋り付きたくなります。それくらい才能溢れる1冊でした。もっと彼女の文章を読みたい。 -
アウシュビッツに見学に行った際、日本人ガイドの中谷剛さんの解説にアンネが度々出てきたので、30歳になって初めて読んだ。1ヶ月ほどかけてゆっくりと読んだが、彼女の心のうちが繊細に鮮明に、また情熱を持って語られており、読んでいる途中から、彼女のいなくなったことを示す最後の日記が近づいていることが非常に残念に思われた。アンネが生きていたら今年91歳である。アンネ本人が「私の望みは、死んでからもなお、生き続けること!」と記した通り、彼女が人々の心に生き続けることを願わずにはいられない。
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辛くなるのがわかっているから、いつか読もういつか読もうと先延ばしにし続けて、今になってしまった。
でもふと、絶対辛くなるから読めない、なんて踏みつけられた人たちのことを知らないままで生きていけるマジョリティの傲慢じゃないか、と思ったのだった。
読んで驚いたのだけど、めちゃくちゃ面白い。
そこで納得もした、書かれた背景からだけでなく、面白いから読まれ続けているんだな…。
十代で読んだら、アンネを私の心の友と思う子も多いんじゃないだろうか。私も思ったかも。
でも、もういい年の私はアンネの側に自己投影なんてしちゃだめなんだ、自分は彼女を殺した側にいつでもなりうる、既になっているかもしれないと思っていなきゃいけないと思う。
『わたしは思うのですが、戦争の責任は、偉い人たちや政治家、資本家だけにあるのではありません。そうですとも、責任は名もない一般の人たちにもあるのです。』
アンネ、その通りだ。全くその通り。-
私もこれは読まなくては、と数年前に半分くらいまで読んでいました。読み終える前に返却期限きちゃってまだ途中なのですが、アンネの語り口調、生き生...私もこれは読まなくては、と数年前に半分くらいまで読んでいました。読み終える前に返却期限きちゃってまだ途中なのですが、アンネの語り口調、生き生きとしていてとても面白いですよね。
自分が加害者になるかもしれない、とまで思って読んでませんでしたが、スイさんの感想読んでほんとそうだな…と思いました。正義の名の下、他者を迫害し得る側になりかねない…。
途中で止まってたので、覚悟して最後まで読もうと思います。2020/06/25 -
>杏ちゃん
ほんと、目の前で喋っているみたいに生き生きしてるよね。思春期の苦しみと輝きがくっきり描かれていて見事でした。
私、日本は前の大戦...>杏ちゃん
ほんと、目の前で喋っているみたいに生き生きしてるよね。思春期の苦しみと輝きがくっきり描かれていて見事でした。
私、日本は前の大戦は軍部が悪かった、それ以外の日本は被害者だった、ってスタンスで復興して教育もして来ちゃったのが、今の日本の差別などの惨状の主原因の一つになってるんじゃないかとここ数年思っているので、その意識もあってこういう視点でした。
あと、尊敬してる友人の影響もあって、彼女が前に「(例えばアンネの近所に住んでいたとして)あの建物の屋根裏に誰かが住んでいると察しても、せめて密告しないでいられる人間でいなければ」って言ってたのがショックで、でも納得したのね。
自分の命かけてアンネたちを匿えるか、っていうレベルじゃなくて、密告しないでいられるか、実際はまずそのレベルなんだよね…。
せめてそのレベルでいるためには、加害者意識というのも必要なんじゃないかと思うのです。2020/06/26
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アンネ・フランクの作品





