ウソの歴史博物館 (文春文庫 ハ 27-1)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167651596

感想・レビュー・書評

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  • 「熊本の動物園からライオンが逃げた」

    熊本地震の際に街中にライオンが佇む写真と共に、短文投稿サイト
    に掲載された投稿は一緒に拡散した。

    悪ふざけだったのだろうが、投稿者は偽計業務妨害の疑いで逮捕
    (後、不起訴)された。

    注目されたい。人の反応を見て面白がりたい。一儲けしたい等々。
    ウソやデマをまき散らす人の動機は様々。中世から2000年代前半
    までの、人騒がせなウソを集めたのが本書だ。

    まぁ、あるわあるわ。歴史的ウソの集大成だ。

    日本ではほとんど定着していないが、欧米のエイプリル・フールは
    大手メディアでさえ社をあげて盛大なウソを吐く。

    「今年はスイスでスパゲッティが豊作です」と言って、スパゲッティ
    を収穫している映像を流すBBC。なんで木にスパゲッティがなってる
    んだよ~。

    欧米流のユーモアなのだろうが、4月1日と分かっていても騙される
    人が多いのにもびっくりだ。

    ウェルズ『宇宙戦争』のラジオ・ドラマを途中から聴いた人たちが
    「異星人が地球に攻め込んで来たっ!」とパニックを起こした事例
    は有名だが、実際にパニックに陥った人は少なかったようだ。

    後になったら笑えるウソならいいが、ピュリツァー賞返上までになった
    ワシントン・ポスト紙の記事「ジミーの世界」などは笑えない。記事で
    照会されたヘロイン中毒の少年ジミーは、何から何まで取材したと言う
    女性記者の捏造だったのだものな。

    日本の事例で取り上げられているのは、考古学に多大な影響を及ぼした
    遺物発掘ねつ造の「神の手」の人。やったご本人が精神的な不具合を
    抱えているようなので、発掘予定にしていた偽の遺物をどこに埋めた
    のかも解明されてないのではなかったか。

    長い間に様々な論争があったネス湖のネッシー、偽書として名高い
    『ヒトラーの日記』『シオン賢者の議定書』なども取り上げられて
    おり、通読せずとも掲載されているいくつかの事例を拾い読みする
    だけでも面白い。

    インターネットの登場と発展によって、ウソの拡散と浸透はスピード
    を増した。熊本地震の際の脱走ライオンほどではないが、日々、ウソが
    増産されているように感じる。

    伝達手法が発達すればするほど、ウソを見抜く力が必要になって来る
    のだろうな。折れた煙草の吸殻でウソを見破れた時代もあったのに。

    さて、こうやって戯言を書き殴っている私も実は偽の存在だったり
    して…ね。

  • つまらなくて断念

  • [ 内容 ]
    新製品「左利き用ハンバーガー」本日発売!
    警察がエイリアンの死体を回収?
    マンハッタン島を二つに切断する巨大計画始動?
    世間に大騒動を巻き起こしたこれら怪情報、もちろん全部ウソ。
    古今東西のウソやデッチ上げを一冊に満載。
    世界最初の株式詐欺から怪しいウェブサイトまで、プロのウソつきたちの活躍をご覧あれ。

    [ 目次 ]
    1 中世とキリスト教の展示室―一七〇〇年以前
    2 贋作と啓蒙主義の展示室―十八世紀
    3 大衆新聞と見世物の展示室―一八〇〇‐一八六八
    4 珍獣と偽造写真の展示室―一八六九‐一九一三
    5 ラジオと近代芸術の展示室―一九一四‐一九四九
    6 TVとカウンターカルチャーの展示室―一九五〇‐一九七六
    7 宇宙人とメディア不信の展示室―一九七七‐一九八九
    8 インターネットと消費社会の展示室―一九九〇‐一九九九
    9 9・11とウェブサイトの展示室―二〇〇〇年以降

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 2008 5/8読了

  • 著者のアレックス・バウザーは、歴史を学ぶ大学院生。研究の為に、<b>インターネットの本来的な利用法を通じて</b>考察と事例の収集の為のwebサイトを運営し、そのまとめとして本書を上梓している。

    本書では、社会に大きく影響を与え、かつ、犯罪行為ではなく、ジョークとしても広く長く人々の記憶に留められる「ウソ」や「ペテン」を、著者が厳選して時系列的に分類したものだ。「歴史博物館」とは良く銘打ったもので、中世から今日に至る時系列的な「ペテン」の変遷を判りやすくまとめると同時に、社会の変化をコミュニケーションの変化という視点から俯瞰した、極めてユニークな歴史研究書としても読み解くことができる。

    学術研究書として始まっているところが、日本でよく出版されるwebサイトのまとめ本と大きく異なる点である。だが、そんなことで日本人の民度の低さを嘆いたりはしない。取り上げられる「歴史的ウソ」の事例が、日本のものが壊滅的に少ないのだ。

    事例としては、イギリスのものが矢張りと言うか圧倒的に多い。ついでアメリカとなる。中世期のヨーロッパ諸国はしようがないとしても、おそらく八割以上の「シャレになるペテン」事例を欧米諸国で占められている。

    シャレになるか否かは、すなわち、ユーモアに対する理解の深さの指標であり、知性や論理性、客観性などの思考力の指標ともいえる。ユーモアへの理解の深さは、精神的なキャパシティの大きさと同義語なのだ。

    そうした事を考えると、日本からの事例は、件の<b>ゴッドハンド事件のみ</b>というのが、実に悲しい。中国ですら、三例お挙がっているのに。。。。この遺跡捏造事件は、本書でも取り上げられている、中世の聖遺物捏造や偽書のペテンと同じレベルである。つまり、日本人の精神性は中世人のそれと変わらないとも言えるだろう。

    日本人だって、その素養が無いわけではない。近年では、ヤフーオークションにタイムマシンが出展された例なども挙げられるだろう。だが、本書で取り上げられるには至らなかった。一部ネットワーカーの間の祭りで終わってしまったのは、そうした<b>害の無い不謹慎</b>すら許されない社会が悪いとも言える。

    だがもっと本質的な部分。。。つまり、日本の文化において「ペテン」は、犯罪行為あるいは、安易な利益を獲得する手段であって、<b>騙す事を目的とする純粋性</b>が無いからだ。

    精神的余裕のない社会は、民度が低いという事になるのではないだろうか?

  • つまんなくて、大仕掛けなドッキリをする人がこんなにもいるなんて、世界はすばらしいなあ。しかもそれを許容してるってことにも驚く。こんなの会社でやったら怒られちゃう。怒られないか、ただかわいそうな子だ、って見られるのか。

  • ネコに関する記述は3箇所のみ

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