その数学が戦略を決める (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2010年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784167651701

みんなの感想まとめ

統計学とビッグデータの実用性を深く掘り下げた本書は、成功事例を通じてその魅力を伝えています。特に、米国の豊富な成功事例やその影響については、専門家の反発や社会問題も含めて興味深く描かれています。一方で...

感想・レビュー・書評

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  • 巨大企業がビッグデータを活用しているというニュースを頻繁に耳にするようになったIT全盛の今、データってすごく活用できるんですよと言われると、そりゃそうでしょうと思わない人は少ないだろう。それだけでなく、AIが発達して人間から仕事を奪うという意見もよく耳にするようになった。この本はまさにそんな統計データが想像しているよりもずっと多くの場面で活用されているということだけでなく、統計データの解析と人間の関わり方についての本でもある。ただ、取り上げられている理論を詳細に解説するような本ではないので、より深く勉強するには他の専門書を手に取った方がよい。

    活用法は脚本の段階で興行収入を予測したり、教育政策の効果を検証するなど企業から正負までたくさんの例が紹介されているのだが、その中で印象的だったのはワインの品質(値段)が

    log e (その年のボルドーワインの平均価格/61年物の平均価格) =
    -12.145 + 0.00117×冬の降雨量+0.616×育成期平均気温-0.00386×収穫期降雨量+0.0238×熟成年数(83年の時点)

    という方程式で導けるという主張だった(実は上式は本文中のものとは違う。これについては後述)。というのも、偶然にも先日読んだ『熱狂のソムリエを追え!』では味覚や嗅覚などの感覚を極限まで高めてワインの評価をするソムリエたちを通してワインについて語られていたからだ(こちらもとても面白かった)。この本ではそのような主観的要素を排した統計データの解析でワインの評価をする話が初めに書かれていて、同じワインに対してここまで方向性の違うアプローチがあるということに面白さが感じられた。

    そもそもワインの品質と値段を同一視していいのかという意見もあると思われるが、これについては『熱狂のソムリエを追え!』でも同じ話はあった。それによると、ある一定の値段までは値段に伴って品質も向上するが、そこを越えると希少性が高まるのでさらに値段が上がるということだった。とはいえ、訳者付記でも書かれていたように品質を現実的に判断するのに値段を用いるのはそれなりに有効であるという主張には納得できるところもある。

     このように具体例を挙げるだけだったら感心して終わりだったが、この本の主眼は別のところにある。最近AIが人間の仕事を奪うのではという意見がよく見られたが、ここでも同じ話が出てくる。一般人だけでなく、専門家の予測よりも統計データに基づく予想の方が優れているという結果がたくさん出てきているからだ。医者の下す診断よりも、データから同じ症状を示す病気を調べた方が正確だったという話は聞いたことがある人もいるかもしれない。それでは人間はいらなくなるのかというと、そうではない。これがこの本の後半の論点で、正しくデータを活用するには人間は必要で、うまく折り合いを付けなければいけないという話になる(ただし、きちんと知識を身に着けたうえで)。というのも、先程は主観的要素を排してと言ったが、分析に使う変数や、分析の結果から何をするのかを決めるのは人間だからだ。いずれにせよ、これからの時代を生きていくには色々なことを学び続けないといけないということなのだろう。

    最後に先程のワイン方程式だが、気になって調べてみたところ訳者など複数の人が検証していた。詳しくは下記を参照していただきたいが、論文から引用する際のミスで式が本来のものとは違っているようだ。情報を鵜呑みにせず自分で調べることも大事だということを再確認するという副次効果を得られたということにしよう。
    https://cruel.hatenablog.com/entry/20150121/1421802947
    http://tenmei.cocolog-nifty.com/matcha/2014/07/post-746c.html

  • ラリーサマーズ、男女で学力の標準偏差に差があることから、優秀な物理学者の数には生来の要因から男女差があると話したことが問題になった。これは男が標準偏差が大きいためだが、悪い方の数も多いことや、より平均よりも離れた学力の集団ほど標準偏差の差が数の大小に影響することがメディアに理解されなかった。

  • 面白い。統計予測の豊富な成功事例(米国)とその影響(専門家の反発や社会問題等)。ただ成功本なので、あまたの失敗事例・紆余曲折・注意点の説明はない。訳者後書きがこの点と日本の現実を淡々と述べていて良かった。

  • ざっと統計学を学校で習ったことがあるのだが、習ったことを応用して実際利用する となると難しい
    この本の八章では特に、講義で聞く統計学とは違った角度から標準偏差と無作為抽出が説明されていて、腑に落ちる感じがあった
    あと記憶が確かならベイズ理論の説明でよく 三つの扉に当りがひとつ隠れてる云々 の話が使われると思うが、この本の八章の説明のほうが理解しやすかった。

  • ビッグデータの可能性を指摘した本。実例が豊富で説得力ある。ビッグデータが日本で騒がれ出したのはここ最近だが、著者をはじめ研究者はだいぶ昔から着手していたようだ。
    自分の研究の時代遅れっぷりを痛感させられた。

  • データを活用すること、特に回帰分析が非常に役に立つということを改めて認識する。
    特に、世の中のあらゆること、モノの購買とレコメンド、保険、等様々な物が自分の属性や行動データによって判断や推奨がされているのであるということをしっかり認識することが大事であると思った。経験や直感が必ずしも悪いわけではなく、統計などのデータ活用の術を理解しそのデータを疑いながら、経験や直感も踏まえた意思決定ができることが重要であると感じる。
    本書には様々な事例が具体的に詳細に述べられており、人種や性別による差別が様々なところで起こっているという問題を知ることもできたことも学びである。
    内容自体は読みにくく斜め読みだが改めて読み直す機会も作りたい。

  • □感想
    ・サンプル調査、回帰分析によるデータマイニング。未来志向で、値段を決める方法などが紹介されている。

  • p.2010/6/11

  • 背ラベル:417-エ

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    統計や数学に興味を持ち、色々と調べて本書を読んだのだが非常に面白く参考になる内容だった。
    はじめのワインの品質を計算する数式を統計から作り出すことに始まり、医療、教育、政策、映画、経営など非常に多くの分野で統計が活用されていることを知ることができた。
    今まではボンヤリしていた統計に対するイメージが本書を読むことでハッキリしてきた。

  • 本書の中でも評論家の未来予測の的中率は一般人のそれとほぼ同じというのは驚きだった。やはり人間の直感や思い込みはあてにならないことを痛感させられる。
    本書の邦訳は2007年が初出だが、14年後の現在、さらにその傾向は強まっている。シンギュラリティは着実に近づいている。

  • 2007年に単行本、2010年に文庫化ということで、世の中でビッグデータがもてはやされ始めた時期の作品です。内容的には、マネーボールや標準偏差などの話題に触れながら、「絶対計算」の未来と限界を論じたもの。
    以下は、閑話休題。
    本書の翻訳者は山形浩生氏。
    1964年、東京都に生まれる。麻布中学に入学し、学校の帰りに橋本治の『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』を立ち読みして影響を受ける。また、当時からSFや漫画にも興味があったという。中学校3年生ごろから御茶ノ水の駿台予備校に通う合間に秋葉原へ行くなど、パソコン少年でもあった。予備校には、秋山仁と山本義隆の講義を受けるために通っていた。麻布高等学校を卒業し、東京大学理科I類に入学する。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻を経て、野村総合研究所研究員となる。その後、マサチューセッツ工科大学大学院不動産センター修士課程を修了する。 野村総合研究所で開発コンサルタントとして勤務する傍ら評論活動を行っている。また先鋭的なSFや、前衛文学、経済書や環境問題に関する本の翻訳を多数手がけている。(ウィキペディア)
    文庫本あとがきで、質問に対する著者からの丁寧な返答に「ありがとう」、翻訳ミスを指摘してくれた人にも「ありがとう」・・でもそこは、「ありがとうございます」でしょう!確かにすごい経歴ですが、ここではイチ翻訳者であるという立場がわかっていないと思わせる俺様感が強烈。

    イアン・エアーズ:経済学者、弁護士。イェール大学ロースクール教授
    NYタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、FTなどに寄稿。彼の研究はプライムタイム・ライブ、オプラ、グッドモーニング・アメリカ(いずれもテレビ番組)でも取り上げられている。ベストセラー『その数学が戦略を決める』など、著作は10冊に及ぶ。イェール大学およびMITで学位を取得。

  • まとめがあって、そこだけでよかった

  • 本書の原題は『Super Crunchers』。絶対計算者たちという意味だ。2007年に上梓されたものなのだが、絶対計算が世界を支配しているという実感はない……が、インターネットが普及して統計調査が低コストでできるようになった今、cookieを使った追跡型広告を含め、消費者の知らないところで普通に支配されているのかも知れない。標準偏差を用いた2SDルールという考え方を有効に使えるようになりたいと思った。

  • 2SDルール。正規分布では平均値からプラス・マイナス2標準偏差値内にある確率は95%。
    大量のデータ解析が各種の意思決定につかわれる。

  • 途中までよんだ。
    特にためになりそうな内容は見当たらないので、途中でやめ。

  • 計量経済学の権威の本。
    絶対計算に基づく意思決定の例のオンパレード。
    読むんちょっと疲れた笑

    今や政治、教育、ビジネスなど全ての領域で絶対計算による意思決定がなされている(日本ではまだまだであるが)。今後、その絶対計算の仕組みを理解することが一般人にも求められていく。多少穴のある絶対計算でも、人間の精度を軽く上回るほど強力。生かさない手はない。

    私自身意思決定と深く関わる職種なので、何とか絶対計算を理解できるようになりたいと思う。

  • 2標準偏差ルールは分かりやすいし使える。

  • タイトルから想像していたものと全然違う話だった。せめて、その計算が戦略を決める、ではなかろうか。
    各章にまとめがあるけれど、そのまとめだけ読めば十分なんじゃないかと思う。その他の部分はまとめに書かれていることの事例集としか感じられなかった。
    データの傾向を分析することで経験則や専門家の知見と比べて、多くの場合において超えるか同じ程度の予測結果を出せる、ということと無作為抽出による対照実験で特定因子の効果がより分かりやすくなる、ということしか書いてないと言っても言い過ぎじゃないような。
    事例集部分は参考になることはなったけれど、それを求めて読み始めたわけじゃないし、それ目的なら他に良い本がありそうな気がする。
    タイトルとあらすじがあまり良くない。
    190503

  • 各章にまとめが書かれており良い頭の整理になる。
    医療分野はデータ分析の実施が求められ、その効果も大きいと感じられた。
    絶対計算の方が専門家より優秀であることは止めようもないトレンド。
    人間は大量の条件にらうまく重み付けが出来ない。感情や先入観に左右されがち。
    人間の活躍の場は絶対計算のための仮説立案。
    絶対計算により、各種差別が姿を変えた形で登場することはあり得る。
    また、絶対計算により、人々の持つプライバシーはますます無くなる。
    一般人も統計や数学の知識が必須となる。平均値と標準偏差の考え方位は必須。ベイズ検定の発想も知るべき。

    計算機の発達と統計学が未来を見通す原動力の1つであると感じた。
    統計は我々の生活の深くまで入り込んでいる。
    普段から統計的な視点を持つべきと痛感した。

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著者プロフィール

山形 浩生(やまがた・ひろお):1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。経済、文化、コンピュータなど、広範な分野で評論、執筆、翻訳活動を行う。訳書に『クルーグマン教授の経済入門』(ポール・クルーグマン著)、『21世紀の資本』(トマ・ピケティ著)、『ウンコな議論』『不平等論』(ハリー・フランクファート著)など多数。

「2025年 『自由は進化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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