完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2012年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167651817

みんなの感想まとめ

天才数学者の人生を追ったノンフィクションで、特異な才能を持つペレルマンの生涯や彼が直面した数学界の状況が描かれています。ソ連時代の数学界の背景や、彼の独特な思考過程を知ることができ、興味深いです。ただ...

感想・レビュー・書評

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  • ペレルマンが育った当時のソ連の数学会の状況がよく分かる。
    ただ、証明したポアンカレ予想に関する数学的に詳細な解説は無い。それは他書に譲る。

  • こちら↓の方が面白かった。
    100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影

  • ペレルマン氏がどのような環境で育ったのか良く分かった。ソビエト時代の数学界のことも良く分かった。

    2012/12/15図書館から借用;12/17朝の通勤電車から読み始めて,12/20の朝の通勤電車で読了

  • ポアンカレ予想を証明した天才数学者ペレルマンの評伝だ
    ペレルマンの業績の一般向け解説書は何冊か読んだので、同様の書籍がまた出たのかと思った
    ただ、“動的平衡“の福岡伸一が帯や解説で絶賛していたので、思わず買った

    これまでの本ではトポロジーやポアンカレ予想の解説が中心で、ペレルマンその人については名誉や賞金を一切拒否するその変人ぶりに触れる程度であった
    当然だ
    今や彼は現実社会との接触を一切断っていて、情報が極めて少ないのだから

    本書の著者にとってもそれは同じことだが、類似書とは大きく異なっている
    それは彼女が、ペレルマンに関わりをもった殆ど全ての数学者たちと丹念に対話し、彼の人間形成過程やその人となりの輪郭を追い込んでいるからだ
    それを可能にしたのは、彼女がペレルマンと同時代にロシアの数学エリートとしての教育を受け、人種的にも同じユダヤ人であったことだ

    戦時下やスターリン独裁時代における数学教育の現場の様子が生々しく描かれており、またその後の冷戦時代を通じてのユダヤ人排斥の実態も、詳しく語られている
    全く知らないことばかりだった
    数学専門学校の成立や数学オリンピックの様子などの歴史的な興味も尽きないし、その環境下で立ち回った著名な数学者たちの魅力や欠点も率直に記述されている

    しかし、やはりペレルマンの幼少期以来一貫した天才ぶりと、反対に次第に心を閉ざしていく過程が、本書の中核なのは間違いない
    もちろんペレルマンの心境については著者の類推でしかないとはいえ、僕の当てにならない直感でもかなり的を射てると思った
    ただ、で来るだけ客観性を保とうとしているが、時々ペレルマンへの愛憎が差し挟まれる

    例えば、数学者を3つのタイプに分類する
    第一は予想を立てる者 誰も考えたことがない地平を切り開く
    第二はその予想を証明して定理にして道しるべを与える者
    第三は緻密で忍耐強くこだわり抜き、最終的な証明に達する者

    彼女はペレルマンは第三のタイプだという
    第一がもちろんポアンカレその人、第二はペレルマンの証明において重要なツールであるリッチ・フローを発見したハミルトンのような人

    また、ペレルマンが世捨て人になった心情に対しても、極めて批判的に分析している
    言ってみれば純粋培養のアダルトチルドレンという見解だ

    とはいえ本書は、世紀の業績を上げた数学者に現時点でもっとも肉薄している
    数学についての直接的な記述はないので、ちょっとでもペレルマンに興味を持つ人なら十分楽しめるはず

  • 表題どおり、一人の天才数学者の人生を追ったノンフィクション。筆致は良く言えば丹念、悪く言えばやや冗長に思えた。
    あと当人は最初から最後まで天才で特異であり、推察される内面の変遷にも私のような一般人には共感できないところが多かった。

  • 〈日本大学歯学部OPACへのリンク〉https://dentlib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000088314

  • グリゴーリー・ペレルマン(1966~)。数学の超難問「ポアンカレ予想」に挑み、2002年36歳で解明に成功。しかし、ミレニアム賞やフィールズ賞の受賞を拒否、数学の世界から姿を消した。本書は、関係者をロシアとアメリカに取材し、その謎を解き明かす。
    著者のマーシャ・ガッセンはペレルマンと同年齢、同じくユダヤ系のロシア人。ペリルマンと同様、少年時代に数学の英才教育を受けた。1981年に家族とアメリカに移住、現在はニューヨークでジャーナリストとして活動している。ペレルマンのことを書くなら、彼女(トランスセクシュアルで、現在は女性)ほどの適任者はいない。
    ペレルマンが数学界を翻弄するのは後半だが、むしろ前半が読みどころ。ソ連の時代(とくにスターリン主義の政権下)の自然科学に対する締め付けと激しいユダヤ人差別が描かれている。そうした状況のなかで、どのように数学は命脈をつなぎ、数学的天才を出現させたのか。そしてペレストロイカやグラスノスチなど、束の間自由が顔を覗かせた時期に、それらの天才がどのように世界に出ていったのか。
    充実の一冊。青木薫訳もすばらしい。

  • 100年以上証明されることの無かったポアンカレ予想を証明した天才数学者ペレルマン。
    かけられた100万ドルの報奨金を固辞。
    数学者にとっての名誉であるフィールズ賞の受賞も固辞。
    ソ連の時代背景もあり、一つ一つの奇跡の積み重ねが彼を数奇な運命へと誘っていく。
    それはまるで必然であるかのように。
    とある理由からペレルマン本人にインタビューすることができず、彼を取り巻く人々のインタビューを元に構成された本書。
    彼の魅力にとりつかれてしまう一冊。

  • 100万ドルの受領を拒否した謎の天才数学者ペレルマンに興味がありざっと読んだ。ペレルマンが少年時代を過ごしたソ連における数学教育など詳しいが、ざっと読んだだけでは周辺のことに詳しい分ペレルマン本人についての情報がつかみにくい印象(あまり情報が無いからだろうが)。ただ爪や髪を伸ばし放題の風貌も含めかなりの変人であるイメージは伝わってきた。

  • ポアンカレ予想を証明したペレルマンの苦悩、ソ連におけるユダヤ人数学者(ユダヤ人一般)への迫害が苛烈を極めていたことが描かれるが、ポアンカレよそそのものへの言及はほとんどなし。

  • 450円購入2013-10-04

  • ポアンカレ予想を解決したペルマンの生い立ち、当時のソ連や、特異な数学教育について語る。この本を読んでも、ポアンカレ予想につて、その解決過程の詳細は書かれていない。

    たとえ、詳細に書かれていたとしても、分からないとは思うが・・・分からなくてもそれを期待して読んだのに、期待した内容とはずいぶん違いがある。

  • 青木薫さんが翻訳した本は外れがなかったけど、今作もそうだった~。
    ポアンカレ予想を証明したロシアの天才数学者ペレルマンに関する本。
    この本のすごいところは、ペレルマンに対するインタビューは一切行わず(存命だが、行えない)、ペレルマンの生立ちから表舞台から姿を消すまでの様子を関係者への取材をもとに丁寧に記述している点。
    ペレルマンがどれだけ数学に対して没頭してストイックであったかはもちろん、社会主義体制のもと均質であることが求められるなかどのようにユダヤ人であるペレルマンが並はずれた才能を開花させることができたか、等々。興味深く読み進めることができました。

  • ペレルマンの人となりを少し知れる。

  • 世紀の難問と言われた「ポアンカレ予想」を証明した、ロシアの数学者グレゴリー・ペレルマンの評伝。
    「ポアンカレ予想」とは、1900年代初頭に、数学者のあいだで「最後の万能人」と呼ばれるアンリ・ポアンカレによって提出され、2000年には、世界的な数学者の集まる会議で世紀の難問の一つとして懸賞金までかけられた難問であり、ペレルマンは何故この難問を証明し得たのか、ペレルマンとこの問題に挑戦し続けた他の数学者とを分けたものは何だったのかは、十分に興味深い。
    しかし、この「物語」を何よりミステリアスなものとしているのは、ペレルマンは、証明が正しいことが認められた後、懸賞金もフィールズ賞の受賞も辞退し、数学の世界を捨て、数学者はもとよりほとんど全ての人と連絡を絶ってしまったことであろう。
    著者は、ペレルマンと同い年で、旧ソ連の社会主義体制下で、同じように数学のエリート教育を受けたユダヤ人である。
    本書は、ポアンカレ予想とその証明に焦点があてられた複数の類書と異なり、ペレルマン自身に焦点を合わせて彼の半生を辿るものとなっているが、ペレルマン本人への取材ができない中で、内容に奥行と深みを持たせ、本書をユニークなものにしているのは、著者の経歴によるところが大きいと言えよう。
    邦訳は、科学系ノンフィクションの翻訳では極めて優れた青木薫。
    優れたノンフィクション作品である。
    (2010年2月単行本了)

  • 森に消えた数学者

  • 本書はポアンカレ予想を証明したロシアの数学者ペレルマンの評伝である。彼は私より2年後に生まれている。ほぼ同じ世代と言ってよい。しかしながら、旧ソ連の教育制度は、いやはや驚きの連続であった。(たぶん)良い方の驚きは、若き数学者を集めて育てるという仕組みだ。数学オリンピックで金メダルを取るということがいかに重要なことであるかが分かる。画一的な教育(こちらが悪い驚き)から抜け出すには、数学や物理学に秀でていることを認められなければならない。さらには、ユダヤ人であるということに対する仕打ち。少し前にロシア人物理学者ランダウの本を読んで、ユダヤ人に対する態度は見えていたとはいえ、そこから時代はかなり下っている。確かに、モスクワオリンピックを西側諸国がボイコットしたということは私にとっては周知の事実だ。そんな時代であったとしても、ユダヤ人であるがために優秀であるにもかかわらず大学に進学できないなど、話を読むと、憤りを感じると同時にその歴史をもっと深く知りたいとも思う。さて、これは本書前半の話。それよりも、ペレルマンがいかにしてポアンカレ予想に取組み、それを証明し、そして世の中に背を向けるようになっていくのか、本当はそちらの方が見せ場ではある。最終的には人嫌いになっていくのかもしれないが、その過程にはたくさんの人に愛され、守られ、導かれてきたのであろうということが容易に推測される。抜群におもしろく、一気に読み通した。サイモン・シンと同じく翻訳が良いという点も大きいと思う。著者および翻訳者が女性であるということはあとがきではじめて知った。そんなことはどうでもよいのだけれど、本書を読んでいる最中はずっと男性の語りとして受け取っていたので。また、アメリカ版と日本版の違いについては、いったいアメリカ社会には未だにロシアに対するあるいは共産主義に対する、何らかの強い思いがあるのかとかんぐりたくなってしまった。

  • この本は,数学的なことはほとんど書かれていない.関係者への取材から,ペレルマンの生い立ちから数学界を去るまでの人物像を浮かび上がらせたものである.というのは,ペレルマン自身が多くを語らず,特に,証明の発表以降は外界との接触も絶つようになってしまった理由による.閉鎖的なソビエト数学界,そこでのユダヤ人への差別が平然とまかり通る中で,奇跡的に数学に専念できる青春時代を得た.それは,「解けない問題がない」と周囲も認める,比類ない強い思考力を持っていたからだろう.一方で,問題に向き合う純粋な態度が完璧すぎるため,証明発表後の世間のパワーゲームには口を閉ざしてしまったのだろう.興味の対象は問題の解決それだけのみであるというルールに則って生きているのならば,やはり天才としか言いようがない.フェルマーの最終定理のように,先人たちによって少しずつパズルが組み立てられていったような,あの達成感はない.一人のこの天才によってポアンカレ予想は証明されたと感じる.ポアンカレ自身がこの証明に判断を下せたとしたら,ペレルマンにとって至上の賞賛となりえたのだろう.

  • 約100年もの間、数多の数学者が挑戦して敵わなかったポアンカレ予想を証明したロシア人 グリーシャ・ペレルマンの半生。内容としてはサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」のような感じ。ただ、著者が本人に直接インタビューできていないのですっきりしないところもある。が、読後にウィキペディアとかyoutubeで調べるとちょっと面白かった。
    あと、著者が同時代に生きるロシア人だけにスターリン政権下の粛清やゴルバチョフ時代などソビエトのめまぐるしく変わる社会に生きる数学者を内部からの目線で描いてあるのも興味深い。

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