冷たい誘惑 (文春文庫 の 7-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 371
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167652029

感想・レビュー・書評

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  • 一般の人が普通に生活をしていたら、まず手にする事のないもの-拳銃。
    それを思わず手に入れてしまった人々のお話。
    最初のお話で、拳銃を手にしたのは普通の主婦。
    彼女は同窓会の帰り、路上で寝ている所、一人の少女と出会い、1万円の替わりに小さな包みを受け取る。
    その包みの中には拳銃が入っていた!

    この本が面白いのは、時間が遡っていくストーリーだということです。
    それからお話は主婦に拳銃を渡した家出少女、カラスを憎む若いサラリーマン、古ぼけたアパートに入居した元刑事、その部屋に以前住んでいたアナウンサーの女性へと話が進んでいきます。
    話は進むのに、時間は過去にさかのぼっている。
    だから頭が時々こんがらがりそうになりました。

    拳銃についてとても詳しく書かれてあり、それを読むと実際に銃を手にした事のない私もその質感とか重さとかが想像できました。
    それが登場人物たちが思わぬ物を手にした時の驚き、戸惑い、恐怖、昂揚感といった感情に同調するという事につながります。
    そして遡るストーリーなので、前の持ち主はどういう人間だったのか、今の物語を読みながら自然に想像していく事にもなり、面白い。
    彼らが手にしたモノはかなり重いものですが、その割にはストーリーは軽やかな印象でした。
    とても読みやすい本です。

  • 久しぶりに面白い小説(物語)を読んだ気がする
    一つ一つの話が面白い5つの短編集なんだけど、ちょっと仕掛けが合って読んでいくうちに…おおおっって感じで。
    面白いなぁ完成度が高いなぁ
    人に勧めたくなる一冊♪
    オヤジと彼女にすすめよう!

    乃南 アサさんの本は今回2冊目なんだけど、だいぶ昔に1冊読んだミステリー?も面白かった記憶が残ってるので、これから何冊か読んで見ようかなという気になった乃南 アサさんの本は今回2冊目なんだけど、だいぶ昔に1冊読んだミステリー?も面白かった記憶が残ってるので、これから何冊か読んで見ようかなという気になった!

  • 拳銃にまつわる話がリンクしている。普通なら手にしないであろう人びとの内容。バッドエンドでないのが救い。

  • (収録作品)置きみやげ/塵箒/なかないで/野良猫/母の秘密
    「引金の履歴」を改題

  • 偶然、一丁の小型の拳銃(コルト)を手に入れてしまったごく普通の主婦。それがどこから来てどのように彼女の手に渡ったのか、遡る短編集。一編ごとに独立しているが、それぞれがコルトで繋がっているのが面白い。

  • うーん途中までは読むのがつらかった。。
    結局、拳銃は主婦が持ってるってことでいいの?
    多分そうだよね。。

  • 銃をめぐる連作短編集

  • 「私は拳銃を構える。恐怖にひきつった顔を思い描くだけで、胸のもやもやが晴れていく」―。久しぶりの同窓会で、歌舞伎町に流れ、家出少女から受け取った包みの中身はなんと拳銃。なぜか主婦は警察に届けない。日常に倦んだ市井の人々を狂気に変えていくコルトの魔力。巧みな構成で魅了する連作短篇集。

  • 以前は「引き金の履歴」みたいな題名だったと。
    一つの拳銃の周りの人間模様がいくつかの短編でまとめられている。
    そしてそれぞれがどこかで出会ってたり繋がってたりしてけっこう想像をかきたてられる作品でした。
    今でも大好きな作品です。

  • 著者の新潮文庫から出ているものは古い順に読んだので抜けは無いと思うのだが、他社から出版されているもので読んでない物は無いか確認したら、普段読まない短編集かと思っていたのが連作集らしいので読んでみた。

    おそらく一丁の拳銃が多数の人の手に渡り、それを手にした人の物語集。

    微妙にそれぞれの人が絡み合うのだが、つじつまが合うように時系列に並べることが、この本だけではできない。

    解説にあったのだが、著者の作品(特に本著)の主人公は半分読者自身で半分読者が自分より劣っていると考える人間で、読者は当初これは自分だと感じ、その主人公がこんな馬鹿なことするなよと思わせ、感情移入させるのがうまいと分析している。

    うまい表現だと思う。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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