躯 (文春文庫 の 7-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167652043

感想・レビュー・書評

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  • 体の部分をテーマに描かれた5篇。
    人は体のどこかに異様なまでの興味を持ったり、自分の体に劣等感を持ったりしているもの。
    だからこそ、この小説は怖い。
    誰にでも起こり得そうだから。

    2016.1.24

  • 軀にまつわる5つの短編集。

    どれもちょっと後味の悪い、
    うす怖いサスペンスホラー仕立て。

    最後の「顎」は他とややテイストが異なっていて、ラストが好き。

  • 面白くて読みやすいからペラペラめくっちゃう。

    「血流」が1番怖かった。
    痴漢で警察から声をかけられた時に、うわ〜冤罪...踏んだり蹴ったり、泣きっ面に蜂だ...と思ったけど、結局お前やってたんかい!なにが世界で最も短い恋愛じゃい!それ痴漢って言うんですよ...。と鳥肌。実際そう思い込んで痴漢してる人もいるんだろうなぁと怖かった。

    どの作品もぬるぬると、いつの間にホラーになっていくのが楽しい短編集だった。

  • 常に不穏な空気を漂わせながら、ある身体の部位を起点として物語が展開されるのが面白い。
    この短編集が「臍」から始まるのも良いなと思った。「お父さんて、我が家のお臍だったのね」という台詞、怖すぎる。

  • 母から回ってきたから読んだ。読もうとして読んだのではない。そう、この作者さんに何度も裏切られてるから自分からは進んで読まない。結局この本もそうだった。
    身体の一部を使ったサスペンス的な内容で、でも誰も救われないどうしようもない陰鬱になるオチしかない。作者さん、病んでるのかな?
    文章の運びは悪くないし読み難いとは思わない。ただストーリーがよろしくない。
    オチもすべて途中でわかるし、目新しさもない。または意味不明なオチでもはや読んでてモヤモヤとも来ない。ただページ数を稼いでいく作業ゲー。
    俺、お疲れ様。

  • カラダに纏わるダークな短編集。もっとオカルトな話かと思ったが、どちらかというと怖いより気持ち悪いが強い。特に血流は、途中で読むの止めたくなるおぞましさだった。痴漢やってる夫の心理描写も勿論だし、後半に済んだことをいつまでも言いやがってと妻を謝らせたりするのがわけわからん…はああ?てなった。つむじは寓話的。尻はわかりやすい陥り方。顎は少し救われる感じ。

  • 体のコンプレックスにまつわる短編集。
    病んでる。

  • 日常が一瞬にして非日常に変わる怖さを描いた作品。あなたの躯が静かな復讐を始める…。
    身体的なコンプレックスは人それぞれ。他人の何気ない一言が狂気の引き金にもなり得る。
    嫌な話ばかりですが、ねっとりしたしつこさがないのは乃南さんの個性なのだろうと思う。
    「膝」は中盤まで面白くなかなかインパクトが強い。私の膝もいけてそうな気がする。笑

  •  軀にまつわる5作品の中では『尻』のラストが圧巻だ。女子高生の過剰なダイエットが拒食症に発展し、精神崩壊まで一気に突き抜けていくはなしである。最後の病院へ行く件にはゾッとさせられた。著者、乃南アサに注目。

  • なんともやるせない気持ちになった。この作家は初めてだが、違和感なく読めたし、扱うテーマも好みなので他のも読んでみようと思う。

  • 一見真面目な人が抱えるフェティッシュな欲望をテーマにした「血流」がもっとも面白かった。拒食症の女子高生を描く「尻」は恐ろしかった。過去の自分と出会うボクサーの夢を描いた「顎」は切ない。

  • 2015.2.11

  • からだにまつわる短編。
    『臍』と、『顎』が良かった。
    顎はなんとなく予想出来たけど素直に感動した。
    こういう人間味のあるホラーは乃南さんが一番です。

  • 怖いわ、乃南さん。
    躯にまつわる短編5篇。
    拒食症におちいっていく女子高生の「尻」はその姿が目に浮かび、痛々しくていたたまれなかった。

  • からだにまつわる短編5話
    日常が非日常へと変わってしまう怖さを描いた
    新感覚ホラーだそうです。

    ホラーって感じではないですが
    たまに変態。たまに異常。
    たまにぞぞっとしたり。
    一気に読みました。

  • 体じゃなく、躯ってとこがニクい。体の一部分って、こうやって見てみるとすごくミステリアス。臍…怖かったなぁ〜いろんなラストを想像しながら読んだけど、やられました、

  • 体の各部分を取り上げた短編集。

    「臍」
    臍の美容整形を受けたいという高校生の娘と一緒に美容外科を訪れた母親は自身も皺を取る手術を受ける事にする。
    しかし、術後美しく変わったはずの彼女に肝心の夫は全く気づかない。
    その後、彼女は意地のように美容整形を続けて受けるが-。

    妻の変化に全く気づかない夫。
    でも本当に見えてなかったのは・・・という話。

    「血流」
    女性の膝に異常に興奮を覚えるサラリーマン
    彼の密かな楽しみは電車で女性の膝を触ること。
    痴漢行為で警察につかまった彼の興奮の対象はやがて別のものに移り変わって-。

    これは想像するとすごく痛くて気持ち悪かった。

    「つむじ」
    薄毛に悩む20代のサラリーマン。
    彼は大学時代の先輩から勧められた治験段階の増毛剤を試すことにするが-。

    薄毛の悩みは全く縁がないけど、男性にとっては深刻な悩みなんだろうな・・・と思う話。
    思った通りのラストだったけど、つきあっている恋人との兼ね合いがそれにプラスされていたのが楽しめた。

    他、人に言われた一言から異常に痩せることに執着する事となった女子大生の話「尻」
    仕事の長続きしない青年が自分を助けてくれた男に惹かれ、ボクシングをするようになった話「顎」

    どれもどこにでもいそうな人間が自分の体のあるパーツにこだわることから始まる恐怖を描いた短編集。
    体のあるパーツにこだわるという事が私の場合全くないけれど登場人物の心の流れは理解できた。

  • サスペンスではないのだけれども、思わずサスペンスに分類してしまった…。
    乃南アサほど残酷な作家は、なかなかいないと思う。
    他の作品もそうだが、行き着くところまで行ってしまうという印象だ。
    それも静かに、ジワジワと…。
    またその様子があまりにもリアルなので、ゾクゾクさせられる。
    本作では、「臍」と「尻」が特におぞましい。
    「ありうる」からこそおぞましいのだ。

  • 平凡な日常が激変していく躯関連のホラー作品集。《臍》臍を出す服を着るため、形の良い臍に整形したい少女、学生の為母親に相談し美容外科に、母親も付き添うが……。《尻》病院の一人娘として育った弘恵は、地方から東京の女子高に入学した、同級生たちがお洒落で垢抜けている事に度肝を抜かれた。学生たちが集まる寮で暮らし始めたが、「アヒルのようなお尻」と言われ……。他、《血流》女性の膝を愛する中年男、《つむじ》育毛剤に手を出したサラリーマン、《顎》顎を殴ることに魅入られたプータロー。付き添う母親の激変に(@_@;)

    怖さより散々な結果ばかりで読後感がよく無い作品だった……。

  • 身体にまつわるエトセトラ^m^
    じゃなくて、身体にまつわる少しホラーな短編集。
    誰もが陥りそうで陥らない感覚。
    との話も最後がゾワゾワ(笑)
    そんなゾワゾワが好きな人にはお勧め。

    ☆臍
    ☆血流
    ☆つむじ
    ☆尻
    ☆顎

  • 体にまつわるこわい話。
    短編集なので、すぐ読めました。

  • 人間の体の部位を題材とした短編集。
    「臍」「血流」「つむじ」「尻」「顎」
    ラスト、ちょっとぞっとするような。
    それはなかなか普通は超えないところを超えてしまうから。
    整形手術、痴漢、若はげ、拒食症、
    いや、誰にでも超えるきっかけはあるのかもしれません。

    血流がすごく気持ち悪かった。これは理解できない。
    こういう頭の構造の人が犯罪を起こすのかと思うと
    こちらはどうしたらいいのかわからない。病気だよ。

    この中で、顎はちょっと感じが違いました。
    弱かった少年が強くなる。ボクサーを目指して。
    (ただラストの解釈があっているのかが、不安。)

  • とってもフェチな方々のお話。

  • 体のパーツに焦点を当てた短編集。美容整形や拒食症、若ハゲ等、珍しくない身近な話だけど、ある一線を超えて堕ちていく様が怖く面白い。
    乃南アサの、物語の終わらせ方がとても好き。短編ではそれが特に光る。

  • 『世にも奇妙な物語』みたいな感じ。

  • 気持ち悪かった。

  • 人が狂うというものは
    唐突に繰るもの。
    その度合いが激しいのは血に魅力を
    感じるようになってしまった男の「血流」が
    印象的でしょう。

    それはある意味私の「耳」の
    それに近いものがあるかもしれません。
    侵略する感覚とでも言うのでしょうかね…

    一番身につまされたのは
    「尻」です。
    彼女が陥った状態、気持ち分かります。
    やせれば綺麗、というものではないのに…
    そしてどうして女という生き物は異様に
    群れたがるのやら…

    不思議な世界に浸れる作品でした。

  • 最後の「顎」が、なかなかに切なく悲しいけれど、ようやっと「不幸せな環境を呪う自分」から脱却できつつあったところがさらに切なさを増すんだけど、かすかな希望というかなんというか、ほんのすこし暖かいものが残った。

  • 「人体模型の夜」みたい。

  • 最後の一作を除いて、ネタはわかってしまったが、それでも面白かった。黒沢清監督が映像化したら怖そう

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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