くっすん大黒 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 2561
レビュー : 307
  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167653019

作品紹介・あらすじ

三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます-日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読みたい読みたいと思ってて、なかなか一歩が踏み出せなかった町田康氏。本棚で長い間眠らせていた。
    「読みたい!気になる!」という思いが強すぎて、期待はずれだったらどうしよう!ああ、怖い!でも早く読みたい!という葛藤を経て、ようやく。

    いや、私は何を躊躇していたんだ。
    なんでもっとはやく読まなかったのか。

    リズミカルで独特な文体。
    描かれているのは「ダメ男」なのに、どうして共感したり、応援したりしたくなるのだろう。ああ、清々しい!


    馬鹿な事でうだうだ悩んでいた自分が馬鹿らしいなあ!あはは。
    なーんて思ってしまう作品。

  • チャアミイが夢にでてきそう。

  • 町田康はダメ男を書かせたら日本一だと思います。

  • 町田康デビュー作
    『くっすん大黒』
    毎日酒ばかり飲んでいて妻に家出された男。むかむかとする怒りの矛先に、部屋に転がっていた不愉快な金属製の大黒。捨てよう、大黒を。自分は、大黒を捨ててこます。
    しかし男はごみの分別や近所の視線を気にし始め、ゴミ捨て場に捨てる方法は却下。不法投棄しようと大黒を入れた紙袋抱えて町をぶらつき捨て場所を探していれば職務質問され、あきらめて友人の菊池に大黒を引き渡すことにする。
    菊池の紹介で古着屋で働くことになった男。次の日から菊池と1日交代で働くことになるが、そこで待ち受けていたのが、まったく働く気のないおばはん店員吉田と、客としてやってきたユオロップ狂いのおばはんチャアミイ。奇妙な2人のおばはんから逃げるように、仕事をやめてしまう。
    そこへ、男が十余年前に出演した映画のツテから、行方不明の芸術家上田京一なる人物の軌跡をたどるビデオ作品のリポーター役というインチキくさい仕事の依頼が来て、わけの分からぬまま撮影に参加していく。

    古着屋での吉田とチャアミイというおばはん2人のやり取りと呆然と眺める主人公の場面(p.49)が面白かった。
    チャアミイの絶叫と冷静にツッコむ筆者(主人公)の目線の落差に笑った。文章に漫才や落語みたいなリズムがある。

    『河原のアバラ』
    天田はま子という狂った同僚のせいで働いていたうどん屋を追いやられ、隠れた生活を余儀なくされた男。
    そこに知り合いのツテで遺骨運搬の仕事を頼まれ、そこから遺骨をめぐる小さな旅が始まる。
    主人公がうどん屋をやめる原因となった天田はま子という女がまためちゃくちゃ。チャアミイにしろこんなキャラよく考えると思う。

    どちらも冒頭の主人公の独り言(p.9 / p.91)がぶっ飛んでいて秀逸。
    のっけからどうしようもない駄目人間だなこいつは、と思うのだが、後から続くもっと狂った周囲の人間や、巻き起こるドタバタに中和されていくうち、主人公は彼なりにまともに生きていて、どうしようもなくこんな状況に立っているのではないかと思わされる。

  • 「くっすん大黒」と「河原のアパラ」の二編収録。

    「こんな風になってしまったのは自分が悪いんじゃなくて世間が悪いんだ!」と言ってしまいたくなるほど、主人公の周辺は変な人ばっかり。
    一見、主人公がダメ人間のように描かれているけど、意外と普通の感覚を
    持ってる?

    ダメな部分をさらけだして笑いを取る芸人のようなサービス精神。
    それが町田康の小説の面白いところ。

  • 東野幸司が紹介していたので読んだ。なんだか椎名誠的な文章、感覚。結構好きな雰囲気の文章だった。

  • 借りた本なのだが…面白かった!
    くだらないんだけど文学!止められない笑い!

  • 小説デビュー作にして、すでに町田康節全開のニート小説。
    売れない時代を過ごしていても天才は必ず残ることを証明した作品だと思います。

    内容よりも、文体そのものにパワーがあります。
    訳がわからないようで、じつはすごくシンプルな内容で、意外なほど読みやすいです。

  • 少し時間がかかってしまったけれど、町田康当然レロレロ楽しく読めた。
    町田康の文章はなんだかレロレロしている。眠くなるときもある。謎めいてもいる。だんだん、万年床で康さんと懇ろになっているようなそんな気持ちで読み進む。

    まるでミステリかのように、謎が散りばめられていて、主人公たちの道中で次第にそれが紐解かれていくのかと思いきやそんなことはなく、レロレロと事態は二転三転反転横転…していくのである。
    主人公たちは、本人なりにはよく考えてもいるし、一丁前に危機回避センサーもついているくせに、今ひとつ軸のぶれた人間なので、
    気付くと「事態にのまれている」…
    その感じがまるで人生という迷宮そのもの。

    でも初めて読んだ「告白」が素晴らしすぎたので、こちらは星3で恐縮ですー

    ちなみに表題作の「くっすん大黒」よりも同時収録の「河原のアパラ」という作品が気に入りました。

  • さくさく読めて楽しい。
    この人は何でわざと売れなそーなタイトルをつけるんだろうかw
    タイトル変えるだけでバカ売れすると思うんだが、これがパンク魂なのか?

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著者プロフィール

1962年生まれ、大阪府堺市出身。バンド「INU」のボーカリストとして活動する一方、俳優、詩人としても活躍。1996年「くっすん大黒」で小説家デビューし、第7回bunkamuraドゥマゴ文学賞、第19回野間文芸新人賞を同時受賞。2000年「きれぎれ」で第123回芥川賞を受賞以降は、作家としての活動にほぼ専心している。
その他受賞歴として、2001年『土間の四十八滝』で第9回萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で第28回川端康成文学賞、2005年に『告白』で第41回谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で第61回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
上記文芸作が代表作として評価を得る一方、映画化された『パンク侍、斬られて候』など、メディア化作品が多い。エッセイストとしても定評があり、『猫にかまけて』『スピンク日記』などが人気。

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