本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784167653019
作品紹介・あらすじ
尾崎世界観(クリープハイプ)絶賛!
「共感できないし、どうしようもないし、変。
でも十代の自分を救ってくれたのは
この物語の主人公なんです」
三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。
誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます――日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得たデビュー作!
解説・三浦雅士
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
自意識に苦しむ主人公たちが描かれる物語は、現代社会の不安定さや人間の愚かさを鮮やかに映し出しています。怠惰な生活を送り、周囲の人々もまた一癖あるキャラクターばかりで、彼らの姿は時に滑稽でありながらも、...
感想・レビュー・書評
-
町田康さんて何者? パンクロッカー、俳優、詩人、小説家、大学特任教授…、更に芥川賞を始め、多くの文学賞を受賞してますね。『告白』に衝撃を受け、デビュー作の本書を手にしました。
作風や文体はもちろん、『告白』の主人公に似た「あかんやないか」的な登場人物まで、共通点と言うか原点を見た気がします。太宰に通ずる?
表題作は、怠惰で仕事を辞め、妻にも出て行かれた楠木正行が主人公。部屋にある無用の置物・大黒様、これが不安定で自立困難…。楠木はこれを捨てようと行動(梶井基次郎の『檸檬』?)しますが、登場する人物たちもほぼダメな人たちばかりです。
終盤の友人のセリフ「楠木だけに"くっすん"。寝転がってると(自立しない)あの大黒にそっくり」が印象的。自分を大黒へ投影する鮮やかさは見事!
もう一編の『河原のアパラ』も同様で、自堕落な中年男が中心に展開しますが、詳細は伏せます。
自意識に苦しむダメな人間は、よく世間から非難の的になりがちですが、よく見たら周りも変なヤツだらけで…。そんな現代社会を、町田さんの泣き笑い調の語り口で批判しながらも、そんな人たちへ温かい眼差しがうかがえます。共感も容認もできない人もいるでしょうが、自然に生きていいんだよと救われる人もいる気がします。
96年に文芸誌に発表された表題作は、野間文芸新人賞・Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
町田康の著書を三冊立て続けに読んで慣れたせいもあるかも知れないがとても読みやすくて面白い。こういう発想というのはどこから出てくるのだろう。デビュー作でこれだけ面白いものが書けるのだから作家というのは素質の割合が大きいんだろうなと改めて思わされる。
-
出てくる人出てくる人みんな狂人で、じつは全員ヤク中っていう設定でした、と言われても驚かない。
支離滅裂と言ってもいいほどのシュールな展開がリズミカルに続き、個人的には結構ちょくちょくぞくりとした。笑いと恐怖は紙一重とはよく言ったもの。
そして読み終わった後に街を歩いたら、すれ違う人がすべからく変人のように思えて困った。もしかしたら世界って、私が思うより狂っているのか。やほほ。
『河原のアパラ』では特に、人間も動物も無造作に死にまくり、流血したりし、たいして悲しまれるでもない。
主人公達は最後には袋小路に近い状態に追い込まれる。
けれども、ラストシーンで彼らは「全身腐った鮒まみれになって」爆笑している。
グロテスクで残酷で意味不明な世界でも、笑えれば勝ち、ということなのかな、と思ったり。 -
ずっと気になっていた町田康さんの作品。
処女作とのことで購入、読了。
こりゃあ………おもしれーーーーーー( ̄∇ ̄)
何か最近、純文学系大当たり祭だなー。
立て続けに、ハマりそうな作家さんに巡り会えた予感。
ぶっ飛んだ不思議な世界観、読んだことの無い特徴的でリズミカルな文章。
圧倒的な「この人にしか書けない」感、唯一無二ですねー。
2作品入ってますが…かたや「家にある木彫りの大黒像がイラつくから捨てに行ったんだけど、気付いたら蛸専門芸術家探しの旅に出てる話」だし、かたや「うどん屋で働いてたら濡れ衣で警察に追われるハメになり、気付いたらケンタッキーでおおブルネリを歌ってて、最終的には知らない人の遺骨が振りかけられたBBQを無理矢理食わされようとしている話(もはや自分でも何書いてるか分からない笑)」だし…もう設定が謎過ぎるwww
あと「頭おかしい人」を書かせたら天下一品だなぁと(´∀`)
チァアミイ、ディレクター桜井、天田はま子、津山(偽)…もうアク強過ぎて、思い出すだけで…くくくくくwwwww
本作はストーリーに意味なんて求めてはいけません。
というより、意味なんてもはや求める方が野暮かと…ただただ爆笑して、心地良く酔いしれるだけで良いじゃんと。
それくらいに思わせてくれるくらいの破壊力がある作品だと思います。
あと、本作は外で読まない方が良いです。
確実に吹き出して変な目で見られますので…( ´ ▽ ` )
<印象に残った言葉>
・医者へ行け、医者へ。(P50)
・『淫乱バスト店・秘密の大戦略』の主演女優は主演男優に大変な目に遭わされ、「ああ、いい、いっちゃう、いっちゃう、ああん、いま、いま現在、ちんぽが入っている」などと絶叫している。その絶叫をBGMに、いま現在、自分が考えているのは、ことここに至った発端と経過についてである。(P69)
・そして、この場合、誰が、どの役があるわけではなく、ある者が注文を聞けば、いまひとりはうどんをつけ、という具合に機に望み変に応じて行動するべきなのであり、その役割分担は変幻自在なのであって、自分と淀川五郎はそうやって、阿吽の呼吸、和の精神のうどんマンシップにのっとって、仕事をこなしてきたのであるが、これらの一連の仕事の流れの中で、やっていて一番おもしろいのは、チャッチャッチャッの役である。(P98)
・俺、高校のときとき、うどん部だったんだ〈中略〉あと、もちろん経済学的な側面もやるし、文化人類学的なアプローチもやるしね、うどんについて、とにかく考えるんだよ(P137)
・五郎と自分は、親指から鮮血をほとばしらせめ、わあわあ泣きながら六畳に駆け込んでいった津山に、「じゃあ、すみませんでした。お邪魔しました」と言って表へ出た。(P159)
<内容(「BOOK」データベースより)>
三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます―日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作
大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。ユーモラスな語り口と奇妙な形で噴出する鬱勃たる感情が話題を呼び、日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載している。第19回(1997年) 野間文芸新人賞受賞とともに第7回(1997年) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。 -
二篇所収
・「くっすん大黒」4⭐️⭐️⭐️⭐️
野間文芸新人賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品。
怠惰で仕事を辞め、妻にも出て行かれたダメ男の主人公楠木正行。部屋にある無用の置物・大黒様、これが不安定で設置困難。楠木はこれを捨てようと行動するが、登場する人物たちも、特に女性が一癖ある人達で、物語の展開が面白く読んでいて楽しい。
・「河原のアパラ」5⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
「くっすん大黒」が面白かったので、これ以上はないだろうと思っていたら、「河原のアパラ」がより最高に楽しかった。
町田康という人がデビューしたのは、日本に一人の才能が現われたのだと思う。
-
町田康の文壇デビュー作。ミュージシャン・俳優時代(町田町蔵)と比べて、ブレが一切ないのが頼もしい。殺伐としているのに愛くるしいのだ、この人は。
-
デビュー作ですか
町田康色々読んだけどデビュー作からこんな感じね
このわけのわからん世界に連れてってくれるの大好き
-
元バンドマンのキャリアを持つ異色の作者による、クレバーなデビュー作。
物語の展開、掛け合いなどシュールなお笑いが上手で純粋に面白い。
癖のある語り口と作調は正に野坂昭如のよう。
チャラついているように見えて、しっかり文学をやっていて満足できた。 -
衝撃的な文章と展開だった。よく分からないまま、あれよあれよと言う間に物語が進んでゆく。関西圏の親戚のおばちゃんの話を只々聞かされているような感覚で、あっという間に読了。
タイトルの「くっすん大黒」の他に「河原のアパラ」て言うのが収録されていたのだけれど、おばちゃんのダラダラした話をまた聞くのかと多少萎えつつ、せっかくだから読んでみた。これも、衝撃的な展開であれよあれよと言う間に読了。こんな作家もいるんだなぁ。才能あるからこその文章。凄い。やほほ。 -
最初のさわりだけ読もうとページをめくったが最後、あれよあれよと奇妙で出口のない変な人ばっかり出てくる世界に迷い込んでしまう。ゴミがいっぱい捨てられてる花壇に大黒をいい感じで置いてみようとしたら警官に捕まりそうになる。自分の人生にはおおよそ起こりそうがないけどでもどっかわかるな、その置かれ具合にこだわる感じ。
-
-
町田康さんのデビュー作。34歳のときに書いたものらしい。ダメ男文学らしいけど、主人公をダメ男だとはあまり感じなかった。むしろ他のキャラのほうが一癖も二癖もある感じだ。
部屋に転がっていた大黒様の置物をどこかに捨てようと家を出て、方々をうろつきまわる主人公。そのうちとあるドキュメンタリー撮影に参加することになるが…。
文体がどことなく西村賢太に似ていて好きだった。
どちらも無頼派だからだろうか。
表題の『くっすん大黒』と併録されている『河原のアパラ』のどちらも、主人公が次第に奇妙な話に巻き込まれる点で似ていた。その奇妙な話の中心人物とでもいうべき奇人の描写がとても上手く、話が奇天烈になるにしたがって小説も面白くなった。言い方があれだけど、頭のおかしな人を書かせたらピカイチだと思った。 -
ずっと読みたい読みたいと思ってて、なかなか一歩が踏み出せなかった町田康氏。本棚で長い間眠らせていた。
「読みたい!気になる!」という思いが強すぎて、期待はずれだったらどうしよう!ああ、怖い!でも早く読みたい!という葛藤を経て、ようやく。
いや、私は何を躊躇していたんだ。
なんでもっとはやく読まなかったのか。
リズミカルで独特な文体。
描かれているのは「ダメ男」なのに、どうして共感したり、応援したりしたくなるのだろう。ああ、清々しい!
馬鹿な事でうだうだ悩んでいた自分が馬鹿らしいなあ!あはは。
なーんて思ってしまう作品。 -
大黒を捨てにゆくために外に出る。ただそれだけのストーリーだがその中にいわゆる文体によって唯一無二の世界を作り出している。笑と解釈の広さを受け入れる、文学でやってはいけないことなどないと思える作品。
-
独特だが勝手に入ってくるリズムのいい文章と変な夢みたいな展開で解説にあるとおり、梶井基次郎や太宰、坂口安吾のような苦悩が表現されるが、彼らと比べると笑いが仕掛けられている。鬱々としてはいるが、最後は笑いなのである。なんとかなれ、なんとかなったの笑いに心が軽くなる。
-
ユーモアが効いていて落語のような話。
実際に悲惨な状況であるにも関わらず、笑い飛ばしてしまうようなユーモアがある。
赤めだかp16「落語とは人間の業の肯定である」とあるように「くっすん大黒」「河原のアパラ」の登場人物は実社会においてはどうしようもないような状況に追い込まれるわけであるが、それでもなおその状況を肯定したいような気にさせる人間の根本の笑いがあると感じた。
-
推理小説かと思ったら文芸書でした。それでも惹きつける力は本物で、すぐに読めました。
結局、大黒様はどうなったか知りたい。
三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます―日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作
大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。ユーモラスな語り口と奇妙な形で噴出する鬱勃たる感情が話題を呼び、日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載している。第19回(1997年) 野間文芸新人賞受賞とともに第7回(1997年) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。 -
「くっすん大黒」と「河原のアパラ」の二編収録。
「こんな風になってしまったのは自分が悪いんじゃなくて世間が悪いんだ!」と言ってしまいたくなるほど、主人公の周辺は変な人ばっかり。
一見、主人公がダメ人間のように描かれているけど、意外と普通の感覚を
持ってる?
ダメな部分をさらけだして笑いを取る芸人のようなサービス精神。
それが町田康の小説の面白いところ。 -
小説デビュー作にして、すでに町田康節全開のニート小説。
売れない時代を過ごしていても天才は必ず残ることを証明した作品だと思います。
内容よりも、文体そのものにパワーがあります。
訳がわからないようで、じつはすごくシンプルな内容で、意外なほど読みやすいです。 -
少し時間がかかってしまったけれど、町田康当然レロレロ楽しく読めた。
町田康の文章はなんだかレロレロしている。眠くなるときもある。謎めいてもいる。だんだん、万年床で康さんと懇ろになっているようなそんな気持ちで読み進む。
まるでミステリかのように、謎が散りばめられていて、主人公たちの道中で次第にそれが紐解かれていくのかと思いきやそんなことはなく、レロレロと事態は二転三転反転横転…していくのである。
主人公たちは、本人なりにはよく考えてもいるし、一丁前に危機回避センサーもついているくせに、今ひとつ軸のぶれた人間なので、
気付くと「事態にのまれている」…
その感じがまるで人生という迷宮そのもの。
でも初めて読んだ「告白」が素晴らしすぎたので、こちらは星3で恐縮ですー
ちなみに表題作の「くっすん大黒」よりも同時収録の「河原のアパラ」という作品が気に入りました。
著者プロフィール
町田康の作品
本棚登録 :
感想 :
