忌中 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2006年10月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167654030

みんなの感想まとめ

死と性をテーマにした短編集で、重厚な内容ながらもどこかユーモラスな側面を持つ作品群が展開されます。各短編は人生の厳しさや無常を描きつつ、時折その中に笑いを見出すことで、読者に深い共感を呼び起こします。...

感想・レビュー・書評

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  • 死に纏わる、若干のコンセプトを感じる短編集。
    キャリアの作品群の中でも特に救いの無い沈滞した作品が並ぶが、どこか作者の温度が感じられず無機質な印象。
    一方得意の私小説『神の花嫁』は作者の失意が凄まじく突き刺さる名作で、自身の事を描いた作品
    をもっと読みたいと感じた一冊。

  • 車谷長吉『忌中』文春文庫。短編集。初読み作家。

    どの短編も死と性が描かれ、重くもあり、どこか可笑しくもあり、もしかしたら、これが本当の人生の姿なのではないかと思ったりする。誤魔化しの効かないのが人生なのだと思うが、もしかしたら、然程真摯に向き合う必要はないのかも知れない。

    『古墳の話』『神の花嫁』『「鹽壷の匙」補遺』『三笠山』『飾麿』『忌中』の6編を収録。

  • 金に困ったり、心中したり、とにかく陰気な話が続く。実際に書かれたのも、作中での設定も90年代が主要な舞台であり、バブル崩壊後の陰鬱なリアルが描かれる。

    時代の刻印がはっきりと描かれるのは、固有名詞の多さからも感じられる。はじめに収録されている「古墳の話」からして、2ページ目には山口光市母子殺害事件について書かれるし、「三笠山」では96年の菊花賞が描かれる。後者に至っては時間までが明確にわかるわけで、時代性を作品に反映する意思が明確に感じられる。

    私小説といっていいのかどうかはよくわからない。心中する話があっても、実際には車谷は心中しているわけではない。(菊花賞に借りた大金を賭けたりはしているかもしれないが。)
    ただ、私小説というのは事実をそのまま文章に反映するものではない。この小説から漂う陰鬱さが、そのまま車谷の生活から地続きである、という点が重要なのだろう。

    しかし、どうにも暗くてうんざりする部分がある。悪い作品ではないが、あんまりこんな話ばかりなのも食傷するものではある。

  • これはもう、、、言葉にならない。。
    言葉にしなければいけないが、それを超える作品。。
    やるやるとは聞いていましたが、あなたはすごい人です、車谷長吉様。。

  • 初読

    死の匂いの短編集

    車谷長吉であろう男の性格は全然好きじゃないんだけど
    その眼を通して描かれた世界はなんか良いんだよなぁ…

    「古墳の話」
    死刑廃止論反対、古墳めぐりの女子高生、鎮魂の祝詞。

    「三笠山」
    バブル崩壊の一家心中。
    側から見たら競馬の下りも(やめておきなよぉ…)や
    (さっさとバンザイしちゃうしかない話なんだよな)
    なんだけど、同時に(でも、どうしようもないよな。
    こうするしかなかったんよなぁ…)
    と思わせる。

    「忌中」
    もそう。
    全てが仕方ない。
    人生って仕方がないんだよな。
    生も死も。

    「神の花嫁」に出てきた舟越保武死の「巨岩と花びら」
    は読んでみようと思う。

  • 人は毒を求めている。

  • 収録内容は以下の通り。

    古墳の話(平成15年2月 発表)
    神の花嫁(平成14年2月 発表)
    「鹽壺の匙」補遺(平成14年12月 発表)
    三笠山(平成15年1月 発表)
    飾磨(平成15年4月 発表)
    忌中(平成15年10月 発表)
    水原紫苑: 解説

    「神の花嫁」は誰しも経験したことがあるであろうテーマを扱っている。一番最後の下りはなかなかに狂気的な色を帯びていて、それが魅力ともなっている。
    「忌中」で描かれる事の顚末を呑み込めるようになった自分に驚いた。後で事実を知った関係諸氏はどのような事を考えただろうか。

    カバー写真は伊藤敦司、カバーデザインは関口聖司。

  • 人間の価値判断はしない。

  • 様々な死の状況がモチーフの短編集だが、読み進むうちに、これは愛情を語っていると思えてる。それほど濃密に人生が語られている。

  • 一家心中の話なんかは途中から辛すぎてもう読むに耐えない。

  • すごい、すごい、すごい!
    こんなにむき出しで、こんなに純粋で、静かに激しい男女のつながりを描けるとは!
    これだけの想いを、こんなに端正な文章に結実させる力は凄まじい。
    純粋な愛は時に醜く、時に残酷であり、時に悲惨であり、そしていつも美しい。
    そんな風に思わせる激しい作品。出逢えてよかった。

  • すぐそばにある狂気を感じる。共感できるが故に、自分の中にある狂気におそれを感じる。

  • かつて、ほのかに想いをよせた彼女とのやりとり。殺されてしまった彼女は、古墳が好きだった。(「古墳の話」)
    朽ちて行く妻の屍体。若く美しい女の肢体。男がとった選択は。(「忌中」)
    ほか、神の花嫁、三笠山など六編収録。

    男と女と生と死にまつわる短編集。最初の二編は私小説のような作り。三笠山は後味悪い。忌中は読みおわって表紙を見るとぞっとする。語り口が古めでややとっつきにくいところはあるけれど、淡々としてるわりにじっとり重い感じはハマるとなかなかよかった。

  • この作家、好きではないけど、この表題作品は、たまらないものがあった。湯島のラブホテルに、いい歳した老人がマッサージで知り合った女と泊まるのがよかった。かなり、どうしようもない。

  • 全体的にどんより。いやにリアルで(私小説だから当然か)、どこまでが実際の話なのか。瀬戸内の島々を見たくなる。

  • 己が忌中真っ只中の時、
    バスの発車時刻までの時間つぶしに、
    ふらりと寄った本屋で出逢った。

    魂がえぐられるような情念。
    どの短編も、生命の重みをずしりと伝える、
    恐ろしい力を持っている。

    じめっとした死臭がするようだ。

  • 生と死と愛の短編集。
    生きることはついに死ぬこと、という文句が印象的だった。
    登場する愛の形は身勝手かつ不条理、歪んでいるようにも感じる。しかしどれも一人の人への愛に殉じているところが憎めない

  • 200 みちくさ

  • 不幸ないろんな生き死にが描かれた短篇集。人間の業につくづく打ちのめされる。「三笠山」は過剰すぎる。表題作「忌中」は終わりごろに絶句して表紙を数回見なおした。
    万人にすすめられる作家ではないが好きな人には堪らない世界。

  • 初車谷長吉。予期していたほどドロドロではなかった。どの話にも死と性が絡みついているのに、提示されているのは男の垢抜けない純情であり、「そうか世界にはこのような善きものがあったのだな」と目が開かれる思いがした。たぶんそんなに特別な善ではなくて、分量の違いこそあれ、多くのひとの心にはこういうまごころが沈んでいるのではないかという気がする。普段は意識しないのだけれども。

    人生の波を上手く乗りこなせない登場人物たちに対して、「もうちょっと上手くやりなよ!」という気持ちになると思っていたのに、少なくとも読んでいる間はそうならないのが不思議だった。心中話への感想が、「だってもうこうなっちゃったんだもの、奥さんがついてきてくれてよかったね」だ。これは長吉の勝ちではないだろうか。

    「神の花嫁」には「やつあたりすんな!」って思いましたけどね。でも同情はした。

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著者プロフィール

車谷長吉

一九四五(昭和二〇)年、兵庫県飾磨市(現・姫路市飾磨区)生まれ。作家。慶應義塾大学文学部卒業。七二年、「なんまんだあ絵」でデビュー。以後、私小説を書き継ぐ。九三年、初の単行本『鹽壺の匙』を上梓し、芸術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞を受賞。九八年、『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞、二〇〇〇年、「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞。主な作品に『漂流物』(平林たい子文学賞)、『贋世捨人』『女塚』『妖談』などのほか、『車谷長吉全集』(全三巻)がある。二〇一五(平成二七)年、死去。

「2021年 『漂流物・武蔵丸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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