忌中 (文春文庫 く 19-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167654030

作品紹介・あらすじ

死んでも死に切れない-。泣く泣く妻を殺め、女に狂い借金まみれの挙句に自殺した初老の男。若くして自殺したエキセントリックな叔父の後日談。事業失敗で一家心中をはかり、二人の子供を道連れにした夫婦。強姦殺人の憂き目にあった高校時代の女友達。救済でもなく逃避でもない、死者に捧ぐ鎮魂の短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 死に纏わる、若干のコンセプトを感じる短編集。
    キャリアの作品群の中でも特に救いの無い沈滞した作品が並ぶが、どこか作者の温度が感じられず無機質な印象。
    一方得意の私小説『神の花嫁』は作者の失意が凄まじく突き刺さる名作で、自身の事を描いた作品
    をもっと読みたいと感じた一冊。

  • 車谷長吉『忌中』文春文庫。短編集。初読み作家。

    どの短編も死と性が描かれ、重くもあり、どこか可笑しくもあり、もしかしたら、これが本当の人生の姿なのではないかと思ったりする。誤魔化しの効かないのが人生なのだと思うが、もしかしたら、然程真摯に向き合う必要はないのかも知れない。

    『古墳の話』『神の花嫁』『「鹽壷の匙」補遺』『三笠山』『飾麿』『忌中』の6編を収録。

  • これはもう、、、言葉にならない。。
    言葉にしなければいけないが、それを超える作品。。
    やるやるとは聞いていましたが、あなたはすごい人です、車谷長吉様。。

  • 初読

    死の匂いの短編集

    車谷長吉であろう男の性格は全然好きじゃないんだけど
    その眼を通して描かれた世界はなんか良いんだよなぁ…

    「古墳の話」
    死刑廃止論反対、古墳めぐりの女子高生、鎮魂の祝詞。

    「三笠山」
    バブル崩壊の一家心中。
    側から見たら競馬の下りも(やめておきなよぉ…)や
    (さっさとバンザイしちゃうしかない話なんだよな)
    なんだけど、同時に(でも、どうしようもないよな。
    こうするしかなかったんよなぁ…)
    と思わせる。

    「忌中」
    もそう。
    全てが仕方ない。
    人生って仕方がないんだよな。
    生も死も。

    「神の花嫁」に出てきた舟越保武死の「巨岩と花びら」
    は読んでみようと思う。

  • 人は毒を求めている。

  • 収録内容は以下の通り。

    古墳の話(平成15年2月 発表)
    神の花嫁(平成14年2月 発表)
    「鹽壺の匙」補遺(平成14年12月 発表)
    三笠山(平成15年1月 発表)
    飾磨(平成15年4月 発表)
    忌中(平成15年10月 発表)
    水原紫苑: 解説

    「神の花嫁」は誰しも経験したことがあるであろうテーマを扱っている。一番最後の下りはなかなかに狂気的な色を帯びていて、それが魅力ともなっている。
    「忌中」で描かれる事の顚末を呑み込めるようになった自分に驚いた。後で事実を知った関係諸氏はどのような事を考えただろうか。

    カバー写真は伊藤敦司、カバーデザインは関口聖司。

  • 人間の価値判断はしない。

  • 様々な死の状況がモチーフの短編集だが、読み進むうちに、これは愛情を語っていると思えてる。それほど濃密に人生が語られている。

  • 一家心中の話なんかは途中から辛すぎてもう読むに耐えない。

  • すごい、すごい、すごい!
    こんなにむき出しで、こんなに純粋で、静かに激しい男女のつながりを描けるとは!
    これだけの想いを、こんなに端正な文章に結実させる力は凄まじい。
    純粋な愛は時に醜く、時に残酷であり、時に悲惨であり、そしていつも美しい。
    そんな風に思わせる激しい作品。出逢えてよかった。

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著者プロフィール

車谷長吉

一九四五(昭和二〇)年、兵庫県飾磨市(現・姫路市飾磨区)生まれ。作家。慶應義塾大学文学部卒業。七二年、「なんまんだあ絵」でデビュー。以後、私小説を書き継ぐ。九三年、初の単行本『鹽壺の匙』を上梓し、芸術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞を受賞。九八年、『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞、二〇〇〇年、「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞。主な作品に『漂流物』(平林たい子文学賞)、『贋世捨人』『女塚』『妖談』などのほか、『車谷長吉全集』(全三巻)がある。二〇一五(平成二七)年、死去。

「2021年 『漂流物・武蔵丸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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