- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167654030
作品紹介・あらすじ
死んでも死に切れない-。泣く泣く妻を殺め、女に狂い借金まみれの挙句に自殺した初老の男。若くして自殺したエキセントリックな叔父の後日談。事業失敗で一家心中をはかり、二人の子供を道連れにした夫婦。強姦殺人の憂き目にあった高校時代の女友達。救済でもなく逃避でもない、死者に捧ぐ鎮魂の短篇集。
感想・レビュー・書評
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死に纏わる、若干のコンセプトを感じる短編集。
キャリアの作品群の中でも特に救いの無い沈滞した作品が並ぶが、どこか作者の温度が感じられず無機質な印象。
一方得意の私小説『神の花嫁』は作者の失意が凄まじく突き刺さる名作で、自身の事を描いた作品
をもっと読みたいと感じた一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
車谷長吉『忌中』文春文庫。短編集。初読み作家。
どの短編も死と性が描かれ、重くもあり、どこか可笑しくもあり、もしかしたら、これが本当の人生の姿なのではないかと思ったりする。誤魔化しの効かないのが人生なのだと思うが、もしかしたら、然程真摯に向き合う必要はないのかも知れない。
『古墳の話』『神の花嫁』『「鹽壷の匙」補遺』『三笠山』『飾麿』『忌中』の6編を収録。 -
これはもう、、、言葉にならない。。
言葉にしなければいけないが、それを超える作品。。
やるやるとは聞いていましたが、あなたはすごい人です、車谷長吉様。。 -
初読
死の匂いの短編集
車谷長吉であろう男の性格は全然好きじゃないんだけど
その眼を通して描かれた世界はなんか良いんだよなぁ…
「古墳の話」
死刑廃止論反対、古墳めぐりの女子高生、鎮魂の祝詞。
「三笠山」
バブル崩壊の一家心中。
側から見たら競馬の下りも(やめておきなよぉ…)や
(さっさとバンザイしちゃうしかない話なんだよな)
なんだけど、同時に(でも、どうしようもないよな。
こうするしかなかったんよなぁ…)
と思わせる。
「忌中」
もそう。
全てが仕方ない。
人生って仕方がないんだよな。
生も死も。
「神の花嫁」に出てきた舟越保武死の「巨岩と花びら」
は読んでみようと思う。 -
人は毒を求めている。
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収録内容は以下の通り。
古墳の話(平成15年2月 発表)
神の花嫁(平成14年2月 発表)
「鹽壺の匙」補遺(平成14年12月 発表)
三笠山(平成15年1月 発表)
飾磨(平成15年4月 発表)
忌中(平成15年10月 発表)
水原紫苑: 解説
「神の花嫁」は誰しも経験したことがあるであろうテーマを扱っている。一番最後の下りはなかなかに狂気的な色を帯びていて、それが魅力ともなっている。
「忌中」で描かれる事の顚末を呑み込めるようになった自分に驚いた。後で事実を知った関係諸氏はどのような事を考えただろうか。
カバー写真は伊藤敦司、カバーデザインは関口聖司。 -
人間の価値判断はしない。
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様々な死の状況がモチーフの短編集だが、読み進むうちに、これは愛情を語っていると思えてる。それほど濃密に人生が語られている。
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一家心中の話なんかは途中から辛すぎてもう読むに耐えない。
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すごい、すごい、すごい!
こんなにむき出しで、こんなに純粋で、静かに激しい男女のつながりを描けるとは!
これだけの想いを、こんなに端正な文章に結実させる力は凄まじい。
純粋な愛は時に醜く、時に残酷であり、時に悲惨であり、そしていつも美しい。
そんな風に思わせる激しい作品。出逢えてよかった。