妖談 (文春文庫 く 19-9)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167654092

作品紹介・あらすじ

この世で一番恐ろしい生き物、それは人間だ人間とはなんと愚かで醜いのか。どんな人間も一皮むけば“業”に囚われているのだ。私小説の名手が描く、妖しくも哀しい掌篇小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 「人間精神の三悪」自尊心・虚栄心・劣等感に憑かれた人々が書かれてる掌編たちは、其々、読後感が違う。
    最初の『お水』の最初の一文を読んだ瞬間、「えっ?」と思い、最後から二番目の『文盲のおばあさん』で、何やら心洗われたような気分になってから、最後の『悪夢』で突き落とされる。

  • 妻であり詩人でもある高橋順子が車谷長吉との結婚生活と死別を描いたエッセイ集『夫、車谷長吉』

  • 初読

    なるほど。私小説。
    本人であり、奥さんであるような登場人物が繰り返し繰り返し登場。
    日常の中の妖話。
    奥さんに言われたという「あなたほどの嘘つきはいない」
    とのフレーズをおもいだし。

    「社会の下の方で生きていきたい」
    金を稼ぎたいという生き方への嫌悪。
    世捨てというか隠遁というか、
    古今東西、インテリの解脱願望って存在した筈だけど、
    現在、それにピンと来ないという事は資本主義の完全勝利なのかもねぇ…
    でもさ、車谷長吉も世捨てした筈が呼び戻してくれる人がいて
    直木賞取って
    嫁はんの為に家も買ったんだから、
    インテリのおままごとは信じたら痛い目見るよw

    しかし「まぐわひ。」強烈だな。
    「色」の女の人、凄まじいけど一種の爽快さもあるな

  • 34編の短い文章の短編集
    アイデアを記したような雰囲気があり、それぞれを素材に長編にしてほしいような作品集です。

  • 【この世で一番恐ろしい生き物、それは人間だ】人間とはなんと愚かで醜いのか。どんな人間も一皮むけば“業”に囚われているのだ。私小説の名手が描く、妖しくも哀しい掌篇小説集。

  • あるヒマな日、図書館で見つけパラパラめくると、あっ、これ好きなタイプのやつや!って思ったやつ。日常の怪。太宰や椎名麟三より文体処理をちゃんとしてないので評価は微妙!でもこれ、好きなやつやっ!

  • 車谷の人間観を、
    繰り返し取り出しては煮詰めて、
    残りかすをちょっと掬い取ったような短編集。
    残りかすという表現は、
    各々で一遍の中篇が書けそうだからだが、
    このくらいの短さだから読みやすく、
    本質にまっしぐらという側面も否めない。

    信子はん
    嫁いびり
    まさか
    讀賣新聞配達員
    二人の母

    あたりが大変良かったが、
    最も良作であるのは、
    個人的には『二人の母』か。

  • 私小説の毒虫がうんたらかんたらと寄りかかっておられたわりには、あっさり切り捨てちゃうのねー。うん。
    聞き書きをまとめたような体裁で、残りづらい。
    しかし「まぐはひ。」を迫る女は凄まじい。

  • 「私の母も弟も便所で大便をするのは一日一回である」の出だしを読んでなんとなく買ってしまった。2〜3ページくらいの掌編が続く、私小説と小説の合間のような不思議な感じ。それぞれの掌編は独立しているようでいて、底を通じている。
    「妖談」というタイトルで表紙にも猫の妖怪のようなものがいるのでそういう話かと思い込まされてしまった…。妖とかそういう類いのものは出てこないです。

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著者プロフィール

車谷長吉

一九四五(昭和二〇)年、兵庫県飾磨市(現・姫路市飾磨区)生まれ。作家。慶應義塾大学文学部卒業。七二年、「なんまんだあ絵」でデビュー。以後、私小説を書き継ぐ。九三年、初の単行本『鹽壺の匙』を上梓し、芸術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞を受賞。九八年、『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞、二〇〇〇年、「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞。主な作品に『漂流物』(平林たい子文学賞)、『贋世捨人』『女塚』『妖談』などのほか、『車谷長吉全集』(全三巻)がある。二〇一五(平成二七)年、死去。

「2021年 『漂流物・武蔵丸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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