満洲鉄道まぼろし旅行 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656379

感想・レビュー・書評

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  • #175

  • 20210510

  • 2020.08.02 カンタービレ読書会で紹介を受ける
    http://naokis.doorblog.jp/archives/cantabilebooks_travel.html

  • 昭和20年までわずか12年で消えた満州国。残され多くの資料を元に再現された昭和12年のまぼろしの満州紀行。

    実際のパンフ、書籍、チラシ、時刻表を元に復元された満州紀行。大連に上陸し、旅順、奉天、新京、ハルピン、チチハルなどを満鉄の誇る「あじあ号」などを乗り継ぎ巡る旅。

    五族協和を目指した満州国。後の突然の崩壊が分かる我々の胸に迫るものがある。決して満州国を賛美するものではなく歴史的事実としてこのような国の存在した事実を残そうとする筆者の意図には共感したい。

    ソ連の侵攻、日本の敗戦、満州国崩壊に伴う悲劇、そして本書には出てこないが満州に以前から住んでいたであろう人々の運命、楽しい紀行の影の歴史の暗い一面が浮かび上がる、着眼点の優れた一冊でした。

  • 新書文庫

  • 渡満せんと決意を言えば父上の煙管【きせる】もつ手のふるえはげしき
     作者未詳

    「満蒙開拓青少年義勇軍」の1人の短歌である。昭和ではなく、「康徳」という元号が使われていた、旧満州(現、中国東北部)。その元号は12年で消失したが、旧ソ連との国境地帯に日本の青少年たちが渡り、文字通りの原野を「開拓」していたのだ。

     掲出歌、義勇軍に参加する「決意」を口にしたときの父親の反応が印象的だ。おそらく、怒りからの「ふるえ」ではなく、息子(農家の次男以下と想像される)にそう決意させたほどの苦しい経済状態を、かみしめていたのではないだろうか。

     15歳ほどの少年もおり、望郷の念を歌ったものもあった。

     一日の疲れは云わず我が友は故郷の便りひたむきに読む

     そんな青少年や、1937年当時の「満洲国」の姿を、特急「あじあ」号に乗った気分で解説した川村湊の旧著「満洲鉄道まぼろし旅行」を読んだ。時刻表やメニュー、広告など図版が豊富で、「昭和」を知らない学生からもわかりやすいと好評である。

     ただし、その解説は決して甘いものではない。実験的に、日本人官僚が斬新な都市計画を立て、水洗トイレを導入したり、電柱をなくして地中に電線を埋めたなど、インフラ整備に尽力した一面はある。

     けれども、多数の本来の住人に比べ、わずか2~3%しかいなかった日本人が「満洲国」の重要なポストを占め、日本の青少年をも開拓労働者として集め、ようやく成りえた「国」だったのだ。その史実は、「まぼろし」ではない。

    (2015年12月13日掲載)

  • これオモロイ。満洲は立派な国だった。支那から漢人が大量移民するわけやね。

  • ノスタルジーに浸れるが、礼賛する事なく、時代を考えさせる良本。

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著者プロフィール

1951年2月、網走市に生まれる。文芸評論家。1981年「異様なるものをめぐって──徒然草論」で群像新人文学賞(評論部門)優秀作受賞。1993年から2009年まで、17年間にわたり毎日新聞で文芸時評を担当。木山捷平文学賞はじめ多くの文学賞の選考委員を務める。2017年から法政大学名誉教授。
『川村湊自撰集』全五巻(作品社、2015‒16年。第1巻 古典・近世文学編、第2巻 近代文学編、第3巻 現代文学編、第4巻 アジア・植民地文学編、第5巻 民俗・信仰・紀行編)。

「2022年 『架橋としての文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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