依頼人は死んだ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 592
レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656676

作品紹介・あらすじ

念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 葉村晶。
    色気はないのかもしれないけれど、人間らしさ、熱さ、ときにあたたかみを感じる。

    9つの短編の裏にある人間模様は少々重い。

    ただ、その分だけ、それを読む、僕のまわりの現実を、多少なりとも軽くしてくれるのかも。

  • やっぱり葉村晶はいい!

    人によっては「中途半端な終わり方」だとか「読後感が悪い
    」という意見もあると思うけど、慣れるとそれが癖になる。元々そういう話は好きじゃないはずなのに、葉村晶が持つ不思議な魅力のおかげか。さっぱりしつつ他人に無関心で容赦ないように見えるのに、その実とても人間くさいのがいい。

    特に、書き下ろしの最後の話は緊迫した展開と揺れ動く晶さんの心理にどきどきした。彼女の人生がどんなふうに続いていくのか、次巻を読むのが楽しみ。

  • 媚びず、泥臭く、徹底的に、真相を求める。
    「白黒つけなきゃ気がすまない病」の女探偵。
    やっぱり、こりゃ、カッコいい!

  • 若竹七海さんの短編集
    葉村晶が登場する1作目とは異なり、全編で葉村晶が主人公となっている。
    1作目から思っていたけど、世にも奇妙な物語的なものを感じる。不思議な感じがする内容も多く、楽しく読めました。
    また、今回の1話目で葉村晶が29歳。最新の静かな炎天では40代。主人公が年齢を重ねていく形になっているけど、どこまで行くのだろうか?

  • ハードボイルドな探偵というとおじさんが主役というイメージだけど、これは女性が主人公。ニヒルにはなりきれないけれど熱血漢でもない彼女のキャラクターがいい。
    短編集なので最後でガラッと世界が変わるような鮮やかな手法が心地いいけれど、後味がよくないいわゆるイヤミスなので好みが分かれるかも。ラストの作品は特に評価が難しいと思うけれど、私はそれほどオカルト過ぎるとも思わないし、オカルトであっても別に気にしない(オカルトテイストのミステリーなんて珍しくないし)ので楽しめた。

  • 後味の悪さが秀逸。切れ味抜群。淡々としてて毒舌な女探偵葉村晶のタフな活躍が楽しい。ラストの一編は急にホラーだったけど、あの真実への執念深さは彼女自身の資質がほとんどなのではと思う。

  • 念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶にもち込まれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。

  • 葉村晶シリーズ、第二弾?
    葉村単独では1冊目。
    とても緻密な文章がみっちり詰まっているので読み応えあり、うっかりしていると騙されます。
    少し変っていると思うのは、いわゆる“犯人探し”ではなく、謎を解いても事件は解決しないし、警察も喜ばないし、刑も軽くならないし、しかも誰もあんまり幸せにならないというか(!)
    白黒はっきり決着をつけないと気が済まない、という、葉村晶の、言ってみれば執念に引き摺られるようにして、どんどん読み進んでしまうのだ。
    しかも、最後ちょっとホラーでさえある。
    ええっ、そこで終わる?!
    次も読むしかない。

    感心せずにはいられないセリフも多々あるが、個人的に反すうせずにいられなかったのが、長谷川所長の、
    『奴隷は自由がないかわり、食うには困らない
    乞食は自由だが、飢えて死ぬこともある』
    という言葉。
    人に雇用されるしかない人間の、正社員かフリーターか、という選択のことかと思ったら、王様から乞食まで、幅広い…というかすべての人間に当てはまることだと気づいた。
    このように、何気なくぶち込んでくる文章が、別のことも語っているので全く読み落とせないのだった。

    『冬の物語/濃紺の悪魔』
    有名な実業家・松島詩織の身辺警護の依頼を受けるが…
    キリがない。

    『春の物語/詩人の死』
    友人・相場みのりの夫になるはずだった、詩人・西村孝が自殺したのは、自分の母親が何か言ったからではないか?
    みのりはそう思っている。

    『夏の物語/たぶん、暑かったから』
    晶1歳の頃隣に住んでいたというオバさんから、娘の起こした事件に関して、世間にあれこれやり玉に挙げられていて可哀想だから、これで何とかしてくれと30万渡される。
    もう片付いた事件だし、どうしろと?

    『秋の物語/鉄格子の女』
    「レポートの宿題なんか自分でやれよっ!!」と思ったけれど、題材の、若くして自殺した挿絵画家の、画風の劇的な変化に興味をひかれて…

    『ふたたび冬の物語/アヴェ・マリア』
    男は探偵である。
    クリスマスイブに、本当は何があったのか調べてほしいと、女に依頼される。

    『ふたたび春の物語/依頼人は死んだ』
    ちょっとした個人的な相談。
    もっと真剣に請け負えばよかったという悔い。
    比較的王道の犯人探し。

    『ふたたび夏の物語/女探偵の夏休み』
    二回読んで、やっと分かった、時間のからくり。
    読者を騙そうとしたのね?そうなのね?

    『ふたたび秋の物語/私の調査に手加減はない』
    みのりの母の紹介だからお金はもらえないって…そんなのばっか。
    昔の友人が夢枕に立つのだが…
    (占い師に頼めばいいのに)
    ほじくり返しちゃいけないところを自分で掘ってしまったんだ。

    『三度目の冬の物語/都合のいい地獄』
    これは…
    終わったつもりが終わっていなかったのだ。
    自殺の理由は、本人にしか分からない。
    いや、本人にも分からない。
    人間は、自分のことだって分かっちゃいない。

  • フリーの女探偵葉村晶の30歳前の頃の連作短編。
    彼女の信念を端的に表すと、短編のタイトルにもなっている「わたしの調査に手加減はない」になると思う。
    仕事に対して冷静でタフ、泣き言も言わず、とにかく筋を通したがる。
    終った事件も納得いかないと勝手にほじくり返す始末。
    相変わらず周りで起こる妙な事件や依頼人に対して誠実に取り組む彼女。
    表面的にあまり出ないが、友達の為に泣き、悔しがり、思いやる…といった優しい感情も今回よく出て来て、彼女の人間味溢れる魅力も分かって良かった。
    また若竹さんに葉村の続きの物語を描いてほしい。

  • 念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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