依頼人は死んだ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 769
レビュー : 102
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656676

作品紹介・あらすじ

念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 葉村晶シリーズ第2弾は、相変わらず後味の悪さが際立つ9つの連作短編集。

    探偵となった彼女に持ち込まれる死にまつわる謎を解く過程で明らかになる人間の愛憎、恨み、薄汚い本性の数々。人は、意図するしないに関わらず、こうまで人を傷つけずにはおれない生き物なのか。
    物語を読んでいる間中、まるでぬかるみを歩いているかのようにどろどろとしたものがまとわりつく感覚が拭えなかった。人のちょっといた悪意が人を追い詰める恐怖。人を死に追い込むのは、たった一枚のはがきで事足りる事実。

    冒頭の短編「濃紺の悪魔」の「悪魔」が、ラストの「都合のいい地獄」で再登場し葉村自身に襲い掛かる恐怖と、「悪魔」から友人たちを救おうとする彼女の泥臭い戦いを息をつめて読みきったあとは脱力しました。
    それにしても、この短編の構成は見事だわ~

  • 仕事はできるが運の悪い女探偵
    葉村晶シリーズの第2弾。
    「濃紺の悪魔」「詩人の死」「たぶん、暑かったから」
    「鉄格子の女」「アヴェ・マリア」
    「依頼人は死んだ」「女探偵の夏休み」
    「わたしの調査に手加減はない」
    「都合のいい地獄」収録。

    いや~面白かった!
    昔、読んだはずなんですが…
    だいぶん前なので記憶が…(哀しい)
    この後味の悪さは「あぁ~若竹七海たまらん…」
    ってなりますね…グロいイヤミスではなくて
    上品で残酷な現実というか…
    短編集だからか切れ味が増していて
    少しずつ気軽に楽しめました。

    ついてない女探偵、葉村晶のシニカルな感じが
    好きなんですよね…白黒はっきりさせるためなら
    くらいつきますが熱血漢でもなく
    冷たいわけではないんですがクールで、でも優しい。
    不器用というか…この短編集は少し
    ホラーテイストも含んでいます。
    私が後味の悪さと人間の怖さを感じるベスト3は
    「鉄格子の女」「アヴェ・マリア」
    「わたしの調査に~」でしょうか。

  • 静かな炎天をたまたま読んで葉村晶シリーズと知り1作目から読みたいとこれを読んだのに2作目だったと途中で知り順番めちゃくちゃ。よく分からない話もあったし解釈に困るのもあるけどやっぱり葉村晶の感じが好き

  • 葉村晶。
    色気はないのかもしれないけれど、人間らしさ、熱さ、ときにあたたかみを感じる。

    9つの短編の裏にある人間模様は少々重い。

    ただ、その分だけ、それを読む、僕のまわりの現実を、多少なりとも軽くしてくれるのかも。

  • やっぱり葉村晶はいい!

    人によっては「中途半端な終わり方」だとか「読後感が悪い
    」という意見もあると思うけど、慣れるとそれが癖になる。元々そういう話は好きじゃないはずなのに、葉村晶が持つ不思議な魅力のおかげか。さっぱりしつつ他人に無関心で容赦ないように見えるのに、その実とても人間くさいのがいい。

    特に、書き下ろしの最後の話は緊迫した展開と揺れ動く晶さんの心理にどきどきした。彼女の人生がどんなふうに続いていくのか、次巻を読むのが楽しみ。

  • 媚びず、泥臭く、徹底的に、真相を求める。
    「白黒つけなきゃ気がすまない病」の女探偵。
    やっぱり、こりゃ、カッコいい!

  • 若竹七海さんの短編集
    葉村晶が登場する1作目とは異なり、全編で葉村晶が主人公となっている。
    1作目から思っていたけど、世にも奇妙な物語的なものを感じる。不思議な感じがする内容も多く、楽しく読めました。
    また、今回の1話目で葉村晶が29歳。最新の静かな炎天では40代。主人公が年齢を重ねていく形になっているけど、どこまで行くのだろうか?

  • ハードボイルドな探偵というとおじさんが主役というイメージだけど、これは女性が主人公。ニヒルにはなりきれないけれど熱血漢でもない彼女のキャラクターがいい。
    短編集なので最後でガラッと世界が変わるような鮮やかな手法が心地いいけれど、後味がよくないいわゆるイヤミスなので好みが分かれるかも。ラストの作品は特に評価が難しいと思うけれど、私はそれほどオカルト過ぎるとも思わないし、オカルトであっても別に気にしない(オカルトテイストのミステリーなんて珍しくないし)ので楽しめた。

  • 後味の悪さが秀逸。切れ味抜群。淡々としてて毒舌な女探偵葉村晶のタフな活躍が楽しい。ラストの一編は急にホラーだったけど、あの真実への執念深さは彼女自身の資質がほとんどなのではと思う。

  • 若竹七海『依頼人は死んだ』文春文庫。『静かな炎天』が面白かったので、シリーズ第1作から読んでみることにした。女探偵・葉村晶の活躍を描いた連作短編集。9編を収録。

    扱う事件が事件らしからぬ故か、とても探偵らしからぬ名探偵の葉村晶。自ら探偵稼業と主張するからには生きるための術として、探偵を生業としているのか。『静かな炎天』を読んだ時も思ったのだが、あの関川夏央と谷口ジローのコンビによる傑作『事件屋稼業』に物語の雰囲気が非常に良く似ている。

    『濃紺の悪魔』。いきなり物語の導入部で語られる葉村晶の壮絶な過去。そして、葉村晶の探偵稼業への復帰。一気に物語へと引きずり込まれる。復帰した葉村晶に依頼されたのは若い女性の身辺警護だった…見事なプロット。

    『詩人の死』。葉村晶の友人女性の婚約者の死の真相は…納得しつつも、イヤな余韻が残る。

    『たぶん、暑かったから』。葉村晶の推理、事件の真相。世の中は得てしてこういうもの。結局、悪いヤツが良い思いをする。それでも、葉村晶のような生き方をしたい。

    『鉄格子の女』。若くして亡くなった芸術家の凄まじいまでのねじ曲がった情熱の正体を葉村晶が暴き出す。こういうミステリーは読んでいて面白い。結末に背筋が寒くなった。

    『アヴェ・マリア』。なかなか葉村晶は登場しない。何か仕掛けがあるかと思いきや…見事なプロット。クリスマス・イヴ、そして事件…このシリーズの人気の秘密が分かったような気がする。

    『依頼人は死んだ』。表題作。葉村晶にもたらされた依頼。しかし、依頼人は死亡。事件の真相は…

    『女探偵の夏休み』。葉村晶は友人に誘われ、高級ホテルで優雅な夏休みを過ごす。本当の夏休み。葉村がホテルできっちり休んでいる間に事件は進行し…

    『わたしの調査に手加減はない』。葉村晶らしい結末…依頼人にとって決してハッピーな結末ではないが。

    『都合のいい地獄』。この連作短編集を締めくくる短編。あの悪魔が再び葉村晶の前に姿を現す。悪魔の正体は一体…

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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