モダンガール論 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 343
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656874

作品紹介・あらすじ

女の子には出世の道が二つある!社長になるか社長夫人になるか、キャリアウーマンか専業主婦か-。職業的な達成と家庭的な幸福の間で揺れ動いた明治・大正・昭和の「モダンガール」たちは、20世紀の百年をどう生きたのか。近代女性の生き方を欲望史観で読み解き、21世紀に向けた女の子の生き方を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 明治末期から百年のあいだの「モダンガール」をお手本に、現代の女の子の生き方を考察した一冊。

    僕は本題に加え、消費者と生産者の関係の移り変わりを分析した章を興味深く読みました。
    第4章 高度成長の逆襲「あなたも私も専業主婦~恋愛結婚というオプション」

    僕には「手作り」をありがたがる人が謎だったのですが、
    それは、僕が「手作り」と「既製品」の価値観が逆転する時期を生きたからだ、とわかりました。

    案外、家庭も「生産者」であった時代から、「消費者」でしかなくなる移り変わりが昭和の後半にあった。と理解しました。

    サザエさんは、ミシンで自分が着る洋服を縫っていたけれど、今じゃ既製品を買う方が安い。
    僕の父親は秋葉原のジャンク部品屋を回ってテレビを組み立ててたけれど、今じゃ不可能。

    家庭が生産の場でもあった時代は、当たり前に手作りをしていて、それは他の家族から「ありがとう」といわれる類いではなく「お疲れ様。」か「ご苦労様」と言われるたぐい。
    家庭内の役割果たして「俺に感謝しないとは何事か」と怒る父親や「人にものをもらったらありがとうといいなさい。」と自分が作った食事に対して説教する母親では困ります。
    う、本の感想から逸脱しましたね(^_^;

  • 3 「大人になる」とはどういうことか[辻智子先生] 1

    【ブックガイドのコメント】
    「女性たちは20世紀をどう生きたのか現代的な視点から軽快な語り口でたどる。」
    (『ともに生きるための教育学へのレッスン40』182ページ)

    【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001127477

    【関連資料(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    ・[単行本]「モダンガール論 : 女の子には出世の道が二つある」2000年発行(マガジンハウス)
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001333852

  • ノンノ、アンアンの登場で、趣味=フッションになり、裁縫、調理など女性が担わされていたものから解放され楽しみへと逆転させたところがスゴイ

  • 2003年(底本2000年)刊行。明治からバブル崩壊の頃までの女性社会史を、「欲望史観」という挑発的な切り口で読み解こうとする。欲望、というフレーム設定が、「キモチいいことしたい」というバブル期若年女性層の心性を現していて、こちらが苦笑してしまう。しかしながら、戦前期の女学校に進学可能な層という限定つきではあるが、内容は面白い。特に軍国婦人がモダンガールの帰着点だった、というあたりは、膝を打つ納得の説明。「女工哀史」とは異質の近代女性論が展開されている。

  • 2015年3月27日読了。
    いやー、おもしろかった!女の生き方を書いてるのに「女はこうすべき!」みたいな主張がほとんどないというのが素晴らしい。驚異の公平論理力。

  • 大正だか昭和だかのモガのポスターを見るたびに女性を抑圧する近代的な空気と晴れやかで軽やかな装いとに幾分相違があって妙に感じるところがあったけれど、この本を読んでかなり視界が良くなりました。

    ただやられっぱなしでもないってことね。単純にそう決めつけてしまっても「女は道具や人形じゃない」と尻をけられてしまいますがね。
    強固な制度の網目を潜り抜けて、俗にいう女の狡さで立身出世を果たした人もいたし、理想と現実との違いに気づいてまた新たに自分の姿を模索した人もいたし。簡単に言ってしまえばね。
    逆に女中奉公などに対しては『台所太平記』などのイメージが強いもんだからあまりの救われなさに心が沈みました。男の救わなさ、か。いやねぇ男って。と、そういう風に悪態を垂れながらいざ女中や嫁には「だらしがないね、それで奉公が務まるのかい」「暇とありゃあ口ばかり動かして、ちっとも家事がはかどらないじゃないか」「こんなまずいおまんまが食えるかい、この子ぁあたしらを殺す気でいるよ」「何だい近頃の若い子は、そろってメリケンとおそろいのかっこうなんかして、ええ?ごらんよあんなビロビロした裾、わんぴぃすってぇのかい?ちょっと足を上げりゃあけっぴろげになっちまうじゃないか。あんなのが一緒の墓に入ってくると思うとあたしゃあご先祖様に顔向けできないよ」などと今までのうっ憤を晴らすかのようにねちねち小言を言う姑ポジションの女もいるもとかって考えてくると…。フェミニストでも喧嘩するわけです。

    女性誌・「女性誌」史から見た女性史、というか丸々近代史です。教科書にしちゃわない?
    現代に向けてのオチがあまり明るくないけどぜひご一読を。

  • モダンガール「論」なのかはともかく、明治以降の女性の社会的位置付けの移り変わりが、非常にわかりやすく、納得的に整理されている。

    文献に当たると同時に、女性週刊誌にも注目し、本音ベースの女性の嗜好を掘り起している部分が秀逸。

  • 日本近代史の中で女性たちが自分たちの人生をどのように切り開いてきたのかを、鋭い批評眼とユーモアを交えて論じた本です。

    女学校の登場、職業婦人の生活、そして主婦という生き方への憧れと、それに対する批判などを、女性誌などを広く渉猟しながら明らかにしています。著者は本書のスタンスを「欲望史観」と呼んでおり、「彼女たちは性別役割分業イデオロギーに屈して、いやいやOLや主婦になったのではない。望んでそのコースに乗り、行けるところまで行ったのだ」と言い、「憧れの的だった中流夫人の暮らしが平民レベルに引きずりおろされ」たことをもって、「欲望に忠実なモダンガールは、(途中までは)けっこう上手くやったのである」と結論づけています。

    となると、上手くいっていた「途中」よりも後の時代にはどうなったのか、ということが気になるのですが、脱OL・脱専業主婦の生き方を模索したバブル以後、男も女も、「ふつう」に仕事を探して「ふつう」に働くことが求められると語られます。そして、この当たり前のことが分かっただけでも、この100年の歴史は無駄ではなかったと、著者は述べています。どうにも希望のない結論に思えてしまいますが、確かにその通りだと感じてしまいます。もっとも、その後日本の男たちは、またぞろ「もう一つ上」をめざし始めているようではありますが。

  • 女にも学問が必要だ、に変わったのが20世紀初頭。この百年間、職業人と家庭人の二つの出世の道で、女の子たちの奮闘努力の足跡を辿ってみよう。欲するままに万事を振る舞うモダンガールとしての。

    20世紀は、性別闘争ではなく、階級闘争だったと。

  • 祖母やその母の時代。女は何を考え、育ってきたんだろう? そんな疑問から手に取った本。

    一般的にいう「民俗学」の本らしいけど、ガチガチの小難しい本ではなく、
    「現代の女子も、昔の女子もそう変わらないのよ」
    と教えてくれる。

    石原理沙さんの
    「くたばれ専業主婦!」「ふざけるな専業主婦!」「さらば専業主婦」にも通じる部分があり、ちょっとビックリ!
    でも、面白く読めました。

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著者プロフィール

【著者】斎藤美奈子 (さいとう・みなこ) │ 文芸評論家。1994年に文芸評論『妊娠小説』でデビュー。2002年『文章読本さん江』で、第1回小林秀雄賞受賞。軽妙な筆致で綴られるパンチの効いた書評や文芸評論は、幅広いファンをもつ。他の著書に、『文壇アイドル論』『紅一点論』『本の本』『日本の同時代小説』『文庫解説ワンダーランド』『名作うしろ読み』などがある。

「2020年 『中古典のすすめ(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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