- 文藝春秋 (2004年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167656942
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昭和天皇の日常を食事を通じて知ることができる本作は、著者が大膳課で和食を担当していた経験を基に、昭和天皇や香淳皇后への深い敬愛を表現しています。著者の温かい人柄が感じられるエッセイであり、昭和天皇の好...
感想・レビュー・書評
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ご自身の失敗談も交えて『昭和天皇のお食事』を著したのは、宮内庁
大膳課で西洋料理を担当した渡辺誠氏。本書の著者である谷部氏は
同じ大膳で和食を担当した料理人である。
17歳で大膳課に勤めることになった経緯も綴られているが、ご自身の
ことよりも昭和天皇のお好みや、私たち国民の目に触れないところで
お孫様たちに「おばあちゃま」の顔をお見せに香淳皇后のことなど、
おふたりへの敬愛が溢れるエッセイだ。
昭和天皇が病に倒れる前に、最後のお食事を作ったのが谷部氏なんだ。
それ以前、宮内庁が昭和天皇のご病状を発表する前から大膳課では
食がお進みにならないことを気にかけていたんだね。
昭和天皇の崩御後、父である昭和天皇を亡くした哀しみの中で即位さ
れた今上陛下のお心を思うとやるせないが、大膳課の和食担当の方々
もご病状が悪化するなかで万一の時に備え、儀式の為のお食事の準備
をしていたのか。
御所でも、御用邸でも、昭和天皇と香淳皇后の為のお食事を作って
来た人たちが、その死に備えての準備をしなくてはいけないなんて
辛いだろうなと思う。
著者の人となりがそのまま文章になったようなエッセイで、素朴で
温かい作品だった。
タイトルの「鰻茶漬け」は、茶漬け用に甘辛く煮込んだ鰻で年に1~2回、
京都から届けられていたそうだ。
「あれ、まだある?」
お食事にお出しして、しばらくすると昭和天皇は女官さんにお尋ねに
なったとか。「あれが好き、これは嫌い」とはおっしゃらないが、
こんな言葉から大膳の料理人さんは昭和天皇のお好みを把握されて
いたんだね。
自分が仕えるのは昭和天皇おひとりのみと決めて、著者は昭和天皇の
崩御の年の12月をもって退官している。
本書には書かれていない、昭和天皇と香淳皇后との思い出はもっと
もっとあるのだろうな。それは、公にすることなく、いつまでも
著者の胸の内に大事に抱え込まれていることだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
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真摯!
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本書は、昭和39年に、天皇の料理番として有名な秋山徳蔵の面接を経て宮内庁大膳課に勤め、昭和天皇の崩御の後退官するまで、四半世紀にわたる和食担当者としての思いでを綴ったもの。窺い知れない、宮中儀式や行事、昭和天皇の日常の食事のご様子やお好みの食品などが抑えた筆致で描かれている。
(親本は2001年刊、2004年文庫化)
・一 大膳
・二 御所と御用邸
・三 お好み
・四 儀式と御料牧場
・五 氷雨
・あとがき
200ページ余りのさほど厚くはない本ではあるが、読んでいてホッコリとさせられる。「昭和天皇と鰻茶漬」というタイトルではあるが、著者の職業人としての自伝である。
昭和30年代の世相が垣間見え、料理人の厳しい世界がうかがえる。エッセイとしても楽しめた。それにしても好きなものを好きと言えないのは窮屈なものである。
著者プロフィール
谷部金次郎の作品
