陰の季節 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.54
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本棚登録 : 3564
レビュー : 363
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167659011

作品紹介・あらすじ

警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下り先ポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべもなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた…。「まったく新しい警察小説の誕生!」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第1弾。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作にもなっている『陰の季節』を含む、四作品収録の短編集。D県警シリーズ第一作目。

    警察小説といえば、捜査をする刑事にスポットを当てるものが多い。しかし、この作品では管理部門の人間にスポットを当てている。

    警察内部で起きた事件や問題を、管理部門の人間が解決するという斬新な作品。

    組織の中で生きるという事を生々しく表現していて、読んでいて息苦しさを感じてしまう程。

    だけど面白くないかと聞かれれば、間違いなく面白いと答えるだろう。その理由のひとつは、著者の圧倒的な筆力で描かれる“心理描写''にあると思う。

    これは是非、読んで確認してもらえたらと思います。

    どの作品もテンポよく読めますが、内容は決して軽くないです。むしろ、長編を読んだ時のそれに近い満足感。

    読後感は必ずしも良いとは言えません。けれど、読み終わった後に改めてそれぞれのタイトルをみてみると、とても感慨深いものがあります。

    警察小説が苦手だった方も、もしかしたら意外と読めてしまうかもしれません。

  •  1998年第5回松本清張賞受賞作を表題作にしたD県警シリーズ第1弾。
     警察ミステリーだが、捜査一課や二課の刑事が鮮やかに事件を解決していくという一般的なミステリーではなく、主になるのは警務課や秘書課などという構図が斬新で面白い。その分、内部事情に入り込むため少し込み入った内容になるので、難しい部分はあるが読みごたえがある。警察内部を舞台にするため、全てに渡って「疑惑」がキーポイントになっているように思える。
     全4編収録されているが、同じD県警を舞台にしていながらも主人公が全て異なるので新鮮な感じを受ける。1話目から順に読んでいくことで、「あーこの人、前話では主人公だったな」とか「意外と癖のある人物だったんだ」ということも分かり、見方変われば何とやらといった感覚も楽しめる。

  • 警察だって組織。だからこそ会社員みないな泥臭い争いがあるんですね。当たり前だけど、そんな姿はあまり想像していませんでした。純粋なお巡りさんの集まりであって欲しかったです。

  • 裏を予想しながら読むと、面白い。

  •  噂に違わず面白いね( ´ ▽ ` )ノ

     警察署内のいざこざが中心で、いわゆる刑事と呼ばれる警官はほとんど出てこないとこがミソ( ´ ▽ ` )ノ
     古今東西変わらない 組織の構造的な歪み・淀み・腐敗が主題ゆえ、どこの誰にでも共感できる普遍性があるね( ´ ▽ ` )ノ
     堅苦しいお役所が舞台だからか、お家騒動なんかの時代小説に近い趣( ´ ▽ ` )ノ
     全編に渡って登場する二渡も、それこそ「目付」「横目」みたいな役どころ( ´ ▽ ` )ノ

     ちょっとしか出てこないけど、マスコット婦警・林純子ちゃんがかわいかった(´∀`*)ウフフ

    2019/04/17

  • ベーシック。スタンダード。これまで気の向くままに横山氏の本を読んでいたが、これはそんな気持ちにさせられる一冊。とりあえずこの一冊を読んでおいた方が、後々の本を楽しく読めるだろうなぁと、半ば答え合わせ的な感じで読んだ。特に『顔』を読む前に読みたかった~。短編集4編だが、どれも警察の苦悩・悲哀がにじみ出るなかなかの良作揃い。だが、突き抜けての個人的お気に入りはめずらしく出なかった。どれもハイアベレージなんですけどね。

  •  表現力にすぐれ、人間の奥底にある感情も的確に表している。
     

  • 警察小説の枠にとらわれない、粒ぞろいの短編集
     世間の事件を追うだけが警察の仕事ではありません。例えば表題作「陰の季節」では、警務課の調査官・二渡の人事異動を巡る争いがテーマですが、卓越した人物描写によって、密度が濃く迫力あるストーリーに仕上げています。魅せる短編に、派手な事件は不要だと思いました。
     特に凄まじいのは「地の声」。どんでん返しの末の結末に何を思うか。社会に身を置く者は、常に死の恐怖と向き合って生きていく戦士なのでしょう。

  • ドラマに影響されて、積み本に手を取る

    ドラマはイメージ通りだと思った。

  • 警察小説であるが、刑事が主役ではない。警察官僚小説といったほうが良いだろう。警察組織の管理面を中心にした短編集だ。こういう視点は斬新だ。横山小説の真骨頂であろう。警察ほど官僚的な組織もないと思わせるほど、組織優先の考え方が前面に来る。そういう組織のなかでの個人の心理的葛藤をうまく描いており、その葛藤こそがミステリのネタになっている。うまい!文章も読みやすく、人物に感情移入しやすい。題材の新規性と古典的な心理的葛藤の両面を丁寧に描いており、本当に面白い小説を読んだ気にさせてくれる。

  • いつまでも色褪せない警察小説の金字塔的作品。
    当時の衝撃は今でも忘れることはできない。
    表題作「陰の季節」「地の声」が秀逸。
    はてさて「64」はいつになったらよめるのかな、只今積読中。

  • 警察の裏方にスポットライトを当てた心理ミステリーの短編集。普通の警察小説のように犯人を逮捕する内容ではなく、表題作の「陰の季節」では人事を調整する警務課、その他の短編では、監察課、秘書課、鑑識課が舞台になっている。短編でありながら、どれも内容が濃く面白い。それらが少しずつリンクして、新しい警察小説を作り上げている。所々で男性、女性ならでは警察官の悩みも描かれており、その人間臭さも良かった。

  • 警察組織を良く知った人間が描いた人間模様。ミステリー要素というより、その濃厚な人間ドラマに引き込まれる。それも、一癖も二癖もある人間たちが、私のようなサラリーマンから見るとどうしてそこまで出世に拘りを持つのだろうか、と言いたくなるほど人間臭く組織の濁流の中でもがいている様を刻々と現している。
    短編集なので内容の濃さの割には比較的読みやすい。推理小説でよくある驚かされるような大どんでん返しがあるわけではないが、一つ一つに伏線が張られていることによる丹念な描写が、浮き上がるように提示される真相をよりリアリティーに明示する。まさに読者を追い詰めていくとしか言いようの無い技術力に驚かされるのみだ。
    内容が若干暗めであり好みのタイプの小説ではないことから★一つ減らしているが、組織と言う立場に身を置く可能性がある人間、特に男性は読んでおいて絶対に損はしない。そう言い切っていい作品である。

  • 県警採用の出世頭である銀行員顔の人事マン、組織防衛の為なら醜聞の隠蔽工作も辞さない。そんな静かなる野心家の二渡調査官が主役、脇役、陰役となり話を繋ぐ、D県警本部を舞台にした連作集。所謂“警察小説”とは異なり殺人事件の捜査などは一切出て来ない署内小説。こう書くと詰まらなそうだが実は非常に面白い。池井戸潤ファンに特にお勧め。但、銀行や一般企業が舞台の池井戸作に比べると、警察絡みの話だけに人生のほろ苦さをより感じる。D県警シリーズ!読破したい。最近、話題の『64』も同シリーズのようだが、いつ手に入ることやら…。

  • 『64』を読み、D県警に興味を持ちました。
    今まで横山秀夫先生の本を読んでいなかったことに後悔しました。

    「陰の季節」が特に面白かったです。
    『64』で得体の知れない怖い人のイメージがあった二渡がですが、実際は、嫁も子供も友人もいて、苦手なこともあると、とても人間臭かったです。
    『64』を読み返したくなりました。

    他の作品も凄く面白かったです。「黒い線」も好きです!

  • 裏方メインとツボな上に、十分おもしろいはずなのだが、
    「第三の時効」と比べるとやや。
    各話のつながりがどろりとしているように感じるのは警務部故か?

  • ノンキャリア警察官、しかも捜査官でない人間の戦いが非常にリアルに描かれている。

  • これまた期待を裏切らない内容。長編だとかなり気合入れないといけないが、短編だと展開も早くあっという間に読み終えてしまう。

  • 伏線としてわかった

  • なし

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著者プロフィール

横山 秀夫(よこやま ひでお)
1957年東京都生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業。1979年に上毛新聞に記者として勤務。『ルパンの消息』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞したのをきっかけに退社。以後フリーランスライターとして活動。1998年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞し小説家デビュー。2000年『動機』で第53回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。2002年『半落ち』が「このミステリーがすごい!」1位となり、第128回直木賞候補作となるが、そこで起きた様々な論議から、直木賞決別宣言を出すに至る。『半落ち』は2004年に映画化されて高い評価を得ている。その後、2004年『クライマーズ・ハイ』で第1回本屋大賞第2位、映画化されヒット。2013年刊行の『64(ロクヨン)』で第10回本屋大賞第2位、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」各1位を勝ち取り、大ヒットとなった。

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