陰の季節 (文春文庫 よ 18-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167659011

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!
    警察ものですが、捜査や犯人や刑事は出ず、人事や管理職など裏方に徹する人たちの物語。
    短編集です。
    どの物語も最後はどうなるか、ギリギリまで分からず、ついつい先を急いでしまいます。
    どの業態もそうですが、仕事の数だけ悩みもやりがいもあるし、人の数だけ駆け引きもある。
    そんな人間臭いところに共感しました。
    オススメです♪

  • 警察小説であるが、刑事が主役ではない。警察官僚小説といったほうが良いだろう。警察組織の管理面を中心にした短編集だ。こういう視点は斬新だ。横山小説の真骨頂であろう。警察ほど官僚的な組織もないと思わせるほど、組織優先の考え方が前面に来る。そういう組織のなかでの個人の心理的葛藤をうまく描いており、その葛藤こそがミステリのネタになっている。うまい!文章も読みやすく、人物に感情移入しやすい。題材の新規性と古典的な心理的葛藤の両面を丁寧に描いており、本当に面白い小説を読んだ気にさせてくれる。

  • 警察内部のドロっとした所、といった感じ。
    刑事物とは違う面白さがあった。

  • 面白かった。次は「動機」「64(ロクヨン)」読みます。

  • 心情描写に引き込まれる。『64』を読んだ後に読んだので、つながりを見つけると嬉しくなった。(Audibleで読了)

  • 64を読み始めて警務部警務課人事担当の『エース』二渡さんかっこいいなぁ…と思ってたところに、あら?昔二渡さんのお話読んだかもと…ふと思い出した『陰の季節』
    この時はドラマでは上川隆也さんが二渡だったはず。今回64の映画では仲村トオルさんが演じるのよね。どちらも大好きな俳優さんだ。
    今回読み返してみて、事件を解決してホシをあげたり人がバンバン死んでいったり、公安対刑事や組織対現場だけが警察小説になるわけじゃないんだと改めて新鮮な気持ちで読んだ。警務課が今回の主役だから、やっぱり人間の内面やずる賢さなどが主体になってしまって、勧善懲悪のすっきり感はほとんどないのだけれど、警察という組織を守っていくためにはやっぱり表で活躍するだけではなく、時に冷酷な判断を下す陰の部分も必要なんだろうね。
    二渡さんが奔走するのは短編集の一つ目のお話。他のお話はちょこっと登場するぐらいなんだけれど、でも細身の眼光鋭い二渡さんの姿が現れるだけで緊張感と安心感の真逆な感情がわたしのなかで湧いてくる。やっぱり好きな人物だ。
    あと、鑑識課のお話には『顔』のドラマで仲間由紀恵さんが演じてた平野瑞穂が出てきたので、次はそれを読もうかと思ってる。

  • 『64』を読み、D県警に興味を持ちました。
    今まで横山秀夫先生の本を読んでいなかったことに後悔しました。

    「陰の季節」が特に面白かったです。
    『64』で得体の知れない怖い人のイメージがあった二渡がですが、実際は、嫁も子供も友人もいて、苦手なこともあると、とても人間臭かったです。
    『64』を読み返したくなりました。

    他の作品も凄く面白かったです。「黒い線」も好きです!

  • 伏線としてわかった

  •  噂に違わず面白いね( ´ ▽ ` )ノ

     警察署内のいざこざが中心で、いわゆる刑事と呼ばれる警官はほとんど出てこないとこがミソ( ´ ▽ ` )ノ
     古今東西変わらない 組織の構造的な歪み・淀み・腐敗が主題ゆえ、どこの誰にでも共感できる普遍性があるね( ´ ▽ ` )ノ
     堅苦しいお役所が舞台だからか、お家騒動なんかの時代小説に近い趣( ´ ▽ ` )ノ
     全編に渡って登場する二渡も、それこそ「目付」「横目」みたいな役どころ( ´ ▽ ` )ノ

     ちょっとしか出てこないけど、マスコット婦警・林純子ちゃんがかわいかった(´∀`*)ウフフ

    2019/04/17

  • 『64』『半落ち』を読んだけど、イマイチ、パッとしなかったので、期待しないで手に取りました。
    が!おもしろいじゃないですか!短編、最高です。
    心理サスペンス、っていうらしいけど、警察小説そのものではなく、その内部のお話。
    ちょっとハマってしまいそう。

  • 警察小説の枠にとらわれない、粒ぞろいの短編集
     世間の事件を追うだけが警察の仕事ではありません。例えば表題作「陰の季節」では、警務課の調査官・二渡の人事異動を巡る争いがテーマですが、卓越した人物描写によって、密度が濃く迫力あるストーリーに仕上げています。魅せる短編に、派手な事件は不要だと思いました。
     特に凄まじいのは「地の声」。どんでん返しの末の結末に何を思うか。社会に身を置く者は、常に死の恐怖と向き合って生きていく戦士なのでしょう。

  • 読んだのは2度目だが、流石に引き込まれて一気に読了した。素晴らしい横山ワールドだ。

  • いつまでも色褪せない警察小説の金字塔的作品。
    当時の衝撃は今でも忘れることはできない。
    表題作「陰の季節」「地の声」が秀逸。
    はてさて「64」はいつになったらよめるのかな、只今積読中。

  • <a href="http://ryouchi.seesaa.net/article/3570821.html" target="_blank">感想はこちら</a>

  • 記録

  • 警察組織を管理する「事務方」畑の警察官が主役の短編小説。そのため殺人・強盗‥のようなショッキングな事件がメインテーマではないため、警察小説に求める刺激が少ないのではないか‥との心配は全くありません‼︎
    個人的には、ふつうの警察小説では到達できない心理ミステリーに翻弄されまくりました!サムライ精神を彷彿とさせる警察官たちが登場するので、短編と言えども、どの物語もかなり骨太の内容です。
    「出世・根回し・嫉妬・優越感‥」と、どんな仕事でも通じる毒々しい心理が核を成しているので、重厚な内容ながらもページをめくる手が止まりませんでした。
    警察人として人生を懸けている登場人物たち。自分とは全く違う生き方に尊敬しつつも、高い理想・目標を達成させるためには、熱い情熱だけではなく徹底した冷徹さも必要なのかと、人間のもつ多面性に終始翻弄されました。
    特に、「陰の季節」「鞄」の心理的ミステリーの構成が秀逸!そして、胸がしめられる様な切なさに繋がる伏線回収も素晴らしいです。

  • 仲村トオルさんや上川隆也さんが演じている「陰の季節」の原作です。
    短編集。そして全て警察内の出来事を取り上げた小説です。

    内容はテレビで観て知っていましたが、原作もとてもおもしろかったです。

  • 地方警察内部の実情、リアリティがすごくあって面白い

  • faceの主人公、平野巡査が初登場。こういう経緯があっての、ということですね。
    どういう順番で読んでも面白いですね。
    二渡警視はこの作品が初見か。表題作陰の季節がいいね。

  • 先にこれを読むべきだったと、激しく後悔。64を再読したら全然違ったとらえかたできたのかも。
    せめて、動機くらいは読み直してみようかと。

    それにしても二渡さん、どこまでも鋭いなぁ。

  • 「64」が面白かったので、同じ作者のD県警シリーズを読んでみた。警察内部のしがらみが詳細に描かれている。議会とのやり取りを書いている話が興味深い。難しい話も多いが、この作者の癖に慣れてくると割とスラスラ読める。
    しかし警察というのはこんなにも毎日仮説・検証を繰り返し、人を疑い、自分を疑って仕事しているのだと思うと大層な職業だなぁと思う。

  • しびれる!!

  • 横山秀夫のD県警シリーズ第1弾となる短編集。
    「64」にも登場するD県警警務課の人事担当の二渡真治のエピソードを皮切りに、監察課、鑑識課、秘書課といった内勤の部署にスポットを当てた内容で綴っています。
    いや、スゴい警察小説です。短編集なのに、先が気になっての一気読みでした。満足の一冊です。
    ドラマ化もされるようで・・・ちょっと興味です(^_^;)

  • 警察小説なのに、捜査畑ではなく管理畑の人間を主役に書かれた「管理部門小説」。舞台であるD県警本部内部に起きた事件にスポットを当て、目先の「解決」だけでは済まされない葛藤や悲哀を紡いでいく。派手な事件や描写はなく、むしろ地味な事案ばかりなのに、巧みな心理描写とさりげない挿話にいつの間にか引き込まれる。しみじみとした余韻の残る、行間まで素晴らしい作品。

  • D県の警察内部を連作で描いてます

  • ロクヨンからやってきた。
    二渡や長坂部など、お馴染みになったキャラクターが魅力的。

  • 警察の内部の話でここまでハラハラさせられるとは
    驚いた。
    伝えるまでの心の葛藤、盛り上がり方が気持ちいい。
    悲哀もたっぷりいい余韻。

    たまたま手にとった作者、大当たり。他作品も読みたい。

  • 警務課。企業で言うところの総務課、警察小説で刑事ではなく裏方である事務方にスポットを当てた短編集。なるほど新しい。組織の中での嫉妬、思惑、パワーバランス等等、共感できる部分が多い。主人公達の異常なまでの分析力や想像力にはやや違和感を感じたが心も声という事で。個人的には表題より『鞄』が良かった!

  • 初めての横山秀夫作品で初めての警察小説。短編4話とも緻密で臨場感があり一気に読み切ってしまいました。暫く嵌りそうです。2013 2/20

  • D県警シリーズの短編集。
    『64』を読破した余韻でそのまま再読したが、
    警察小説でありながら、舞台が管理部門ということで、
    初めて読んだときはかなりの衝撃があった。
    久しぶりに読み返してみても、全く色あせた感じはしなかった。
    やはり登場人物たちの心の動きが“事件”を形作っているからだろうか。

    『64』が話題になっているので、これから読もうという人には、
    入門編としても非常におすすめ。

    横山作品を読破したのはもうだいぶ前で、
    久しぶりに出た『64』も一気に読んでしまったが、
    今回読み返して、横山秀夫といえば短編のイメージだったよな、と思った。
    今度また、キレのある短編の新作も読んでみたい。

著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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