陰の季節 (文春文庫 よ 18-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167659011

作品紹介・あらすじ

警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下り先ポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべもなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた…。「まったく新しい警察小説の誕生!」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第1弾。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに横山秀夫を読みたくなって昔の文庫本の「山」から引き出した。完全に内容を忘れていた。面白かった。2003年2月読了のメモがある。この頃は感想文を直ぐにスマホに入れ込むなんて出来ないから章と章の間の白紙にメモしていた。

    感想文の内容は省略するが、どうやらこれが横山秀夫を読み始めた最初らしい。D県警シリーズの最初だった。社会的事件ではなく、県警内部の〈事件〉を扱った短編集である。この後4年間ぐらいで立て続けに横山秀夫が10冊ほど文庫本が出て全部制覇したのを覚えている。
    それほど新鮮だった。時の流れを感じる。

    小説内では、まだぷかぷかタバコを吸い、家には刑事専用の電話があり、ファックスがメールの代わりになっている。まるで昭和のようだけど、21世紀の文庫本なのである(初出は98年)。4編のうち2編は警察内の出世のために東奔西走して敗れてゆく話。一編は昔気質の元刑事のプライドの話、一編は目に見えない女性差別の話。て、そんな話ではないという人も居られるかもしれないけど、私にはそう読めた。いずれにしても、少し話の構造が当たり前だけど古い。現在、横山秀夫の新作のスピードが落ちているのも、新聞記者時代のネタが尽きてもうネタ元が(死んだり退官して)居なくて描けないことに理由があるのかもしれない。

    • ダイちゃんさん
      kuma0504さん、おはようございます。ダイちゃんと言います。今年、愛犬が永眠しました。これを機に、ブクログ始めました。kuma0504さ...
      kuma0504さん、おはようございます。ダイちゃんと言います。今年、愛犬が永眠しました。これを機に、ブクログ始めました。kuma0504さんのしっかり書かれたレビュー、参考になります。遅れました。いつも、いいね❗を頂き、ありがとうございます。突然の投稿失礼しました。
      2021/08/17
    • kuma0504さん
      ダイちゃんさん、こんにちは。
      こちらこそよろしくお願いします。
      ダイちゃんさんの本棚を見ていると、誠実な会社員だったんだなあ、ということがよ...
      ダイちゃんさん、こんにちは。
      こちらこそよろしくお願いします。
      ダイちゃんさんの本棚を見ていると、誠実な会社員だったんだなあ、ということがよくわかります。
      2021/08/17
    • ダイちゃんさん
      返信して頂き、ありがとうございました。
      返信して頂き、ありがとうございました。
      2021/08/17
  • 面白かった!
    警察ものですが、捜査や犯人や刑事は出ず、人事や管理職など裏方に徹する人たちの物語。
    短編集です。
    どの物語も最後はどうなるか、ギリギリまで分からず、ついつい先を急いでしまいます。
    どの業態もそうですが、仕事の数だけ悩みもやりがいもあるし、人の数だけ駆け引きもある。
    そんな人間臭いところに共感しました。
    オススメです♪

  • D県警シリーズ第1弾!
    組織にあんまり依存しない一匹狼的な刑事が事件を解決する。そういうのが多いけど、このシリーズは違う。

    このストーリーのメインは、捜査一課とかの華々しいとこやなくて、秘書課とか、警務課とか管理部門みたいなとこ。
    人事に力あるとか、そんな人が主役。
    二渡さんが、メインな気がするけど、エース一人にスポットを当てるんではなく、組織の複数の人を対象にしてる。
    こんな縦社会&男社会の組織に、忠誠を誓って、墓場までってのでええの?とは思う。

    出世とかそんなんに力入れてるけど、これは、普通の会社でも同じ事。
    私自身が、出世とかそんなんに縁のない人なんで、大変やなぁとは思うけど、「ふ〜ん…」って感じ。
    色々、権謀術数は面白いけど…
    警査内部、腐っとるやんけ!上ばかり見て!もっと、国民、市民の為に動いて〜

    • ultraman719さん
      こんばんは。

      コメントありがとうございます。
      お気を悪くされたようで、すみません。
      大して警察の事知らずに、オーバーにキツい事書いてしまい...
      こんばんは。

      コメントありがとうございます。
      お気を悪くされたようで、すみません。
      大して警察の事知らずに、オーバーにキツい事書いてしまいました。
      以後、気を付けます。m(_ _)m
      すぐに、面白おかしく書こうと思って脱線してしまって…
      今後も何かありましたら、コメントよろしくお願いします。m(_ _)m
      2021/08/23
    • kuma0504さん
      こんばんは。

      いや、すみません。
      気分害したなんて、とんでもない!
      みんな横山秀夫を絶賛する人が多い中で、新鮮な意見を読んで刺激されて、
      ...
      こんばんは。

      いや、すみません。
      気分害したなんて、とんでもない!
      みんな横山秀夫を絶賛する人が多い中で、新鮮な意見を読んで刺激されて、
      何故みんな絶賛するのか考えて、思いついて、書いたんです。

      思いつきに興奮してつい書いてしまいました。すみません。

      素敵なレビューありがとうございました♪
      2021/08/23
    • ultraman719さん
      こんばんは!

      ホッとしました。
      ありがとうございます!
      私、結構、言いたい放題なんで…
      実生活でもたまに痛い目に会うので ^^;

      個人的...
      こんばんは!

      ホッとしました。
      ありがとうございます!
      私、結構、言いたい放題なんで…
      実生活でもたまに痛い目に会うので ^^;

      個人的には、どんな意見でも大歓迎ですので、また、お願いします!
      2021/08/23
  • 陰の季節 横山秀夫著

    1.横山さんとのあゆみ
    クライマーズハイ、64、第3の時効、真相、半落ちという具合に読み進めてきました。

    長編小説では、物語の展開がクライマックスまで読めないことの面白さ、短編小説では登場人物の感情そして表情の描写が心地よい余韻へとつながっていました。

    2.陰の季節
    短編小説です。
    読了後の感想は、心地よい余韻、、、というわけではありません。笑。
    警察内部、しかも、刑事部門ではない組織を描写せているためでしょうか? 切実な心象を残します。

    3.陰の季節。こんな方におすすめ
    ①横山秀夫さんが好きな方向け
    ②ミステリー好きだが、どろどろは嫌な方向け。
    ③ミステリー謎解きは好きだが、多少予想ができる展開が好きな方向け。

    #横山秀夫 さん
    #読書好きな人とつながりたい


  • 警察の内側である管理部門の面々を主役とした短編ミステリー。
    警察担当記者という過去を持つ作者であるだけに、警察内部の出世競争、人事異動などの内情がかなりリアルに描かれていると思う。
    ただそれだけに、これが現実なだけに、奉仕の精神で公正に職務に専念すべき警察が、出世や人事や定年後の天下りごときに真剣に頭を悩ませて命をかけてんじゃねぇよ、もっと高い使命感を持って仕事しろよ(笑)、という気持ちが常に傍らにあった。
    横山秀夫は大好きな作家の1人で、作品としては面白く、決して作者が悪い訳ではないのだが、、そして普段から警察官という職業にも尊敬の念しかないのだが。
    この作品は外で起きる事件ものが警察小説のスタンダードであった中、警察内部である管理部門(警務、監察など)を舞台として描かれたミステリーであったことから注目を浴びた作品なので、その分野の話に興味のある人には合うのかもしれない。

  • 横山秀夫氏のデビュー作。D県警シリーズ第一弾。D県警シリーズの第ニ作を先に読んでしまったが、本作の方が面白かった。警察ミステリーだが、犯人逮捕やアクションシーンは無い。警察管理部門の話である。

  • 警察ものは久しぶりに読みました。
    この「陰の季節」は警察ものですが警察内部の事件?事情を扱っていて、面白かったです。

    警察もので人が死なないってなかなか斬新ですよね。それでいて面白い。

    陰の季節 ★★★☆☆
    地の声 ★★★★☆
    黒い線 ★★★☆☆
    鞄 ★★★☆☆

  • D県警シリーズは「64」「震度0」を読んでから手に取ったが、こちらを先に読んだ方が良かった。
    4つの作品は二渡調査官が絡むが、主役は陰の季節のみだ。ミステリーというより組織で起こるであろう人の問題にスポットを当てている作品である。
    事実がわからなかったり妄想で右往左往する様は政治でもどこの企業でも見受けられる残念な事象である。

    「陰の季節」は、警察を引退後再就職した尾坂部の人事を二渡調査官が対応していく。意外な動機が待っている。

    「地の声」は浜浦署生活安全課長の曾根和男警部が、取締り対象のパブ夢夢のママあゆみと不倫していると密告から始まる。二渡は、元部下の柳と内定を進め密告者を探していく。曽根の天の声に見放された地の声が響く。最後にはなるほどと思えることが待っている。

    「黒い線」は婦警の失踪、警部の友子がなぜ平野瑞穂が失踪したのかを調べていく。データばかり集め、意味のない仕事を増やす人はどこにでもいるものだ。そして組織ばかり気にして人を見ないものも。少しスッキリする結末が待っている。

    「鞄」は議会対策を題材に警察内部の管理部門を描いている。D県警に対して爆弾発言をすると言う鵜飼議員の鞄の中に原稿があるらしい。最後に4つの作品全てをまとめる言葉が待っている。

  • 後の刑事小説の基になったと思える一冊。「震度0」に見える警察機構内部の軋轢と個人の存在意識。「顔」のストーリーの面白さなど、その後の作品の原点を感じた。

  • 先にFACEを読んでた。4話の短編で所々にニ渡が出てくる。40歳で警視になりクールなニ渡が第一話で、元刑事部長に翻弄され珍しくうろたえる様もありですね。黒い線はFACEの平野瑞穂巡査が無断欠勤してしまうが、原因を作った上司の顔を引っ叩いた先輩婦警の友子に胸のすくおもいでした。

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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