動機 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3977
レビュー : 416
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167659028

感想・レビュー・書評

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  • 短編。
    裁判官が主人公の話は今まで読んだことがなく新鮮だった。
    お気に入りは犯罪者が主人公の「逆転の夏」
    どれも心理描写が見事。

  • 4編収録の短編集。

     横山さんの短編は相変わらず、いずれも完成度が高いです。

     表題作の「動機」は署内で一括管理されていた警察手帳30冊の盗難事件をめぐる話。

     横山さん得意の警察の管理部門を描いた短編。管理部と刑事部の対立や、手帳の一括管理を提案した主人公が、事件の責任を負わされ、徐々に追い込まれていく姿が、読者に迫ってきます。

     そして、ミステリとしても、内部犯か、外部犯か? 犯人は? そして動機は?と、謎の見せ場も多く、警察官ならではの心情と合わさって、真相にたどり着く、という構成も良くできています。受賞作なのも納得です。

     中編「逆転の夏」は女子高生殺しの前科がある山本が主人公。出所し、保護司の口利きの下、職も得たある日、彼の元に殺人依頼の電話がかかってきます。

     これもまずは心理描写が見事です! 事件のため離婚した妻や、その子どもとつながりたいという切望。前科をばらすことをちらつかし、横柄な態度をとる上司への反感。そして、事件自体に対する鬱屈。というのも、この殺人事件は、女子高生側にも非があるためです。そのため山本はどこか、被害者である女子高生を恨み「なぜ自分がこんな目に」という感情を抱えています。

     そんな中かかってきた電話が、山本の心情を揺らします。山本は依頼主の話を聞いていく中で、徐々に依頼主に同情心を覚えていくのです。この辺の描き方も巧い!

     そしてミステリとしての完成度も「逆転の夏」という表題に名前負けしていません! 被害者像、加害者像、そして登場人物たちに対する見方が、何度も反転します。まさに表題通りの作品です。
     
    「ネタモト」は女性地方紙記者が主人公。横山さんの経験もあるのでしょうが、全国紙と比較しての地方紙のリアルや、女性記者の苦労を反映したこちらも濃い短編。

     公判中に居眠りをしてしまった裁判官の危機を描く「密室の人」は、ミスのもみ消しや処遇をめぐっての登場人物たちの立ち振る舞いがリアルです。そして男女関係の複雑さ描いた作品となっています。

     それぞれ、主人公や環境は違いますが、どこか共通した雰囲気も感じられます。それは人間が追い込まれてい心理描写や設定の描き方の巧さだと思います。
     
     そうした描写が巧いからこそ、登場人物たちと同じように、読者も徐々に追いこまれていくような、ヒリヒリした感覚を覚えます。

     こうした緊張感が忘れがたくて、横山さんの作品はふとした時に読みたくなる、そんな中毒性があるのかな、と思います。

    第53回日本推理作家協会賞短編部門「動機」
    2001年版このミステリーがすごい! 2位

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か。男たちの矜持がぶつかりあう表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」。公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」など珠玉の四篇を収録。

    少々苦手な短編集。しかも、すべての話に全くつながり無しであった。しかし、思いの外どきどきするくらいそれぞれの話に入り込めた。

  • 面白い!横山秀夫にハマっていっている。
    どれもどんでん返しまで行かなくても、裏があって、面白い。

  • 横山秀夫らしく、県警警務課企画調査官、女子高生殺人の前科持ちの男、地方紙の女性記者、判事という普通のミステリー小説とは一味違う人物を主人公に据えた4編の短編集。
    どれも優れた短編ミステリー小説となっているが、女子高生殺人の前科を持つ男が、匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」は、珠玉の作品だと感じた。真相が知りたくて、先が読みたくてたまらなくなるというストーリーとしての面白さも格別だが、犯罪の加害者・被害者には誰もがなりうるということ、またその犯罪によって加害者・被害者ともに人生が大きく揺り動かされるということ、犯罪の業はかくも深いものだということを感じさせる内容の濃い作品となっている。読後の余韻はかなりのものがあった。

  • 短編4つですが、どれもレベルが高く、読んで満足でした。さすが横山さんの心理描写は引き込まれます。自分は「動機」がやはり面白かったと思います。

  • 短編集とは思えない程の重厚感のあるお話。
    「逆転の夏」は特に深く読み応えのある内容だった。
    なんとも不可思議な事柄が繋がっていく様と主人公が陥っていく穴が独得の雰囲気を醸し出していて
    深読みしながら読み進めるのも楽しかった。

    影の季節を読み落としていたのは
    痛恨の極み。
    すぐに読まなくては。。

  • 短編とは知らず借りたが内容は厚みがある。初めて知るその社会での常識なども知れた。ただ重厚的なところこがあり少し読み疲れた。

    とくにネタ元は女性新聞記者が主人公となり、動いていくストーリー。普段知らない世界を見れた気がした。ネタ元だけでなく、密室の人、の裁判官の生活や、横との繋がり……など。
    そういう目線で読んでみるという点では面白いと思った。ストーリー的にはどういう展開になるのだろうと読者を誘導してくれるところは楽しめた。

  • なし

  • D県警シリーズ第2弾...のはずなんだけど、1話目はD県警ではなく2話目以降は警察官が主人公ですらない、と不思議な思い。警察手帳大量紛失事件と発案者と頑固一徹の巡査部長。元殺人犯の出所後、元妻と身元引き受け人と殺人依頼者と勤務先の人間関係が行き着く先は。自負と届かなさに忸怩たる思いの地方新聞の記者が、一筋の蜘蛛の糸かと思ったその先は。美しい妻を得た裁判官が居眠りしてしまった後の騒動と思いもよらぬ展開は、と。読後、空恐ろしく背筋の凍る思い。

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著者プロフィール

横山 秀夫(よこやま ひでお)
1957年東京都生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業。1979年に上毛新聞に記者として勤務。『ルパンの消息』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞したのをきっかけに退社。以後フリーランスライターとして活動。1998年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞し小説家デビュー。2000年『動機』で第53回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。2002年『半落ち』が「このミステリーがすごい!」1位となり、第128回直木賞候補作となるが、そこで起きた様々な論議から、直木賞決別宣言を出すに至る。『半落ち』は2004年に映画化されて高い評価を得ている。その後、2004年『クライマーズ・ハイ』で第1回本屋大賞第2位、映画化されヒット。2013年刊行の『64(ロクヨン)』で第10回本屋大賞第2位、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」各1位を勝ち取り、大ヒットとなった。

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