クライマーズ・ハイ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.03
  • (1487)
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  • (74)
  • (20)
本棚登録 : 9413
レビュー : 1197
  • Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167659035

作品紹介・あらすじ

1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは-。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 惹きこまれる時間だった、一冊。

    日航機墜落事故をベースに描かれる物語。

    臨場感溢れる描写、緻密に描かれた熱気と緊張感に包まれる報道の世界が頭にスッと浮かぶ。

    そして様々な立ち位置での主人公の心の機微に読み手の心も揺さぶられる、そんな瞬間を何度も味わい、涙、苦しさと共に惹きこまれる時間だった。

    命の大小を突きつけられた瞬間は確実に心臓がギュッとつかまれた瞬間。言葉よりも涙が…。

    山は哀しみを埋もれさせる場所でもあり、希望、再生を与える場所でもある…そんな思いと共に圧巻の筆力で導かれたラスト。

    清々しい空が心に焼きつく。

    • まことさん
      くるたんさん♪こんばんは。

      私も、この本積んでいます(^^;
      レビューを拝見したら読んでみたくなりました。
      どこに、置いたかな?
      ...
      くるたんさん♪こんばんは。

      私も、この本積んでいます(^^;
      レビューを拝見したら読んでみたくなりました。
      どこに、置いたかな?
      他にも、この夏くるたんさんの本棚から読みたいと思っている本があります♬
      昨年の夏は京極さんのシリーズを確か今ごろ私は読んでたなあとか思い出しました。
      2020/08/10
    • くるたんさん
      まことさん♪こんばんは♪

      ありがとうございます♡
      私も映像で観ただけで、今回やっと小説で味わえました♬
      暑いあの日、あの事故のあの裏側とも...
      まことさん♪こんばんは♪

      ありがとうございます♡
      私も映像で観ただけで、今回やっと小説で味わえました♬
      暑いあの日、あの事故のあの裏側ともいうべき世界、熱気が読み応えありましたよ♬

      ぜひぜひ〜♬
      私もまことさんの本棚、レビューいつも興味深く拝見してます♡

      京極作品、懐かしい〜!1年経つんですね\(´ω` )/
      2020/08/10
  • 1985年夏、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落し520人という犠牲者を出した。

    山も深く傷ついていた。引き受けたのだ。他のどの山でもなく、世界最大の事故を、あの御巣鷹山が引き受けたのだ。

    この一文に、テレビで観た御巣鷹山の情景が、生存者の女の子たちがヘリコプターで救出されている様子が、濃い霧の中から現れてくるように記憶の底から浮かび上がってくる。新聞に載っていたのか、亡くなられた乗客の方の遺書に悲しみで心が震えたことも覚えている。
    その事故の裏で徐々に判明する惨状や真実、原因などをわたしたちに伝えるための『新聞』を作るジャーナリストたちがいた。彼らがそれらの記事を書くために、どれだけの苦悩や諦め、挫折や衝突があったのかということを今初めて知った。
    群馬県の地元紙『北関』で日航全権デスクとなった悠木は、当初事故が長野県であってほしいなどと思ってしまう。けれどこの事故と対峙した7日間で、彼は自分が何たるかを知り、仲間の言葉に涙を流し、そしてその先の人生を決定づける結末へと突っ走ることとなる。悠木は器用な男ではないのだろう。ジャーナリズムに対してとことん真っ直ぐでいようとすればするほど、周りとの摩擦は激しくなる。家庭でも息子とうまくいっていない。そして、一緒に衝立山へ登るはずだった安西は倒れ植物状態となる。幹部の思惑に潰される若手記者の記事、各部署との激しいやり取り、そして世紀の大スクープとなるべき確信の持てないネタへの恐れ。それらを全部悠木はひとりで抱える。更にある女性の投書への対応を見れば、彼が本当は優しく繊細な男であり、真のジャーナリストだと分かる。
    悠木は自分ではたったひとりで闘っていたと思ってたのかもしれない。家庭でも、仕事場でも孤独だと思っていたのだろう。けれど本当は、仲間たちや息子もちゃんと彼の背中を見て、追い続けていたのだと思う。

    「どこへ行ったって、俺たちの日航デスクは悠さんですから」

    この言葉以上に彼への仲間たちの信頼の大きさが表れるものはないだろう。
    著者の横山秀夫さんはこの当時、地元群馬の新聞記者だったそうであるから、この小説は単なるフィクションではなく、もしかしたら、ほとんどノンフィクションなのではないかとさえ思ってしまう。
    それほど、骨太な男たちのこの7日間の物語は熱くひりひりと迫ってくるものがあるのだ。

  • 大好きな横山氏の有名な作品で何故か今頃読了。
    ずーっと取っといた感じ。
    JAL御巣鷹山墜落事故の地方紙全権デスクになった悠木が主人公。記者としての欲望、嫉妬、後悔、挫折、葛藤が濃密に描かれている。17年後、逞しく成長した故同僚の息子と衝立岩登攀を通じて、ギクシャクしていた自身の息子の思いが伝わってよかった。
    内容が濃いのでどうもうまく感想が書けないな。

  • 自分のした判断がベストだったのか。
    その時はベストだと思っていても、結果が出なければ責めを負い、後悔する。
    どの仕事だって結果が全てな所はあるけれど、
    新聞記者は特にその結果が顕著に出る分、余計に恐ろしい。
    夏の暑い時期に読んだせいか、主人公の重圧になんだか息苦しさを感じてしまった。

  • さすがに元新聞記者上がりの横山秀夫さん、臨場感と緊迫感が迫ってくる作品だった♪
    群馬の地方紙で頑固で一徹な記者の悠木が思いがけずに日航機墜落事故の全権デスクに指名される。偶然に彼に山の魅力を教えてくれた同僚は事故直前に倒れて植物人間状態になる。悠木にのしかかる様々な葛藤の嵐に如何に立ち向かうのか?
    最後には温かい終わり方でほっと出来るので読後感は良かった。頁を捲る手が止まらなかった。

  • 「地方紙の世界が活写されている。全国紙にしてやられてきた悲哀、中央政界の人脈を持ち込んだ社長派と専務派の陰湿な抗争、編集局と広告、販売、出版局との対立、「大久保・連赤事件」をよすがに生きてきた幹部記者たち、反目・セクショナリズム・嫉妬……。ジャーナリズムの世界もまた、その人間模様はわれわれ一般社会となんら変わることはない。愛憎を込めた新聞世界のリアルな描写は著者以外には書けないことである。」(p.467 解説「作者のモノを見る眼の深度」後藤正治)

    作中、広告部長の暮坂を若手記者の神沢が殴ってしまうというちょっとした事件があるのだけれど、その片が付く370〜373ページが、個人的にすごく印象に残りました。人間って弱いなあ。「嫌悪と憐憫がごちゃ混ぜになって胸にあった。」ほんとうにそんな感じ。本筋にはさほど影響がない事件なので解説でもふれられていなかったからメモ。人間の描写に理想化されたところがないのが良い。登場人物の誰が嫌いで誰のことは許せるかとか話し合うと盛り上がりそうである。

  • 当時、群馬県民だったので非常に親近感沸いて読みました。
    しかも上毛新聞を読んでいたのでなおさら(笑)。

    御巣鷹山事件をめぐる上毛新聞記者の熱い人間ドラマです。
    横山さんの作品では1番良いかな!

  • とても熱い物語!
    64よりもこっちのほうが好きです!

    日航機事故をベースにした、地元新聞記者の葛藤の1週間といったところ。
    全権デスクを任された主人公が、軋轢、葛藤、嫉みの中、組織とは、報道とは、親子とは、といったところがこれでもかと満載につまれている物語です。
    そして、表題のとおりクライマーとしての話も盛り込まれています。
    最大のスクープを逃してしまった後悔。
    報道としての矜持。
    新聞紙をつくるのではなく新聞をつくるということ。
    ある意味、主人公が再生していく物語でもあると思いました。

    特に後半、熱いものがこみ上げてきます。
    友人の息子と衝立岩登攀を行うシーン。登山のことはさっぱりわかりませんが、主人公の息子が残したハーケン!
    これはぐっと来た!!

    さらに、「重い命」と「軽い命」
    その投書を新聞に載せる決断をしたということ。そして、その責任を取らされるシーンでは男たち矜持が胸打ちました。

    横山さんの作品は内容が濃すぎてレビューでは伝え切れません(笑)

    本作、佐藤浩市が主人公でNHKでドラマかされたのがDVDで出ているようです。その評判もすこぶるよい!!
    見てみたい!!

    とってもお勧め!!

  • センシティブな内容だし話も前後するので最初は戸惑ったものの、新聞社の現場における慌しい雰囲気がリアリティありすぎてとても楽しめました。この人じゃないと絶対書けない!といった内容。

    親子、親友、仕事、趣味…、深い。

    その後映画版も見たけど、やっぱり本の方が想像できて好き。でも主人公のVOLVO 740が実にカッコよくて萌えます。

  • ドラマも映画も観ました。
    ドラマも映画も原作に忠実だったように思いますが、読後に残った気持ちは映像からのものとは全然違いました。

    ドラマも映画も、なかなか思う通りにはいかないなりに、地元紙のプライドを書けた新聞づくりと、それに関わった人たちの熱いドラマになっていたと思うのですが、本を読んでいる最中ずっと思っていたのは、「悠木、中二病?」

    部下を持たない遊軍記者だからと言っても、40歳の男性が、デスクとして紙面をまとめるにあたって、あまりにも繊細すぎると思いました。
    それというのも彼の幼児体験が関係していて、家族、特に父と呼べる存在を欲しいと願い、叶うことなく社会人になってしまったために先輩や上司に過剰に期待し、実態を知るほどに失望して世をすねて…。すねても記者ですが。

    家に帰れば帰ったで、父親としての在り方がわからない、子どもへの接し方がわからない。挙句の果てに息子を殴って育てる。

    おやおやおや。こんな人でしたか、悠木和雅。

    地元群馬県にジャンボ機が墜落し、その件に関しては全権委任されたデスクのはずなのに、嫌がらせをされたり勝手に記事をくつがえされたり。それに対して強気に怒ったり、弱気に落ち込んだり。
    もう!しっかりしなさいよ!と思うことしばしば。

    だけど、だからこそ余計に、いい新聞を作りたいという悠木の気持ちが強く伝わってくるんです。
    それは波に翻弄されているかのように心の表面に浮かんだり奥底に沈んだりはするけれど、いつもいつでも、悠木はいい新聞を作りたいという思いを抱えているのです。

    タイミングが悪くて後輩の気持ちの入った記事を紙面に乗せることができなかったり、スクープを逃したりするたびに、誰かに見放されたり憐れまりたりする悠木ですが、それはかなり被害妄想もあるのではないかと思うのです。
    だって、それまでの日常の付き合いの中で、ある程度お互いに人となりというものがわかるものじゃないの?

    上司とも同期とも後輩ともなんとなくうまくいかない悠木ですが、あ、家族とも、ですが、山男の安西とだけは何となく親しくて、ジャンボが墜落した当日も本当は一緒に登山に出かけるはずでした。
    しかし安西はくも膜下出血で倒れて植物状態になってしまいます。

    安西もまた、子どもとの関係が上手くいっているとは言えず、仕事でも何か屈託を抱えている様子であったらしい。
    なぜ山に登るのか?なぜおれを誘ったのか?なぜこのタイミングだったのか?

    安西との登山にかかる謎と、新聞記者としての矜持と、人間としての40歳からの成長とが実にいい塩梅で、丁寧に言葉を尽くして描かれる悠木の心のうちは、全くくどさを感じさせないのです。

    組織の中で働いていれば、誰にでも思い通りに行かないことはありますし、心ならずもやらなければならないものもきっとあるはずです。
    そして地方で働いている者にとって、中央の、大手の力技を見せつけられた時の無力感と言ったらないんですよ。
    全国に、きっと多くの悠木がいて、職場で、家庭で鬱屈を抱えているのだと思います。

    だからこそ、悠木の言った「いい新聞を作りたいんだ!新聞紙を作りたいわけじゃない!」という言葉が心にしみるのでしょう。

    新聞を作るのはもちろん記者だけではなく、紙面の割り付けや、カメラマンや、また広告、販売、出版局の人々。そして読者の目。
    それらすべてがうまくかみ合わないと、いい新聞は作れません。

    そして、その事故から17年後の悠木の姿が折々に挟み込まれています。17年後の悠木はやはり長男との関係に自信が持てないでいるようですが、最後にとても嬉しいサプライズがあります。
    読んでいてつらい場面もありましたが、読んだあととても晴れ晴れした気持ちになりました。

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著者プロフィール

国際商科大学商学部卒業。1979年上毛新聞社に入社。1991年、『ルパンの消息』が第9回サントリーミステリー大賞佳作を受賞。1998年、『陰の季節』で第5回松本清張賞を受賞、小説家デビュー。代表作に『半落ち』『クライマーズ・ハイ』『64』などがある。

「2015年 『漫画でよめる! 語り継がれる戦争の記憶 戦火の約束』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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