クライマーズ・ハイ (文春文庫 よ 18-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167659035

感想・レビュー・書評

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  • 惹きこまれる時間だった、一冊。

    日航機墜落事故をベースに描かれる物語。

    臨場感溢れる描写、緻密に描かれた熱気と緊張感に包まれる報道の世界が頭にスッと浮かぶ。

    そして様々な立ち位置での主人公の心の機微に読み手の心も揺さぶられる、そんな瞬間を何度も味わい、涙、苦しさと共に惹きこまれる時間だった。

    命の大小を突きつけられた瞬間は確実に心臓がギュッとつかまれた瞬間。言葉よりも涙が…。

    山は哀しみを埋もれさせる場所でもあり、希望、再生を与える場所でもある…そんな思いと共に圧巻の筆力で導かれたラスト。

    清々しい空が心に焼きつく。

    • まことさん
      くるたんさん♪こんばんは。

      私も、この本積んでいます(^^;
      レビューを拝見したら読んでみたくなりました。
      どこに、置いたかな?
      ...
      くるたんさん♪こんばんは。

      私も、この本積んでいます(^^;
      レビューを拝見したら読んでみたくなりました。
      どこに、置いたかな?
      他にも、この夏くるたんさんの本棚から読みたいと思っている本があります♬
      昨年の夏は京極さんのシリーズを確か今ごろ私は読んでたなあとか思い出しました。
      2020/08/10
    • くるたんさん
      まことさん♪こんばんは♪

      ありがとうございます♡
      私も映像で観ただけで、今回やっと小説で味わえました♬
      暑いあの日、あの事故のあの裏側とも...
      まことさん♪こんばんは♪

      ありがとうございます♡
      私も映像で観ただけで、今回やっと小説で味わえました♬
      暑いあの日、あの事故のあの裏側ともいうべき世界、熱気が読み応えありましたよ♬

      ぜひぜひ〜♬
      私もまことさんの本棚、レビューいつも興味深く拝見してます♡

      京極作品、懐かしい〜!1年経つんですね\(´ω` )/
      2020/08/10
  • JAL御巣鷹山墜落日航機墜落事故を題材とした作品。

    ジャーナリズムの在り方に鋭く迫る内容となっている。
    悠木をはじめ、登場人物たちの活き活きとした人間味に引き込まれる。

  • 最後まで切迫感がすごかった。
    横山秀夫さんは日航機の事故当時、実際に地元群馬の記者だったという。リアリティと伝える覚悟が感じられた。

    とくに、望月彩子の命の重さに対する訴えはじんときて、繰り返し読んだ。
    大きな事故を大々的に取り上げる意味とは。新聞、マスコミの使命とは。
    私も望月彩子に共感した。人の死に、価値の優劣をつけてはいけない。

    山は「下りるために登る」。でも、下りずに過ごす人生だっていい。一心に登り続けるのも悪くはない。

  • 2024年のはじめに、なんともカロリーの高い一冊を読んでしまいました……。
    いつもコーヒー片手に本を読むのですが、音楽も流さずコーヒーも淹れず、真剣に向き合いました。

    強く強く心揺さぶられる一冊。途中何度か泣きそうになったシーンも。
    でも……でもねえ……悠木がなぁ、主人公がいつも逃げちゃうんですよね〜(⁠^⁠^⁠;
    家庭ある人間からしたらまた違う感想になるのかもしれませんが……部下がつかんできた決死の原稿が何度もボツになってしまって、「悠木ィ〜!」とそのたび歯がゆい思いをしました。決意したかと思えば、すぐに翻してしまうんだもの。。
    それでも星4なのは、エース記者・佐山の功績です。
    彼は偉い。本当に偉い。
    「どこへ行ったって、俺達の日航デスクは悠木さんですから」
    原稿を潰されても悠木を見放さず、無茶な指示にも従い続け、かつ直感と実力は折り紙付き。もうカッコよすぎます。

    当初は出てくるのがオジサンばかりで覚えるのが大変でしたが、それぞれのキャラクターに見せ場があり、最後にはこれらの人間模様に魅せられてしまいました。等々力部長もいい人だよ……。
    人の命の重さと軽さ。そして当事者以外は忘れていくこと。
    わかっていても割り切れない事柄だからこそ、最後の投書には胸が苦しくなりました。

    どんな困難にも負けず常に正しさを追求すること。
    そんなことができるのはお話の中に出てくるヒーローだけであって、実際の事件事故に対応するのは仕事であり家庭があるただの人間です。
    未曾有の大災害が起きた時に人間がどう行動するのか。それを非常に詳細に描いた作品だったと、ざわつく胸を抑えながら感想をしたためました。

    (追記)
    一晩経ってこの本のことを考えていた時に、作中悠木が何度か見せた「臆病」な一面というのは、まさに「クライマーズ・ハイ」が解けた瞬間のことだと思い至ってハッとしました(遅すぎる……)。
    人の強さとは、そうした身も竦むような経験をしてなお立ち上がり手を伸ばすことなのではないかと。そういった意味では、大事な局面で逃げたけれども決して前線から退けなかった悠木もまた、ある種の強さを持っていたのだと認識を改めました。

    p462
    「生まれてから死ぬまで懸命に走り続ける。転んでも、傷ついても、たとえ敗北を喫しようとも、また立ち上がり走り続ける。人の幸せとは、案外そんな道々出会うものではないだろうか。クライマーズ・ハイ。一心に上を見上げ、脇目も振らずにただひたすら登り続ける。そんな一生を送れたらいいと思うようになった。」

  • さすがに元新聞記者上がりの横山秀夫さん、臨場感と緊迫感が迫ってくる作品だった♪
    群馬の地方紙で頑固で一徹な記者の悠木が思いがけずに日航機墜落事故の全権デスクに指名される。偶然に彼に山の魅力を教えてくれた同僚は事故直前に倒れて植物人間状態になる。悠木にのしかかる様々な葛藤の嵐に如何に立ち向かうのか?
    最後には温かい終わり方でほっと出来るので読後感は良かった。頁を捲る手が止まらなかった。

  • 当時、群馬県民だったので非常に親近感沸いて読みました。
    しかも上毛新聞を読んでいたのでなおさら(笑)。

    御巣鷹山事件をめぐる上毛新聞記者の熱い人間ドラマです。
    横山さんの作品では1番良いかな!

  • センシティブな内容だし話も前後するので最初は戸惑ったものの、新聞社の現場における慌しい雰囲気がリアリティありすぎてとても楽しめました。この人じゃないと絶対書けない!といった内容。

    親子、親友、仕事、趣味…、深い。

    その後映画版も見たけど、やっぱり本の方が想像できて好き。でも主人公のVOLVO 740が実にカッコよくて萌えます。

  • ドラマも映画も観ました。
    ドラマも映画も原作に忠実だったように思いますが、読後に残った気持ちは映像からのものとは全然違いました。

    ドラマも映画も、なかなか思う通りにはいかないなりに、地元紙のプライドを書けた新聞づくりと、それに関わった人たちの熱いドラマになっていたと思うのですが、本を読んでいる最中ずっと思っていたのは、「悠木、中二病?」

    部下を持たない遊軍記者だからと言っても、40歳の男性が、デスクとして紙面をまとめるにあたって、あまりにも繊細すぎると思いました。
    それというのも彼の幼児体験が関係していて、家族、特に父と呼べる存在を欲しいと願い、叶うことなく社会人になってしまったために先輩や上司に過剰に期待し、実態を知るほどに失望して世をすねて…。すねても記者ですが。

    家に帰れば帰ったで、父親としての在り方がわからない、子どもへの接し方がわからない。挙句の果てに息子を殴って育てる。

    おやおやおや。こんな人でしたか、悠木和雅。

    地元群馬県にジャンボ機が墜落し、その件に関しては全権委任されたデスクのはずなのに、嫌がらせをされたり勝手に記事をくつがえされたり。それに対して強気に怒ったり、弱気に落ち込んだり。
    もう!しっかりしなさいよ!と思うことしばしば。

    だけど、だからこそ余計に、いい新聞を作りたいという悠木の気持ちが強く伝わってくるんです。
    それは波に翻弄されているかのように心の表面に浮かんだり奥底に沈んだりはするけれど、いつもいつでも、悠木はいい新聞を作りたいという思いを抱えているのです。

    タイミングが悪くて後輩の気持ちの入った記事を紙面に乗せることができなかったり、スクープを逃したりするたびに、誰かに見放されたり憐れまりたりする悠木ですが、それはかなり被害妄想もあるのではないかと思うのです。
    だって、それまでの日常の付き合いの中で、ある程度お互いに人となりというものがわかるものじゃないの?

    上司とも同期とも後輩ともなんとなくうまくいかない悠木ですが、あ、家族とも、ですが、山男の安西とだけは何となく親しくて、ジャンボが墜落した当日も本当は一緒に登山に出かけるはずでした。
    しかし安西はくも膜下出血で倒れて植物状態になってしまいます。

    安西もまた、子どもとの関係が上手くいっているとは言えず、仕事でも何か屈託を抱えている様子であったらしい。
    なぜ山に登るのか?なぜおれを誘ったのか?なぜこのタイミングだったのか?

    安西との登山にかかる謎と、新聞記者としての矜持と、人間としての40歳からの成長とが実にいい塩梅で、丁寧に言葉を尽くして描かれる悠木の心のうちは、全くくどさを感じさせないのです。

    組織の中で働いていれば、誰にでも思い通りに行かないことはありますし、心ならずもやらなければならないものもきっとあるはずです。
    そして地方で働いている者にとって、中央の、大手の力技を見せつけられた時の無力感と言ったらないんですよ。
    全国に、きっと多くの悠木がいて、職場で、家庭で鬱屈を抱えているのだと思います。

    だからこそ、悠木の言った「いい新聞を作りたいんだ!新聞紙を作りたいわけじゃない!」という言葉が心にしみるのでしょう。

    新聞を作るのはもちろん記者だけではなく、紙面の割り付けや、カメラマンや、また広告、販売、出版局の人々。そして読者の目。
    それらすべてがうまくかみ合わないと、いい新聞は作れません。

    そして、その事故から17年後の悠木の姿が折々に挟み込まれています。17年後の悠木はやはり長男との関係に自信が持てないでいるようですが、最後にとても嬉しいサプライズがあります。
    読んでいてつらい場面もありましたが、読んだあととても晴れ晴れした気持ちになりました。

  • 日航機墜落事故を巡る新聞記者の奮闘、友の残した言葉の意味、衝立岩登攀。圧倒的な人間ドラマだな。

    正しいことを貫くことは軋轢を生み、尻尾を振れば男は終わりだ。

  • 映画が話題になったのとたまたま上毛新聞社の社屋に行く事があったので、ご縁を感じて読んだ。面白かった。ノンフィクション?と感じさせるような臨場感があり、灼熱の山中に広がった惨劇の様子と新聞社内の記事の奪い合いが読み手を飽きさせない。

著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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