正しい乙女になるために それいぬ (文春文庫PLUS 50-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167660123

作品紹介・あらすじ

"乙女の聖書"として語り継がれた伝説のエッセイが遂に文庫化。乙女はみんな根性ワル、お食事より悪口が好き、ゴージャスで貴族で孤独であれ、真のロリータとは?リボン・フリルのブラウス・Vivianne Westwood…野ばらのエレメントがちりばめられた乙女論は、ロマンチックでお上品でクラシカルで意地悪!正しい乙女になるための必修科目。

感想・レビュー・書評

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  • 現代における乙女のカリスマ、嶽本野ばら様の記念すべき第一エッセイ集です。乙女という生き方を選択した者にとって、この作品ほど功績の大きい書物はありません。
     乙女にはお友達なんていりません。根性ワルは乙女の基本。嫉妬する乙女は美しい…。
     こんなことを、美しくレトロでユーモラスな文章と独特の美学で綴っている方が、野ばらという名前で、しかも男子!この本を読んだたくさんの女子が、作家にせつない恋心を抱いてしまったのは仕方のないことです。それまでは、清く正しく花も恥らう若い女子にのみ与えられるちょっと古臭い称号だった「乙女」という単語は、この本によって生気を取り戻し、恥ずかしながら私にとっては、自身の生き方を表す言葉となりました。
     オマエいくつだよ、ですって?乙女であることに年齢も性別も関係ないのです。ボロは着てても、小じわはよっても(よりたくないけど)、心は乙女、ですわ。ね?乙女の皆さま。

  • バイブルであり、毒薬。
    大人になって改めて再読して、これはある種の少女にとっての毒だと思った。
    素直な心のままに読めば少なからず影響を受けてしまう、けど影響を受けなければ生きられない人がいる。
    そうして毒を呷って心に不可逆な歪みを抱えなければ生きていけない存在こそが、乙女というものなんじゃないかな。なんて。

    そんな毒を飲み下してもなんともないほどに大人になった身で触れても、少し気取った美文に酔ってうっとりしちゃう。
    人生に悩んだ女の子に禁書庫からくすねてそっと渡したい、そんなエッセイです。

  • 恥ずかしながら、わたしは、嶽本野ばらをずっと女性だと思っていた。
    野ばらの作品を読んだことはなく、見た目の繊細さのみで判断していた。
    だから、このエッセイで一人称が「僕」と書いてあることにひどく違和感を覚え、女性で一人称が「僕」か・・・となかば読むのを諦めようとしたら、なんと、男性だった。気づいてよかった。違和感はなくなり、最後まで読むことができた。
    一人称に対しての違和感はなくなったけれども、それでも野ばらは女性らしい(乙女らしいと言ったほうがいいのかな…?)。
    見た目が繊細だと思ったらほんとうに性格も文章も繊細な人らしく、可憐で、散ってしまいそうな雰囲気を残しつつも、力強さ、陰湿さも垣間見える。

    純粋さゆえに崩壊してしまいそうな自我、愛している人へ向けた恋情に、男性の持つ明るさはないに等しい。この人は、本当に乙女なんだ・・・!

    作者は、カラッと乾いた晴れの日よりも、じとじとと湿っぽい曇りの日が似合うだろう。それこそ、乙女の特権というものなんだろう。

  • 他人の思想を鵜呑みにしてはいけない

  • エッセイのつもりで読んでたけれど、小説と根底は変わらないと感じた。

    どこかの本で、小説は自分の遺書のようなものと言っていたのに納得した。

    小説に出てくる主人公は作者本人なんだなと思った。

    他人の評価を気にせず自分の好きなものを貫き通せるのも、歪んだ価値観を堂々と語れるのも憧れる。
    でも、その一方で繊細でか弱さも感じられて、そこが人間らしく青臭くて素敵だと思う。

  • 「乙女のバイブル」と呼ばれた本作には、野ばらさんの美的観念が結晶のように凝固しています。あとがきで野ばらさん本文を「ペダンチック」「青臭い」などと述べていましたが、私はこの増幅系の、歪みきった野ばらさんの文章が大好きだと言うことに今更、本当に今更ながら気がつきました。
    『ミシン』や『エミリー』を読んで受けた衝撃、蜂蜜を嘗めるように読んだ甘美な文章、我を貫く少女たち、──「君」と寄り添い、「乙女」と寄り添ってきた数数の文章──それら全てが『それいぬ』に始まり、『それいぬ』に帰趨するのは当然のことでした。今回、ある程度野ばらさんの著作を読んでからこの『それいぬ』を読めたこと、そしてどんな姿の自分であっても、それが傍目からは歪んでいたとしても、それを貫く強さ、「根性」を観測できたこと……私は私を好きな私でありたい。私はいつまでも変わらぬ私でありたい。本書は私にとってもバイブルです。どれだけ朽ち果てていても、美しく、廓寥が静謐であり続ける廃墟となった教会で、いつまでも、いつまでも読んでいたいバイブルです。

  • 好きです…とても。
    乙女というには恥ずかしい年齢ですが、でもこの心は私のなかにもまだ確かにあります。
    怒濤のように押し寄せる野ばらちゃんの美意識…その高さに憧れます。野ばらちゃんワールド。
    中井英夫は読もうと思いました。弥生美術館も行ってみたいです。
    キラキラでも傷があっても、美しく歪んでいけたら、と思います。
    これからもわたしのバイブルです。

  • 1番印象に残ったのは「乙女と性欲」というエッセイで、
    「腐女子はBLが好き」と普通は言うはずのところを「乙女はホモセクシュアルが好き」と最高のネガポジ転換をしている所が印象に残りました!
    ホモは乙女の永遠のテーマとも言い切っているのにも、
    腐乙女の私は自信を持ちました。
    この本を書いたのが、男性だと言うのが信じられません。
    腐女子は男女の恋愛に、自分なんて入らないからBLに逃げていると宣う男女共に読ませたいですね。
    キリスト教式の葬式で死にたいから日曜礼拝に行くという考えも面白いし、宗教はミーハー心で興味を持ってもいいんだと思いました。
    あと、「ボロは着てても心のロリータ」というエッセイに今NHKでやっている特オタOLが主人公のドラマを感じました。
    中原淳一や、竹久夢二の様な美意識を持った方が今日活躍している事に日本の未来を感じました。

  • これぞ乙女のバイブル

  • 乙女のバイブルの名に間違いなし。
    甘いだけの乙女節とも、労働本位でも、下世話でもない、激辛でひたすら理想を追い求める意思を数頁で次々と次々と繰り出す著者を他に知らない。

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著者プロフィール

文 嶽本 野ばら
京都府宇治市出身。作家。
1998 年エッセイ集『それいぬ̶ 正しい乙女になるために』(国書刊行会)を上梓。
2000 年『ミシン』(小学館)で小説家デビュー。
2003 年発表の『下妻物語』が翌年、中島哲也監督で映画化され世界的にヒット。
『エミリー』(集英社)『ロリヰタ。』(新潮社)は三島由紀夫賞候補作。
他の作品に『鱗姫』、『ハピネス』(共に小学館)、『十四歳の遠距離恋愛』(集英社)
『純潔』(新潮社)など。『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会)の監修、
高橋真琴と共書絵本『うろこひめ』(主婦と生活社)を出版するなど少女小説、お姫様をテーマとした作品も多数。

「2021年 『お姫様と名建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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