ある人殺しの物語 香水 (文春文庫 シ 16-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167661380

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  • 奇想天外! 「鼻男」の一代記
    あらゆる匂いをかぎわけ、彼ひとり匂わない。
    至高の香りを求めて、異能の男の物語がはじまる──。
    18世紀のパリ。孤児のグルヌイユは生まれながらに図抜けた嗅覚を与えられていた。真の闇夜でさえ匂いで自在に歩きまわることができるほどの嗅覚──。異才はやがて香水調合師として、あらゆる人を陶然とさせていく。さらなる芳香を求めた男は、ある日、処女の体臭に我を忘れる。この匂いをわがものに……欲望のほむらが燃えあがり、彼は、馥郁たる芳香を放つ少女を求めて次々に殺人を犯す。稀代の“匂いの魔術師"をめぐる大奇譚。(アマゾン紹介文)

    ぐいぐいと読み進められました。
    鼻・嗅覚・香水といった珍しいテーマを、すんなりとイメージさせる技法に感心。
    紹介文ほどおどろおどろしくもなく、香りの想像をしながらも、読みやすいです。
    ファンタジーとして、主人公が最期にかけた香水を嗅いでみたいと思いました。

  • 異常な嗅覚を生まれ持ちありとあらゆる香りに取り憑かれた阿呆な天才の数奇な一代記。
    酩酊誘う饒舌な文体、豊穣な語彙が齎す絢爛たる極彩の世界観に恍惚。
    香りの分野では神に近い天才でありながら奇人変人白痴の類と遇される主人公の魂の彷徨から目が離せない。
    主人公グルヌイユと出会った事で運命を狂わされる俗物や凡人の悲喜劇もかなしくおかしい。

    読書の醍醐味が味わえる一冊。

  • 匂いの意味は 「無垢な心、信仰心」と 捉えた。

    赤ん坊の時に 母に 見捨てられたことにより、悪魔の子として 自分の匂いを失い、自分の匂いを作り保存することで、神の子として死んだ と解釈した。

  • この物語は「匂いに触れる」という言葉が1番しっくりくる。
    言葉など優に凌駕するこの世界に、のみ込まれた。

  • 簡単に言えばすごい嗅覚を持った青年の狂気という話かな。

  • 「天才」の話だ。
    グルヌイユは、ずば抜けた嗅覚を持って生まれ、その飛び抜けた能力の代わりに、安堵することを許されなかった。愚鈍であり、忘れ、誤魔化し、見ないようにすることは、安堵を与える。グルヌイユには、その能力が与えられなかった。
    才能をギフトと言うが、果たしてそうなのかと私は思う。阿呆であって、大衆に属し、自分という個体を意識しないでいられることこそ、生きながらえるという意味においては必須の能力だ。
    人間は、「何故生きているのか?」という問いに耐えられない。その問いに向き合ったなら、死ななくてはならない。それでも生きるためには、阿呆でなければならない。天才とは、阿呆になることができない人たちだ。
    グルヌイユは、嗅覚に惑わされず、自分を殺しにくる者を待っていた。それが叶わなかった絶望とともに、あの最後を選んだのだ。

  • カオス

  • 今まで読んだことないようなストーリー。
    怖いけど綺麗。

  • 匂いにとらわれた男の物語。他人とは違った存在の彼はやがて自ら破滅していくことを選んだ。カミュの「異邦人」の主人公に通ずるものがあるが決定的に違うのは悪意があるかどうか。
    映画版の繊細さをそなえたグルヌイユも素敵だったが原作の皮肉的でクールなグルヌイユもなかなか捨てがたい

  • 映画版を観た

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