前日島 下 (文春文庫 エ-5-4)

  • 文藝春秋 (2003年11月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784167661526

みんなの感想まとめ

テーマは孤独と出会い、哲学的な問答が織り交ぜられた物語です。物語の中で、主人公ロベルトとカスパル神父が出会うことで、互いに活気を取り戻し、コミカルなやり取りが生まれます。特に、神父の独特な話し方や発明...

感想・レビュー・書評

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  • 訳者の後書きに「疲労困憊」とあってホッとしたほど、とにかく読み進めるのに苦労した。終盤は数ページ読むだけでもう疲れて寝てしまう日々の連続だった。訳者の後書きを読むと、作中に含まれていた知識量にまた疲れてしまう。それだけの歴史と細部へのこだわり、意味の羅列に示された内容の多さに圧倒される。でもそれがわからなくても読まされたエーコの後の作品と比べると、まだまだ小説、文学としてのエンターテイメント性は発展途上だったのかも。

  • 下巻でやっと姿を現したダフネ号の先住者・イエズス会士のカスパル神父。彼の口からいかにしてダフネ号が無人船となったかがロベルトに語られるが、神父様はラテン語以外は不得意なようで、話し方がかなりおかしい。しかもたまにダジャレみたいな…(困惑)ここは翻訳者の苦労を察してあまりあるけれど、なぜか「とんでもナイン!」はツボにはまってしまった(笑)

    そしてやっと明かされるタイトル「前日島」の意味。不得意ジャンルなので子午線とか本初子午線とか経線とか言われても全然よくわかってないけど、現代人的にサクっとわかりやすく解釈するにつまり日付変更線上に立って、こっちは今日だけどあっちは昨日!っていうことですかね。時差の大きい場所に海外旅行にいくと、帰国したときに1日得してたり逆に損してたりみたいな。

    とりあえずお互い大海にひとりぼっちだと思ってたロベルトと老神父が出会うことによって、とたんに二人ともいきいき、カナヅチの凸凹師弟コンビが島に渡るために水泳の練習をしながら天文学問答をしてるくだりなどはコミカルで楽しかった。カスパル神父のキテレツな発明品(釣鐘式の海中歩行具)もとても愉快だったのだけど、さすがにそれを実際に使用するとなると・・・うん、まあ、そうなるよね・・・。

    というわけで再び孤独になってしまったロベルトは、またしても実在しない兄フェッランテの妄想小説を書くなど現実逃避にふけり、なき師匠が語り残した「オレンジ色の鳩」を望遠鏡でひたすら探しつつ、カナヅチ克服鍛錬の日々が続くが・・・。

    鬼虎魚(おにおこぜ)の毒にやられたロベルトが熱にうかされて朦朧としながら見る夢は幻想的で圧巻だったけれど、正直こんな終わり方をするとは・・・というか、こんな話だったとは・・・。タイトルや設定だけでもう少しSF的なことを想像していたので、あまりにも哲学問答的な部分が多すぎてちょっと肩すかし。無人船に遭難という特殊な状況を作りだしたのはロベルトを孤独な行者のような状況に追い込むためだけで、せっかく魅力的な前日島という設定が有効的に活用されているとは思えなかったのが残念。

    訳者解説を読むとなるほどそんな仕掛けがあったのかと思う部分もあるけど、気付けないレベルの読者なのでごめんなさい。上巻巻末に収録されてるエーコ手書きの図解などは楽しかった。

  • 上下巻纏めて。
    久しぶりに読み返してみると、初めて読んだ時のワクワク感が蘇ってきた。あの当時はイマイチ乗り切れなかった部分も、今読んでみると面白い。

  • 衒学の幻惑と小説としての面白さが見事にかみ合った「薔薇の名前」と比べて、それ以降の作品はどうにも衒学の比重が高すぎて小説として楽しめない。

  • 2011/2/11読了

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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