動物園にできること (文春文庫 か 28-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167662035

感想・レビュー・書評

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  • 動物が大好きで、子供のときは動物園に行くのが大好きだった川端さん。こないだ読んだ 『川の名前』 にも、自然と動物が大好きというのが、そこここににじみ出ていました。

    ここ数年旭山動物園が話題ですが、それよりもずっと前から、海外ではいろいろと試行錯誤がされていたこと、日本の動物園でもひとりひとりはいろいろ考えているのだけれど、運営が市町村で数年単位の腰掛園長ばっかりで、組織だった試みの実現が難しいこと、などなど、丁寧なフィールドワークと、バランス感覚に裏打ちされた分析とで、わかりやすく、かつ具体的に整理されていて、大変読み応えがありました。もちろん、読み物としてもすごくおもしろいです。

    私も、動物園も水族館も好きです。美ら海水族館の大水槽でジンベイとマンタが目の前ですれ違ったりという外洋ではたぶん一生見られないような夢のようなことが繰り広げられるのに文字通り夢中になってしまうし、芦ノ湖のそばの水族館でリーフィーシードラゴン (西オーストラリアの冷たい海にしか居ない固有種。タツノオトシゴの仲間) を見たときは、「こんなとこに!!」 と、感動しました。

    でも、、、最初の感動と興奮から正気に戻ると、外洋から連れてこられて (網にかかるなど何らかの事情で保護された場合もあるでしょうが)、狭い水槽に入れられて、なんて気の毒な、という気持ちがワクワクの裏側の方にジワジワと沸き起こってきます。それが川端さんのいうところの 「複雑な気持ち」 。この本は万能の答えではないのですが、「複雑な気持ち」 の底にある漠然とした疑問を、きちんと整理して目の前に並べて見せてくれる、そんな感じです。

  • 川端裕人さん万歳!
    ぜひ一読を。

  • 魅力的なノンフィクション。動物という宝を守る場所として、大きな動物園が目指すこと、小さな動物園に出来ること。肉体労働メインに見えてこんなにも考えていたのか。この「動物園」を「書店」とすり替えたら面白い。

  • これぞフィールドワーク。有名ですね。

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著者プロフィール

1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。日本テレビ勤務中、1995年『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。退社後、1998年『夏のロケット』で小説家デビュー。小説に『せちやん 星を聴く人』『銀河のワールドカップ』『算数宇宙の冒険』『ギャングエイジ』『雲の王』『12月の夏休み』など。ノンフィクションに『PTA再活用論』『動物園にできること』『ペンギン、日本人と出会う』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』など、著書多数。現在、ナショナル ジオグラフィック日本版および日経ビジネスオンラインのウェブサイトで「・研究室・に行ってみた。」を連載中。

「2020年 『「色のふしぎ」と不思議な社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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