翔ぶが如く 七 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2002年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167663018

みんなの感想まとめ

歴史の裏側で繰り広げられる人間ドラマが描かれており、特に西郷の立場が意外な形で浮き彫りになります。彼がただの大将ではなく、真の権力を持たない存在であったことが明らかになり、彼の葛藤や周囲との関係が深く...

感想・レビュー・書評

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  • 西郷がお飾りの大将だったことが意外。
    自分一人の意思では好きなことも言えず、好きなところにも行けず。
    まさか「俺の体をあげましょう」が、文字どおりの意味だとは。
    西郷と薩軍の関係が、まるで昭和天皇と帝国陸軍のよう。
    西郷は考えることをやめたのか、考えたうえでのこれなのかがわからない。

  • 【感想】
    本物語の10分の7が終わり、ようやく西南戦争が始まるかぁ。
    開戦に至る数々の過程を省略すべきではないが、「やっと」感が強い。
    むしろあと3巻ですべて終結するのかと思うと寂しさもあるが・・・

    幕末は英雄だった西郷隆盛の凋落が本作品には詰まっている。
    自身の能力が低下したからなのか、それとも周りのプッシュに諦めを持ち、投げやりの上で開戦する決意を持ったのか。
    おそらく後者だろう
    西郷自身の手記がないため、彼が抱えていた苦悩と絶望に関しては一切わからないが、彼が決してただの虚像ではないと信じたい。

    終盤になるにつれて、西郷と大久保の差を感じる作品になってきた。


    【あらすじ】
    明治十年二月、ついに西郷が立ちあがった!
    圧倒的な士気で熊本城を攻める薩軍と援軍を待つ政府との闘いが始まった。
    熊本、萩における士族の蜂起をただちに鎮圧した政府は、鹿児島への警戒を怠らなかった。
    殊に大警視川路利良の鹿児島私学校に対する牽制はすさまじい。
    川路に命を受けた密偵が西郷の暗殺を図っている―風聞が私学校に伝わった。
    明治十年二月六日、私学校本局では対政府挙兵の決議がなされた。
    大久保利通の衝撃は大きかった…。


    【内容まとめ】
    1.西南戦争はごく単純に言えば、私学校における若者の暴発から出発し、その暴発に西郷が身を委ねた事で起こった。
    西郷は敗北を決意したか、なるようになれというような自暴自棄に身をゆだねた。

    2.「木戸はつねに池のふちにいる。大久保はつねに飛び込んで池の中にいる。」

    3.薩人は、木強者(ぼっけもん)を喜ぶ。
    木強者とは、学問はさほどになくても勇敢、頑固、質朴、平素、必要以上に死を軽んずる者を言う。


    【引用】
    p69
    薩人は、木強者(ぼっけもん)を喜ぶ。
    木強者とは、学問はさほどになくても勇敢、頑固、質朴、平素、必要以上に死を軽んずる者を言う。
    この種の男を薩摩隼人の典型とした。


    p118
    「木戸はつねに池のふちにいる。大久保はつねに飛び込んで池の中にいる。」
    鯉を捕まえねばならぬときの2人を謳った評価。


    p264
    幕末の西郷は、あくまでも勝利を目標とする政略と戦略を考える人物であった。
    しかし彼は、ここで必ず勝つという政略と戦略を考えるべきであったが、少しも考えた形跡はなく、考えたことと言えばせいぜい挙兵の名目だけである。
    敗北を決意したか、なるようになれというような自暴自棄に身をゆだねたか、そのどちらかというほかない。


    p290
    二十歳以上の大人たちの集まりとは言えないほどに子供っぽい雰囲気が一座を浮かれさせていたし、この奇妙な非厳密さは、西郷と桐野それに篠原といった一種異様な3人の楽天家が醸し出している精神操作であるとしか言いようがなかった。


    p302
    西南戦争はごく単純に言えば、私学校における若者の暴発から出発し、その暴発に西郷が身を委ねた事で起こった。

  • 中弛み中です。
    本書を通して西郷の評価を多面的実施しているが、
    良くわからなくなってきました笑

  • 明治10年、西南戦争。神風連、萩と雷発、警視庁の暗躍。火薬庫の争奪と暴発まで一気に進んでいく。集団となるとエネルギーは抑制しがたいものがあり、過激の徒は行くところまでいってしまう。西郷であってもどうしようもなかったであろうと思える。旧態依然とした薩摩。日進月歩の太政官。その差は大きなものとなっていることが明らかになりつつあると感じた。

  • 最後に纏めて記載。

  • 5巻、6巻とかなり地味であったが、7巻終盤で遂に動き始めたという感じ。
    西南戦争が如何にして起こらざる得なかったかというのが5巻以降のテーマになっていると思うが、確かに何故そうなってしまったか…と思わざる得ない。
    台湾出兵あたりから明治政府が瓦解し、以降大久保利通によるある意味独裁にはなるのだが…
    西南戦争とは、幕末から続く藩閥と利権争いが混沌としてしまった末に、西郷さんが一時期に政治を諦めてしまった事が要因…と思うが、やはり一言でまとまらないので、このような長い小説になっているわけだなあ。

  • ※2008.2.22購入@Book Off調布
     2008.8.30読書開始
     2008.10.4読了
     2017.5.6売却@Book Off

  • 俄然動き出した、間の4冊必要?

  • 「翔ぶが如く(7)」(司馬遼太郎)を読んだ。
    『自分は、何もいうことはない。一同がその気であればそれでよいのである。自分はこの体を差しあげますから、あとはよいようにして下され。』(本文より)
    そう言った時西郷隆盛の胸中を何が去来したのかを想うと私は少し哀しくなってしまうのである。

  • 神風連の乱を経て西郷隆盛が明治政府との対決を決意するまでが話の中心。政府との対決を決意するというよりは、西郷の回りに与える影響の強さで、西郷がやむなく政府との戦いを選ばざるを得なかったという過程が丁寧に書かれている。何というか日本国内での内乱を本音では避けたかった西郷の意思が象徴化されたという理由だけで反映されないのは読んでいて非常にやり切れない気分だ。政府と対決することになった薩摩の行く末を引き続き読んでいきたいと思う。

  • 薩摩隼人たちの不気味な胎動が始まった…!!
    私学校VS政府 の 攻防…。大久保(&川路)が放った、中原尚雄はじめとする密偵のみなさん(東京獅子/ああずまじし)が西郷暗殺を企てていたのかいないのかは謎ですが、それにしても可愛そうでしたね。近代化といっても地方じゃまだまだ江戸時代が続いてるんだなぁ。私学校の取り調べの凄惨さがいように印象に残った…。
    私学校側の内情も複雑で、やたら挙兵したがる辺見十郎太のようなやつもいれば、比較的穏健派な永山弥一郎もいる、多彩な人物たちのやりとりが面白い。西郷どんはといえば、幕末の生彩を欠いてタマシイ抜けたようになって山とか温泉に引きこもりっぱなしでした。だけど私学校の若衆が政府の弾薬盗んだときは「シモタ!」と言ってもう戦争になることを覚悟したようです。
    まあ本作中いちばん可愛そうだったのは、せっかく鹿児島くんだりまで出向いたのに、西郷と会談する約束取り付けて、しかもそのあとドタキャンされた川村純義(このころ海軍の最高職にあった)なんだろうね…。

  • 乃木希典 中原尚雄

  • 西郷隆盛がどのように反政府軍のシンボルとして担ぎ上げられるようになったのかがわかった。本人の意思というよりは、周囲の熱情に身を任せるしか選択肢はなかったということなのだろうか。西郷本人は自分が主導した倒幕事業をどう省みていたのか。西南戦争で自害することで自分の生涯を終わらせた彼の思想の背景(伏線?)を垣間見た気がした。

  • こうして追い詰められちゃったんだな…
    崇拝されてたはずなのに、一旦担がれてしまうとただのお飾りみたいになってしまった。
    思うところを言うことすらできない。
    もう流れに身を任せるしかなかったんだろう。
    大久保さんと西郷さんが、心の底ではお互い信頼してそうなだけにつらい。

  • 薩摩不平士族の決起前夜の「飛ぶが如く」7巻。
    川路利良が企図したとされる西郷暗殺についてが、メインになっている感じです。

    反乱を「防ぐ」のではなく、あえて暴発させてしまえ、といったような雰囲気でしょうか。こう、中央も薩摩も歩み寄る気配が出ずに、ことが起こるきっかけを探しているかのように思うのは、のちの歴史を知って読んでいるからなんでしょう。

  • 薩摩私学校がなぜ蜂起したのか、西郷がなぜ蜂起したのかがわかる一冊。

  • いよいよ西南戦争が勃発するかというところまできた。権力拡大とと士族の暴走による暴動で抑え込めなくなった西郷が下山し、戦闘状態へ突入していく…

    ちなみにここで出てきた伊東祐亨、こちらも坂の上の雲に出てくる重要人物。猪瀬さんの本だったかコメントだったかで、ある人について知るには2世代前から遡れとあったことの意味を理解する。なるほどこんなに繋がってるんだなとその片鱗に触れる。

  • 「まるで水滸伝の世界のような」気勢で生まれた薩軍は、戦略をもたず「大挙、熊本城に押しかける」という方針を決めた。そうすれば、熊本鎮台の薩摩兵は、寝返ってくるし、百姓あがりの徴兵どもは震えあがって逃げ出すと。「おいは日本で唯一の大将である」と西郷は自認していた。「作戦会議」は子どもっぽく浮かれていた。敵についての認識の甘さは、前代未聞というべき289

  • 「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終的に西南戦争に至ったのね、と。しかし、旧支配層の武士は既得権益を取り上げられ、庶民は税金やら兵役やら負担が激増した、この明治維新という大改革が、よく破綻・瓦解しなかったものだという、新たな疑問が湧いてきた。

  • レビューは第1巻に

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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