翔ぶが如く 十 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2002年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784167663049

みんなの感想まとめ

歴史の激動を背景に、西郷隆盛と大久保利通の人生を通じて明治維新の真実に迫る作品は、ただの小説ではなく、深いドキュメントとしての側面を持っています。西郷の孤独や大久保の苦悩が描かれ、彼らが成し遂げた革命...

感想・レビュー・書評

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  • 西郷・大久保が2人で成した革命(明治維新)。
    維新後、
    残余革命戦力を自らの命と共に整理した西郷。
    絶望的孤独の中で、現代日本の骨格を作った大久保。

    2人をして日本の革命は成り立ったと感じる。

    大久保の孤独を考えると胸を打たれる。
    司馬遼太郎さん、ありがとうございました。
    少し、司馬遼太郎系の読書は休みます。

  • 西南戦争によって、千年に渡る武士時代にピリオドが打たれた。
    桐野ら薩軍の命知らずの奮戦は、維新で散った志士を始め、鎌倉から続くすべての武士への鎮魂歌のようだった。
    武士の時代を終わらせまいと戦った彼らが、逆に武士の時代に完全に終止符をうつことになり、時勢というものの容赦のなさを感じた。

    かの大西郷の人生を追った全十巻の長編を読みきった感想が、切ないやるせないわからないなどとなるとは思いもよらなかった。
    司馬さんは快男児を書くほうが筆がのりそう。

    引き続き「坂の上」をすごく読み返したいけど、逆に「世に棲む」とか「竜馬」に戻りたい気分もある。

  • 息子へ)
    やっと読み終えた。

    司馬遼太郎作品の歴史小説のなかで、もっとも長い(10巻)の、「翔ぶが如く」。長かった、、、。登場人物が多すぎた、、、、。

    お父さんは、司馬作品、全制覇をもくろんでいる。この大作も読み終えて、ついに半分くらいまできた。あせらず、じっくり、着実に楽しんでいきたい。

    さて、本作品について。

    かなりの巻数を読み終えて気づいたことだが、この作品は、小説ではなかった。ドキュメントだった。例えば、筆者の想像する会話の場合。西郷は「・・・・」といったに違いない。という言い回しになっている。

    主人公、「西郷隆盛」について。司馬先生の作品において、よくあることだが、主人公が全くヒーロー扱いされない。読む前、本書は「西郷隆盛」のヒーロー話だと感じていたが、全くの逆。
    維新後の、西郷の愚者ぶりが描かれていた。まさに、真実・事実を、司馬遼太郎史観のなかで描かれている。

    明治維新の激動の時代は、小説になりドラマになり、世に認知されているが、近代の日本のきっかけを形づくったのは、まさに、本作品の明治10年までの時代だったのだと感じた。

    官が作られ、天皇を崇拝し、ついに武士の社会が終える。。。そして、外国との戦争の時代のもととなる文化も作られる。

    時代の切り替わりの背景を、「西郷隆盛」「大久保利通」を通して、知ることができた。

    小説として楽しむ出なく、歴史書として楽しんだ。
    司馬先生から歴史を学んだ。
    きみとお父さんが過ごす21世紀の社会をかたち作っている歴史。
    われわれの思想・考えに、知らず知らずに影響を与えている歴史。

    「今の自分を知る上で、歴史を学ぶ」
    これが、最近のお父さんのテーマとなっている。

    いずれ、きみにも、お父さんのこのテーマに首を突っ込んでもらいたい。20年後、酒の肴に語り合おう。

    (お父さんの本の買い方)
    BOOK・OFF 全巻\105以下
    (読め、もしくは、読むな)
    読みたければ読め!
    (君が・・・歳のころに)
    ゆっくり時間をかけて。

  • 西南戦争終結とともに、西郷、大久保と多くの登場人物が去って行った。司馬遼太郎の幕末ものが好きで、長編短編それぞれに度々登場してきたこれらの人物と再会できた喜びがあった。司馬作品と共に、幕末、明治を疾走した気分を今持っている。いい時間だった。

  • 西郷一行が宮崎に逃げ延びたところから西南戦争集結と大久保利通、川路利良の末路までの最終巻。
    新聞の連載物であるが故に繰り返されるキーエピソードや、作者が調べ上げた話の本筋とかけ離れた人物描写が多すぎて物語としてのテンポが非常に悪い。
    解説の方も述べているが、歴史書として扱うなら作者の類推と史実を区別した解説本がなければと思う。
    ただ、読者の殆どはやはり読み物として手に取るだろうし、自分もその類であるからもう少し簡素であって欲しい。

    ただ、維新後の真の革命である10年を描く本作は、近代日本を形作る重要な年月であり、西郷という虚像を取り巻く群像劇として見ることで人間の本質を垣間見ることもできる。

    本巻だけでも印象に残る人物を列挙する。
    人たらしの才能のみで君臨し、取り巻きに翻弄され続け、人を見る目がない西郷隆盛。
    西郷と城山で散る同士たち、すなわち
    桐野利秋
    村田新八
    別府晋介
    辺見十郎太
    西南戦争での薩摩側の良心で、生き延びて読み手のスクイとなる野村忍助。
    熊本の自由民権運動者、宮崎八郎

    官軍側では、
    内務卿大久保利通
    慎重過ぎる戦略により戦争を無用に長引かせた臆病な官軍総督、山県有朋
    西郷暗殺の刺客を送った大警視川路利良
    薩摩出身の海軍総師川村純義

    西南戦争の最中に病で没した木戸孝允

    西郷の人となりをここまで深く掘り下げた人はこれまでなかったようだが、そういう言う意味でも価値ある小説である。

    廃藩置県、地租改正などにより国民の新政府に対する不満が蔓延し、その暴発を薩摩藩が担い、その敗戦をもって革命が区切りを迎えるという激動の時代がよく理解出来た。

  • 明治維新から西南戦争までを描く長編小説。西郷隆盛の実像と虚像のギャップ。桐野のポジションと能力のギャップ。描かれる多くのギャップが切なさを感じさせる。集団と個人、文化と個人の関係性、担ぎ担がれる組織形態、など、読める切り口は多い。
    NHK大河『西郷どん』で感じた違和感を拭うために読む。が、、、長い、、、全編に閉塞感が漂い、読んでいて若干つらい、、、『翔ぶが如く』ってタイトルと違う、、、

  • これほど慕われ続ける人望と器量を備えているものの、ここに登場するやその厭世に虚しくなる。結果として成し得なかった征韓論には、極めて複雑な背景があり、どうあれ退いてくれたことに安堵するけれど、大久保、岩倉を追い詰め、三条を錯乱させた往時には、その威容を誇る。薩摩に帰郷して後は、何ら光彩を放つことなく、もちろんそのための遁世なのだから、そのまま不動でいて欲しかった。革命の象徴から、新たな革命の虚像へ。そして、演じたのか捨て鉢であったのか、木偶の最期を迎えた。敵味方を問わず西郷を担ぎ、共に逝った者たちの情緒は知れても、西南での西郷の機微に触れることはできなかった。

  • 6ヶ月。本当に長かった。。。
    ようよう読了。

    たとえば竜馬がゆくなんかに比べると、大変な時間がかかった。
    ひとことで言えば、退屈だったからだ。

    本作の大きな筋立ては
    西郷と大久保という英傑同士の関係性の中に
    近世日本と近代日本の対立を見出しているところだ。

    その試み自体は非常に好みなのだが
    いかんせん、叙述的に過ぎて、情緒がいっさいない。
    まるでおかたいコラム集のようだ。
    そしてそれがひたすらに、延々と、続く。
    そこに大量の余談が入るから、本筋を見失う。
    また、解説にもあったが、同じ描写が繰り返し出てくるのも辟易する。
    以上を思うと、これは司馬遼太郎がついに西郷も大久保も、その時代精神も、核の部分をつかまえそこねたのではないかと思う。
    そして試行錯誤しているうちに、最終回を迎えてしまった。

    読後残ったのは、桐野の無能ぶりや山縣の陰湿さなど、かえって、周囲の人間の像である。
    あと、最初の方に出てきた女の意味のなさ。

    作品全体の評価はかくのとおりだが、
    本巻は、ようやくのところ情緒的な部分が見えた。
    というか、見えざるを得ない。
    最後の50Pで、西郷、桐野、大久保、川路が斃れていったのだから。
    悲劇的な結末自体は、史実ということもあるが、やはりカタルシスを感じた。

    しかし、それだけのために6ヶ月を投じてきたのかと思うと、やはりなんだかやるせない。

  • 「翔ぶが如く(10)」(司馬遼太郎)を読んだ。

    最後に死ぬためだけに走り出した彼の胸中を思うとき、虚しさだけが降り積もる砂のように私の胸の中を満たしていくのな。
    『鹿児島旧城下は桜島という光源があざやかでない日は、べつの街のように陰鬱な表情をみせるのである。』(翔ぶが如く(7)本文より)

    この長い物語を読み終わった今、
    「いつかきっと桜島をこの目で見に行こう。」
    私はそう強く心に誓った。

  • とにかく長く、特に原文表記の箇所などは流し読みしてしまった所も多い。それでも読み終わってみると、維新後10年の激動の余韻の一部に触れられた感がある。
    日本史の授業において、西郷隆盛や西南戦争については、その歴史的意義とは裏腹にそこまで大きくは取り上げられない。それは、当時の人々にとっての西郷隆盛という人物の持つ神話性や、薩摩藩固有の価値観、西郷と大久保の個人的感情など、幾多の事物が絡み合って勃発した西南戦争に至るまでの過程を語るのは困難の極みであることの表れなのだろう。
    武士の時代と近代国家の血生臭いぶつかり合いを丁寧に描き切った巨作。

  • 全十巻を読み終えた。
    実をいうと今回は初読ではなく再読である。
    日本の歴史の中でも最大の転換となった明治維新を成した傑人たち、そしてその当人たちが意識せずに起こした維新の幕引きとなる西南戦争を描いた、この「翔ぶが如く」。
    この作品は「小説」というだけではあらわし切れないものがあると感じている。史実、そして登場人物の機微、著者の所感と探究心。いってみれば「小説」でもあり「随筆」でもあり「歴史書」でもあるのではないかと感じてしまう。
    このあたりが司馬さんの描いた「翔ぶが如く」のスケール大きさ、また、ちょうど良い細やかさなのだろう。
    西郷隆盛、大久保利通、その他の登場人物の「己の正義」に心がつき動かされる思いがするが、それ以上に司馬さんの素晴らしさが感じられる。

  • 「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終的に西南戦争に至ったのね、と。しかし、旧支配層の武士は既得権益を取り上げられ、庶民は税金やら兵役やら負担が激増した、この明治維新という大改革が、よく破綻・瓦解しなかったものだという、新たな疑問が湧いてきた。

  • 「竜馬が行く」のようないわゆる歴史小説ではなく、司馬遼太郎による歴史解説。
    細かいことまでかなり長々と説明するが、そこまで面白くないエピソードもちらほら。
    西南戦争のあたりはやっぱり面白い。
    でも西郷隆盛がどんなひとなのか、最後までわからない。

  • 今年2月から読み始めたが、ゆっくりとだったため最終巻まで10ヶ月以上かかってしまった。
    明治維新後の新政府樹立から西南戦争の終結と大久保利通の死までを書いた、 時代小説というよりは史実をちりばめたドキュメンタリー形式になっている。
    氏は西郷隆盛が好きだそうだが、言動がほとんど残っていないため、不思議な西郷隆盛伝とも言うべき話になってしまった。
    小説要素が少なくても読む者を引き込むのは不変でありおもしろかった。(HPの日記より)
    ※2008.12.1購入@大宮駅構内の書店
     2008.12.1読書開始
     2008.12.9読了
     2017.5.6売却@Book Off

  • 完結!新聞だから正直無駄に長い印象。明治初期、西郷という宗教は知るべき。

  • そしてとうとう、みんな死んでしまった。誰が勝って誰が負けた?誰のための戦争?いいことは何もない。戦争の実情はかくも無意味。

  • 司馬さんが物語を書き終えて全体を振り返る文章に感じたことが集約されている。日本の既存政党(勢力)に対抗する勢力って、仮に権力を握ったときに、その権力をうまく使いこなす能力があるのか?。もし西郷たちの革命が成功しても、江戸時代以前の身分社会に戻るだけだとしたら、西南戦争の意味ってどうなのか考えてしまった。日本は伝統的に「官」の独裁の風潮があるのだな。それは今も昔も変わらないという点が非常に印象に残った。難しかったが何とか全10巻読了。幕末辺りの歴史を知りたくなったのでもっと色々と小説を読んでいきたいと思う。

  • ようやく読了。最後は極めてあっけない。打ち切りかと思うくらい。薩摩の気風を知るために読み始めたのですが目的は果たせたかな。結局西郷とは何者だったんだろうか?一貫して虚像として描かれているのでよく分かりません。西郷の話であるようでない。川路で始まり川路で終わる話でした。個人的にはやはり大久保は凄いなぁと思います。しかしまぁ、明治維新というのは相当な無茶でしたね。第二次大戦後の復興よりも奇蹟的ではないかと思いました。

  • 西南戦争の終結から、翌年の大久保利通さんの暗殺まで。
    大久保さんが殺された翌年に大久保さんの犬だった川路利良(警察にとってはエラい人)も病死していました。

    司馬さんの本は小説というよりも研究論文なので、とてもお勉強になりました。
    ちゃんと反対意見なども載せているから、それほど偏っているとも思わない。

    ただ、この本を読んで西郷隆盛さんって人がますますわからなくなったよ。
    確かに討幕のときは大きな仕事をしたんだろうけれど、その後は同郷の仲間ばかりを依怙贔屓して、目の前の自分や仲間に関わる問題にのみ異常にのめり込んで、全体を見ることができない人って感じ。

    なんだかんだで大久保さんを筆頭とする元薩摩下級士族が太政官政府を牛耳っていたのは間違いないし、彼らにとって西郷さんは「神さま」なのかもしれないけれど、元徳川だった藩出身のらじからすると、やっぱり薩摩の偉業を国民にアピールするために作られた偶像なのかな…って思いました。

  • つまらない戦争だった。西南戦争は薄っぺらい正義の戦争だったから。それでも事実だ。それを省みなかったから、太平洋戦争が…


     こんなふうに昭和の太平洋戦争が頭にチラつくのを禁じ得なかった。司馬遼太郎の作品だしね。


     10巻に及ぶ超大作は、面白くなかった。

     だから読みごたえはすごかった。また読み返したいとは思わなかったけれど、他の幕末シリーズ「世に棲む日々」を読もうと思った。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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