新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 386
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167663063

作品紹介・あらすじ

嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。この時期骨肉の抗争をへて、倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ吉田松陰と後継者たる高杉晋作があった。変革期の青春の群像を描く歴史小説全四冊。

感想・レビュー・書評

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  • これ読んでいてもたっても居られず松下村塾に行った。

  • 1巻目だからか… 興味を持てない人の日常を見なくてはいけない行のようで… 続きの巻を読む気がしない。
    すまないー

  • 【感想】
    幕末騒乱期を長州藩の視点によって描かれた物語。
    龍馬伝でもお馴染みの「吉田松蔭」「高杉晋作」が中心となる長編の第1巻は、吉田松蔭の青春時代を中心に描かれていた。

    好奇心旺盛で、打たれ強く、粘り強く、幾度の失敗でさえ決して折れず、子どものように目を輝かせて夢を追い続ける吉田松蔭はこれまで抱いていたイメージとは大いに異なる印象だった。
    やや危なっかしいところも多いが、あのように自分の夢のみ懸命に追いかけれる人間はとても眩しい。
    また、他と違って相手をリスペクトした上での「攘夷」は、読んでいて非常に爽快!!

    実際周りにいると大変そうだが、非常に参考になって魅力的な吉田松蔭。
    次巻からは高杉晋作も登場するのでとても楽しみだなー


    【あらすじ】
    時は幕末。
    嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。
    長州萩・松本村の下級武士の子として生まれた吉田松陰は、浦賀に来航した米国軍艦で密航を企て罪人に。
    生死を越えた透明な境地の中で、自らの尊王攘夷思想を純化させていく。
    その思想は、彼が開いた私塾・松下村塾に通う一人の男へと引き継がれていく。
    松陰の思想を電光石火の行動へと昇華させた男の名は、高杉晋作。
    身分制度を超えた新しい軍隊・奇兵隊を組織。
    長州藩を狂気じみた、凄まじいまでの尊王攘夷運動に駆り立てていくのだった……
    骨肉の抗争をへて、倒幕へと暴走した長州藩の原点に立つ吉田松陰と弟子高杉晋作を中心に、変革期の青春群像を鮮やかに描き出す長篇小説全四冊。
    吉川英治文学賞受賞作。


    【内容まとめ】
    1.吉田松陰のアグレッシブさと屈託のなさ、数多くの失敗にまみれても尚動き続ける粘り強さはまるで少年のよう
    2.後年あれほど名を連ねた吉田松陰は実は遅咲きで、ペリー来航後の数年まで大きな活躍や他人からの尊敬などを成していなかった。
    3.長州藩は若者に対して実に甘く、この事が幕末の騒乱にて若者に藩論を牛耳られてあわや藩解体にまで追い詰められる原因となった。



    【引用】
    「中国者の律儀」という言葉が、戦国期に流行った。
    正直をむねとし、人を騙さない。
    少なくとも毛利氏の外交方針はその律儀を建前としたがために同盟国に信頼され、威を上方にまで奮った。

    関ヶ原という大変動期を切り抜け損ね、敗北者側に味方したため、広島を追い出されて防長ニ州(今の山口県)に閉じ込められて、幕府に窒息寸前にまで追い詰められた。
    「とうてい家を維持できない、これならばいっそ城も国も幕府に差し上げます」と絶望的な訴えをしたが、幕府は無視した。


    p102
    後にあれほどの感化と影響力をその後輩に与える松蔭が、同輩に対しては何の影響も与えず、彼らにからかわれることはあっても、後に彼が後輩から得た尊敬のかけらほども、得ていない。

    他藩士の間でも、松蔭の評価はその程度だった。


    p130
    「われ酒色を好まず、ただ朋友をとって生(いのち)となす。」
    人間の本義のため、友との一諾を守る。


    p135
    長州藩の上司の風として、若い者に対し実に甘い。
    この藩が幕末騒乱期にあって若い過激派によって牛耳られ、あやうく藩が解体する寸前まで加熱したのは、この藩の年長者たちのこういう寛大さに原因している。


    p225
    不思議な性格で、いつでも自分の前途には楽しいことや頼もしいことが待ち受けているように思い込んでいる。
    だから松蔭には暗さというものがない。


    p243
    ここ数年、日本中を歩き回って、海岸を見、山岳を見、国防の事を考え続けた。
    日本中の人物という人物には、あらかた会ってしまったような思いがある。
    しかしながら、ついに回答を得ない。
    (この上は、国禁を破って外国に渡る以外にないのではないか?)
    非常な暴挙である。


    p256
    松蔭は、違っている。
    海を越えてやってきた「豪傑」どもと、日本の武士が武士の誇りの元に立ち上がり、刃をかざして大決闘を演ずるという風の攘夷であった。
    敵を豪傑として尊敬するところが松蔭にはある。


    p301
    「長崎へ行ってみたところ、惜しくもロシア艦は去った後であった。」
    別に落胆の様子はなく、顔色も声の張りもいきいきしている。
    このあたりが松蔭の特徴であった。
    失敗すればまた新たな企画を考えるというたちで、このため失望や退屈をする暇がなく、今ももう次の行動企画に心を沸き立たせていた。


    p308
    「自分はどうも人の悪が見えない。善のみを見て喜ぶ。」
    「人生において大事をなさんとする者は、和気がなければなりませぬ。温然たること、婦人・好女のごとし。」

  • 幕末に活躍する長州藩の志士、高杉晋作や桂小五郎が学んだ「松下村塾」を営んでいた吉田松陰の物語。この人については、小学生の頃静岡県の下田に行った際、この人の史跡がある神社(だったと思う)に行き、名前を憶えていてどのような生き方をした人なのかなという興味を持ったため。今回読んでみて、「思慮深い人に見えて、行動原理は稚拙な考えを持つ実は子供っぽいという人」という印象を持った。松陰の人柄よりも、長州藩の色々な所(考え方や伝統)が詳しく書かれていて、なるほどなあと思った。引き続き、作品の続きを読んでいきたいと思う。

  • 心ではなく、頭がおもしろがって読んだ。

  • 吉田松陰!
    花燃ゆで歴史を知ってから読むと、より心情とか背景が掴みやすく心に残る。
    なんとまっすぐな生き方なのか。あれほどの人はいないのだろう。だから現在まで語り継がれ歴史に名を残しているのか。

  • 「長州の人間のことを書きたいと思う」

    有名な書き出しからはじまる大河小説の第1巻。主人公は長州藩の若き思想家、吉田松陰。作者によると、彼が松下村塾を開いたことが長州藩にとっての大きなターニングポイントだったとのこと。確かに松下村塾卒業生の顔ぶれは豪華。高杉晋作に久坂玄瑞、伊藤博文、山県有朋などなど。彼らが長州藩を代表し、明治維新に多大な貢献をしたことは間違いない。が、本小説では教育者としての松陰の存在感は薄い。

    吉田松陰は師として人に教え、人を動かす才能よりも、人に影響され、自分が動かされる人間だった。そんな「師」らしからぬ松陰の態度が結果的に、松下村塾で自由な風土を産み、多くの志士たちを排出した。

    と、作者は語る。しかし、描かれている吉田松陰は頭脳明晰だが、お坊ちゃん的な世間知らずで、純粋すぎる過激思想が目立つ。友人と旅行したいだけで脱藩したり、ペリーの黒船に小舟で乗りこもうとしたり、自ら進んで牢獄に入ったりと。偶然、多くの弟子が歴史に名を残したから良かったものの、そうじゃなければ奇人変人で終わっていた。

    たいした人物には思えなかったんだけど、司馬遼太郎ファンだと、この小説で吉田松陰を尊敬できるのか?

  • 新年は司馬遼太郎で始めたいと思い読み始める。吉田松陰の話し。まず、純粋であること、超前向き思考であること、優しいこと、信じやすくお人好しであること、穏やかであること、第1巻でそこまでわかる。ただ、この人物に漂う匂いは奇人。世に名を成す人はイカれていなければならないと思っているが、松陰から香る狂気の匂いに引き付けられてあっという間に読んでしまった。なぜだかこの前の電気グルーヴのドキュメンタリーを思い出した。次の巻では、いよいよ高杉晋作が登場する。楽しみ。

  • 吉田松陰の行き方が無茶苦茶カッコよく、もっと全力で生きようと思いました。

  • 松陰、走る。とにかく走る。走って走って、そして奇跡とも思える出会いの数々。松陰というと伝記的には「学問」のイメージばかりが強いが、この頃はどちらかというと「冒険者」のイメージ。おそらくその目には日本の将来しか映っていなかったのだろう。まるで竜馬を彷彿させる。

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著者プロフィール

1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語学科卒業後、産経新聞社に入社。59年「梟の城」で直木賞受賞。独自の史観を駆使し、戦後の歴史小説に新風を吹き込んだ。代表作は『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶがごとく』など。93年に文化勲章を受章。96年に72歳で死去。

「2008年 『豊臣家の人々 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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