新装版 世に棲む日日 (4) (文春文庫) (文春文庫 し 1-108)
- 文藝春秋 (2003年4月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167663094
感想・レビュー・書評
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第二次長州征伐の終盤、高杉晋作が歿する迄。
生きて維新を迎えていたら日本はどうなっていたか?と想像するが、藩内クーデター成功後と同様にきっと大官は固辞したんだろうなあ。
鬼神のような行動力はひたすらかっこいいです。
その後ながく長州人のあいだに伝えられた名言、「人間というのは、艱難は共にできる。しかし富貴は共にできない。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この4巻にて世に棲む日日も高杉晋作の生涯も終わりを迎える。佐幕攘夷に戻った藩政を再びひっくり返し、長州討伐にやってきた幕府軍を返り討ちにする。
薩摩にしても、長州にしても、地理的に辺境っていう場所が効いているんだよな。もとは徳川幕府の外様政策で端に置かれたというのがあるんだろうけど、その地理要因で引いた目で見られるんだろうし、外国とも直接交渉する場所もある。
わが故郷伊賀なんてそもそも伊勢の属国だし、京都に近いし、藤堂は外様と言っても準譜代だから流れに任せるしかなかったんだろうな。この話の中では「藤堂の腰抜け」と書かれる始末だし。
とりあえず、改革を成し遂げるには、いくら正論であっても時を待つことも大切なんだなと再認識する話でした。 -
世に棲む日日最終巻。フィクションじゃない、歴史小説の良さを初めて知った本だった。 おもしろき、こともなき世を、おもしろく。 松蔭が死んだ歳まで、あと5年。高杉が死んだ歳まで、あと4年と2ヶ月。か。
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吉田松陰、高杉晋作、奇兵隊、長州藩、よくわかった。エキサイティング!
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大河小説の最終巻。吉田松陰に続く主人公の高杉晋作も短い生涯を終える。28歳であった。
刑死した松陰と違って、高杉晋作は布団の上での病死。イマイチ、ラストの盛り上がりに欠ける。幕末司馬小説では「峠」、「燃えよ剣」、「竜馬がゆく」など、いずれも主人公は花火のように劇的な最後を迎えることが多いだけに、いつの間にか終わってしまったという読後感。このあっけない終わり方は読者の好き嫌いが分かれそうだ。
さて、高杉晋作は長州藩を率いて、外国と交渉し、幕府と全面対決。しかし、対幕戦争が終わると、一転して長州藩から追われる身に。さらには愛人を連れての逃避行に正妻や実家が追いかけてきたあげく、あっさりと病死。有名な辞世の句の通り、 死を直前に控えても激動の生き様だった。
おもしろき こともなき世を おもしろく -
薩長は好きではないが、高杉新作の生き様には好感をもった。詩才に長け、判断力・行動力が常人ではない。まぎれもなく史上の偉人だが、家庭のことに苦渋するところなど、おかしみもある。
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1,2巻は、松陰について書かれています。3,4巻は、高杉晋作と革命...。息もつかず読んでしまう本です。
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松陰もそうだが、晋作の生き様で最も頭を悩ませたもの。彼らは何のために生きたのか?かつて松陰は「どの人間の生にも春夏秋冬はある」と言ったとか。それは分かる。しかし松陰はその春夏秋冬の果てに生きる道を語る前に死に陶酔してしまった。晋作はどうだろうか?彼の人生の行動をまとめると、戦争と芸者遊びと妾との逃避行の繰り返し。もはや生の意味を語る以前の問題。開国に向けた指導者の物語というより、幕末の日本に生きることを真に楽しんだ、文字通り「世に棲む」一人の人間としての姿に、偉大さというより親近感を覚えてならない。
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高杉晋作の最後までを描く。革命の実行者として天から生を受けたとしか思えない男の最後は病に散る。あのまま生きていたらどうなっていたんだろうか。生をもて余していたようにも思う。あれだけの男が母親と嫁に妾の居るところに乗り込まれ狼狽えているところが人間味がありそれも魅力になっている。なんのために生まれて、なんのために生きるのか、その問いかけを突きつけられるような全四巻。新年最初に読むにはぴったりの本でした。「おもしろき、こともなき世を、おもしろく」。最後にこんな詩が詠めるような、そんな生き方をしたいものだ。