義経 新装版 (下) (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2004年2月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784167663124

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プレミアム

みんなの感想まとめ

歴史の中での天才的な武将、義経の生涯とその運命を描いた物語は、彼の勇敢さと軍略の才能に焦点を当てつつ、政治的な未熟さがもたらす悲劇を浮き彫りにしています。義経は父の敗北から身を隠し、頼朝のもとで戦いを...

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎の長篇。
    源頼朝と源義経を軸に、源氏が平氏の天下を覆して鎌倉幕府の基礎を築いていく様を描いた小説。

    義経は、父・義朝が平氏との争いに敗れたことで、身分を隠して鞍馬山に入れられ、そこで幼少期を過ごす。元服後、奥州藤原氏に一時滞在した後、挙兵した頼朝の下に参集した。

    義経は生まれながらに天才的な武将・軍略家であった。その素質によって木曾義仲を破り(一ノ谷の戦い)、続いて屋島と壇ノ浦の戦いで、戦力的に圧倒的不利だったにも関わらず、平家追討を成し遂げた。

    しかし、義経はその軍才とは裏腹に、致命的に政治感覚がなく、それが故に最終的には頼朝に殺されてしまう。

    義経には感嘆すべき勇敢さはあっても、人心の表裏を考え、世間を思惑し、配慮し、自分の保身を考えるという感覚が危険なほどに未熟だった。そのため、異母兄であった頼朝に危険視され、排除されてしまったのだ。

    彼はその裏表のなさと情の深さによって、(著者曰く)日本ではじめての人気者になった。これがどこまで真であるかはさておき、現在でも人気があるのは間違いない。
    ただし、政治的革命を目指す頼朝の信頼を得るには、考えなしで不安定過ぎたのだ。

    ここから得られる教訓は、人は生まれ持った才能だけでは世に憚ることはできないということだ。自らの才能を俯瞰的に自覚し、その上で戦略を設計し、着実に実行しなければ天下はとれない。

    反対に、先天的な才覚は乏しかったが、執念深くこれに取り組むことができた頼朝は革命を成すことができた。

    また、この時代の武士たちは、我々がイメージするような人情深く、忠義に厚く、名誉を重んじる姿とは異なる。忠義や義理よりも実利を重んじ、利害で動く。
    だからこそ、頼朝の戦略は上手くいったのだ。

    我々が武士に抱くイメージは、江戸後期、安定した政権下で支配階級、一種の貴族的階級となったことで生まれた価値観だということだ。

    これは興味深い事象だと感じた。

  • いやー面白い!
    こんな天才的な人物ひどく惜しい。
    が政治的能力がまるでないので頼朝に嫌われるのも仕方ないかな。
    つい義経目線で読むので頼朝を憎みそうになるけど。
    大河ドラマ、今後の展開楽しみ!

  • まず、歴史の知識が皆無の人間が書いていることをご承知おきください。
    義経、頼朝、弁慶、壇ノ浦の戦い、単語は知っているけど単語しか知らないという状態で読みました。
    ところどころで関連書物を引用していると思われる部分があり、事実と司馬遼太郎さんの空想が入り混じって描かれた世界なのだと思います。
    表現力巧みな上一人一人のキャラクター設定が緻密で物語の中に引き込まれます。
    また、出来事が一通り書かれた後につまりは〜ということである。というような要約もあり無知な私でも物語のスピードに置いていかれることはありませんでした。
    上辺だけを知っている私は様々なところで衝撃を受け、また義経がこれほどに人懐っこく愛嬌のある人間だとは思いもせず、最後まで心がギュッと動かされました。
    司馬遼太郎さんの作品を初めて読みましたが、面白い、面白すぎる。これからたくさん読み漁ることにします。

  • 源義経の生涯を描く司馬遼太郎の上下2巻の歴史小説。数奇な義経の生涯を司馬遼太郎が料理し、一流のエンタメ小説に仕上げたという印象です。ブックオフの110円コーナーで見つけ、何気なく読み始めたらやめられなくなりました。

    義経の平家に対する怨み、一ノ谷、屋島、壇ノ浦の戦いで見せる天才的戦術、後白河院に弄ばれる幼稚さ、痴呆な政治的無感覚者ぶり、すでに危険視されている頼朝への思慕がテンポ良く描かれます。もちろん、日本人として義経の生涯を知っていますが、それでも司馬遼太郎の軽快な文章によって義経を身近に感じることができました。一方、戦術家としての義経の歴史的意義等にも触れられ、単なる歴史小説として終わっていません。

    本当に面白い歴史小説。「鎌倉殿の13人」の菅田将暉は本書の義経に近いと思います。

  • 歴史の舞台に華やかに登場する「源義経」の下巻。木曽義仲の討伐、平家一族を相手に「一の谷の合戦(鵯越)」「屋島の戦い(讃岐)」での奇襲戦法、潮流を逆手に取った「壇の浦の戦い」で大勝利に至るまでのくだりは、息を吞む間もない一気読みの痛快さ。 平家を討滅させた戦功が兄頼朝を狂喜させると信じた義経。その大功がかえって兄頼朝を戦慄恐怖させるとは思い至らず 「自分は鎌倉殿の弟である」の観念を拭えぬまま鎌倉幕府の露と消えた義経、朝廷安泰と称し、義仲、義経らを利用した後白河法皇の悪辣さに唖然・・・歴史の闇を知る。

  • 義経の最後はやはり悲しいものです。
    平泉に行きたくなっちゃいます。

  • なんぼヒーローでも阿呆はあかんのやなと思った。どうやって義経が死ぬのか知らなかったのでサラリと書かれていたのが残念。

  • 下巻でついに義経登場!という感じです。
    天才的戦術で勝ち誇っていくたびに、その後訪れる悲劇の種が何度も何度も描かれ、壇ノ浦のところでは「この戦を読み終えたら悲劇しかないー!」と思ってなかなか読み進められなかった思い出です。笑
    ですが悲劇の種が描かれていたからこそ、その悲しみを受け止められたかなと思います。
    最後はあっさりした終わり方ではありましたが、読みごたえはじゅうぶんにあります。

  • 義仲の滅亡から一ノ谷、矢島、壇ノ浦の戦いを経て義経の滅亡までを描く下巻。義経の戦における才能と裏腹に政治的才能も情勢を見極める事ができる家臣もなく、やがて落ちぶれていく過程が上手く描かれている。物語のきっかけとなる政治家の行家とうまく折り合えばと考えるが、それにしても歴史というものは際どい所で成り立っているものか。
    終盤はかなり急ぎ足で締めくくっており、その後の頼朝の状況や義経の敗走のエピソード、安宅の関での弁慶との勧進帳の逸話も触れることなし。弁慶は出会いこそ劇的に描かれているが活躍の場があまりなく残念。
    法王のあまりの俗人的なところは宮内庁あたりから文句が出そうな描かれ方で、ある意味人間臭さがあり面白い。
    ともあれ、物語としてとても面白かった。

  • 来年は司馬遼太郎作品を時代順に読んでみよう。義経は以前読んだので早速登録。読む前は絵本の牛若丸のイメージだったが、読んでみると義経の人物像が深堀されていて面白い。 軍事的天才は政治的には幼稚。バランスを欠いたキャラゆえに物語になるのかな。それにしても英雄や京男はモテてエエなぁ。

  • 東北を旅する前にと、読んでみた。義経だけでなく頼朝や周りの人もしっかり描かれている。当時の朝廷と幕府黎明期がわかって、数年前の大河ドラマの復習になったかな。 残念ながら義経の最後は京都までがメインで奥州まではなかった。義経の軍事的な才脳があの時代瞬間きらめいて、頼朝の政治力が血で血を洗う鎌倉時代につながっていった。歴史は面白い。

  • 痛恨のミスで、まさかの下巻から読んでしまった。

    元々義経は興味があったので、深く知れて良かったけど、頼朝と後鳥羽が大嫌いになった。当時の歴史観から致し方なしとも思いつつ、不愉快な奴らだ。

    これから上巻を読む憂よ…

  • 2冊合わせて900ページ弱の超大作。歴史上でも指折りの悲劇のヒーロー、源義経。その半生を司馬遼太郎節全開で描く。最近ではよくよく分かってきたことであるが、この作品を読む中では義経という人物はおよそ幼稚で政治感覚の優れなかった人物だったのだな、というのが分かる。ただ戦、という面においては圧倒的なセンスの持ち主で天才肌だったのだろう。それ故に兄の頼朝に疎まれて最終的には敵対するまでに至るのが寂しい。作品としては頼朝に弓を弾いてからはサクッと終わってしまうのでそこに至るまでの過程を楽しむ作品だったのだろう。

  • ついに義経さんの活躍が鮮やかに!と思いきや、彼の極端な性質によって、勝ちも勝ちではなくなってしまう。
    なるほど、頼朝さんや後鳥羽様は本心のわかりにくい、というより本心を明らかにできない立場だけれども、それにしても2人に挟まれた義経さんが哀れだった。
    でも、彼が謙虚であれば、まだなんとかなっただろうけど、傲岸なところがとても残念。まあそういう時代だったのだろうけど、とにかく残念で哀れなお話。
    最後はあっさりしてしまっていたけど、顛末も哀れすぎるだろうから、これでよかったのかも。。
    とにかく哀れ。ポジティブはどこに泣

  • 戦での歴戦の雄でも思い浮かべられないような戦略と決断の早さ。一方で政治面の無知さや純粋さ幼さ。昔の英雄ならあたり前ではあっただろう好色さ。やはり切ない。追討の院宣が出て以降の最期は意外にシンプルに書かれているのが、多くのファンがいる義経への敬意なのかなと勝手に納得しました。

  • 歴史小説ってだいたい前半を苦労して読んで後半やっと面白くなっていく印象がある。
    だけど本作は初っ端から面白い。どんどん読める。義経の生い立ちからしてドラマチックだからかな。
    むしろ後半の死の予感が辛くて壇ノ浦あたりから読む気力がなくなっていってしまう。
    死ぬ時(エンディング)があっさり過ぎて取り残された感じの読了感だった。

    2つの視点から見て面白かった。
    一つは歴史的考察。
    朝廷という古くからの権威に対して新興の武家勢力。
    義経はある意味両勢力に踊らされて犠牲になったと言える。
    奥州、板東、京都の勢力図も勉強になる。

    二つめは義経という日本人が大好きなキャラクターの魅力。
    中性的で色白の小兵というルックスでありながら戦の天才というギャップ。しかも大の女好き(というかシモ半身が奔放w)という。
    マンガキャラ的要素満載で、これは愛されてきた理由がわかる。だからこそ夭折がつらい。
    派手に咲いて一瞬で散っていく。ロックスターみたいな感じかな。
    R.I.P

  • 小学生の頃、日本昔ばなしの「牛若丸」を観て以来の「判官びいき」です。
    今回、司馬遼太郎さんの作品を読んでみて、源氏と平氏の争いと言うよりは、源頼朝と後白河法皇の争いと言う印象を強く持ちました。
    今、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を毎週見ていることもあって大変興味深く読むことができました。

  • 日本人ならほとんどの人が知ってるであろう義経。
    日本人の義経像の形成にもかなりの影響を及ぼしたであろう小説。

    意外にも講談や多くの物語で取り上げられてい弁慶との逸話や、奥州落ちの物語が欠落して、最後はアッサリ終わっている。何かしらの意図があるのかな。

    いくらでも大冊にできたであろうに、文庫二冊に納めている。もっと書き込んで欲しい部分もあった。

  • 京都生まれだからか牛若丸は馴染みと親しみがあり、なんとなくな感じで好きだった。改めて歴史を知ることで京都人の判官贔屓が理解できたことでその根拠が解った気がした。
    義経の“青さ”と“不器用な実直さ”は魅力でもあり、それに弁慶たちも京都人もそして私も引き込まれたんだろう。
    また昔は弁慶は強いとの印象があったが、ただの強さではなく父親のような温かな強さであったと改めて感じた。

  • それぞれの心理描写が丁寧で面白い。欲を言えば、奥州への逃亡や、自害に至るまでも読みたかった!

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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