新装版 功名が辻 (1) (文春文庫) (文春文庫 し 1-114)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167663155

作品紹介・あらすじ

天下にむかってはなばなしく起ち上った織田信長の家中に、ぼろぼろ伊右衛門とよばれる、うだつの上らない武士がいた。その彼に、賢くて美しい嫁がくるという…伊右衛門は妻千代の励ましを受けて、功名をめざして駈けてゆく。戦国時代、夫婦が手をとりあってついには土佐一国の大名の地位をえた山内一豊の痛快物語。全四冊。

感想・レビュー・書評

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  • 山内一豊にスポットが当たるという個人的には意外な所であった。

    確かに山内一豊は内助の功で有名な千代から出世していき土佐一国の大名として名を馳せるが、書籍として単品のスポットが当たるとしたら他にも浮かぶ武将がいる。しかしそれを、退けてというところに読み進めてしまう面白みがある。

  • 再読。
    4巻まで読了。

    千代(見性院)とその夫、土佐藩主・山内伊右衛門一豊を描く歴史小説。
    テンポ良く筆が進み、司馬遼の中でも特に読みやすい作品。
    ラストがほろ苦いのは歴史小説の宿命のようなものだけど、本作はふたりの穏やかな愛情と前向きな熱量が丁寧に描かれてきたから余計に、それが悲しくもあり虚しくもある。

  • 私は山内一豊が好きではない。
    なぜなら、幕末の土佐藩の迷走は、山内一豊の器の小ささがその種だったと思っているから。
    自分が連れて行った家臣だけを大切にし、元々その地にいた人たちを見下して足蹴にして。
    ぼんくらが大名になると、これだからいかんよ、とずっと思ってきた。

    この本を読んでわかったのは、本当に山内一豊はぼんくらだったこと。
    いや、小説ですが。
    功名を立てたい、とやみくもに思うだけで、ほぼほぼ妻の千代の掌で転がされておる。

    しかし、千代、いけ好かないです。
    世間知らずの温室育ちで嫁いできた割りには、人の心を読んで、状況を掴むのが上手い。
    気持ち悪いくらいに。
    本心を押し隠して、夫を自分の思うとおりに動かす。
    怖い女です。

    と、悪口ばかり書きましたが、とっても読みやすいのです。
    情景が次々と目に浮かんできて、気がつくとあっという間に読み終えていました。

  • 現代にも通用する「男のトリセツ」(笑)。賢しい女は疎まれるのは今も昔も一緒か。千代の聡明さももちろん素晴らしいが、一豊の素直さも人と運を引き寄せる才能だと思う。

  • 後の土佐藩主として知られる、山内一豊。
    内助の功で一豊を、土佐藩主にまで押し上げた千代。
    この夫婦の、戦国成り上がり物語。
    ふたりののキャラクター作りが、際立っている。
    一豊に無いものを、千代が補う。
    正に、理想の夫婦。
    この先が楽しみである。

  • 全4巻。
    大河にもなった
    言わずと知れた司馬遼代表作。


    これは良い。
    自分の司馬遼史上最高かも。

    あいかわらず、
    物語のスパイスとして架空のキャラを設定するも、
    いつの間にか忘れられて活かしきれてない感じとか、
    著者が物語に浸かりきれてない感じとか、
    個人的に大嫌いな司馬遼ってとこはある。

    ホント、
    こういうとこ大嫌い。
    書くならちゃんと書けと思う。
    最後まで。
    イラッとする。


    が。
    なんせ主人公の造形が良い。
    嫁の。

    良妻賢母を地でいく、
    才能あふれ、賢く、可愛い、
    男なら誰でも惚れる女像。

    女を主人公として書くのも珍しいのに、
    たまに書いたのがこれとか、
    このムッツリスケベって感じ。

    この嫁と、とぼけた旦那の
    ユーモラスであたたかい掛け合いが
    たまらなく好ましい。


    が。
    とても気持ちよく読んでいたものの、
    後半クライマックス、最も象徴的なシーンについて、
    物語に昇華せぬままあっさり終了。

    もうホント何なのと思う。
    ホント司馬遼大嫌い。
    物語こんな面白いのに、
    なんでそこで魅せてくんないのか。
    そんななら始めから物語るなと心底思う。


    物語としては自分司馬遼史上最高くらい好き。
    でも本当に司馬遼が嫌い。

  • 最近続けて掛川城と高知城に行く機会があったが、山内一豊と千代のことをよく知らない自分に気づき、久しぶりに司馬作品を手に取った。
    戦国合戦の裏話的なものが満載で、やっぱり司馬作品面白いな、と思いながら読んだ。
    今の時代から考えると、男性と女性の立ち位置があまりにも違うことに納得できない部分もあるが、こういう時代を経て現在に至っている(いやいやまだまだではあるが)のだし、戦国時代としては、千代はとても賢い女性の一人だったので、彼女の生き方はどうだったのかと興味深く続けて読んでいきたいと思った。

  • のちに土佐の太守となる山内一豊とその妻千代の物語。千代は賢妻の誉れ高く、戦前の教科書でも取り上げられていたらしい。ジェンダーが気遣われる現代では、時代錯誤の扱いを受けるかもしれないが、小説としては読みやすく、面白い。「竜馬がゆく」に近いテイスト。

  • 土佐藩主、山内一豊とその妻、千代の半生を描く。

    千代の頭の回転の早さというか、先見の明が凄まじ過ぎて、一豊の反応がもどかしいことこの上ない。良くも悪くも「普通」の一豊の反応の方が当時の考えに沿ったものであるし、読んでるこちらとしては納得してしまいそうになるのは面白い。
    戦国時代を駆け抜けた夫婦の生き様、これからが楽しみである。

  • 坂の上の雲を読もうと思っていたが、女性が主人公っぽいこちらの作品をひょんなことから手に取り読んでみた。歴史物にしてはとても読みやすい。
    歴史に知識が少ない私でもそれなりに理解できた。
    千代の聡明さが、くどくなく語られていてとても好感を持てた。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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